胎児の夢
どうせすべては夢だった
チャカポコチャカポコ
木魚をならして
チャカポコチャカポコ
胎児夢みる
生まれいづる悩み
滔々と
不変を求めて変わらないもの
「すべては変わる」の真理に気づく
チャカポコチャカポコ
木魚を叩き
チャカポコチャカポコ
無情の音知る
病んだ直後の 別れには
脱出めいた縁切りと
新たな非情を紐解けば
諸行無常を肌で知る
働けないと思うなか
二度と戻らぬ時間では
就職の機会 狭みゆく
他人の金で得るものは
睡眠薬やらジャンクフードと
精神安定目指しても
生きる屍 生き返れない
無情の木魚の音を聴き
己が死 訪れるを待つも
果てしなく続く人生は
途中下車すら許さない
社会の欄干 引っ掛かり
野生ならば死が 来るはずも
社会制度は阻むのみ
底辺・生産性なくも
まだ生きろなど仰るか
イカれた頭に 穢れた血
からだに留め 死を待とう
それまで何が待っている?
いつになったら 死ねるのか
現世に利益求めずも
ほどほどの日を求めてる
来世を信じていなくとも
死後と瞬間 怯えてる
逃げられないまま 俗世にて
自分を腐らせていく日々を
無意識後押し 踏み倒し
諦めることと割り切りと
無欲の聖人なれずとも
諦観の中で暮らせたら
少しは楽になるだろか
チャカポコチャカポコ
木魚が響く
母の胎から伝わって
息苦しさに身を縮め
そろそろ臍の緒首にかけ
玉の緒絶えよとむせび泣く




