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羊たちの沈黙
トマス・ハリス「羊たちの沈黙」を参考にした。
子羊たちの処世術
沈黙と共にやり過ごす
腕組み見下ろす牧羊犬
声にならない悲鳴が満ちる
ひとりひとりが同じ顔
教室のドアは閉じられて
牧羊犬の独壇場
ライ麦畑の先は崖
じりじり追われ
詰め寄られ
「自分の意志」で飛び込ませ
時に泡吹き向かってくる
黒い羊は噛み殺す
仁王立ちする牧羊犬
社会の後光を背負いつつ
目には嗜虐の光あり
秩序の番人 楽しき仕事
何をしようが 逃げ場なく
何処へ行こうが逃れられずに
延々付き纏う柵の中
祖国の軛は重きもの
時々番人 牧羊犬
柵をちょっぴり開けてやる
震えて動かぬ子羊は
受け入れざるを得ないまま




