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Sick) スキッツォイド・マン

「心療内科の患者らは

 鉱山のカナリアに似ている」

 そんな言葉をどこかの本で

 拾って読んだことがある



小学校の体育館

体操着に着替え並んでる

始まったのは「クレペリン」注射

緊張のあまりとりとめのない

奇妙な考え右から左へ

渦巻く頭が一瞬にして

奇妙な解を導いた

「すなわちこれははナノマシンであり

 ボクを監視しようとするために

 注射という体でぶち込んでいる」と…


もっともそれを教師らに

問い詰めようとしたところ

何を言おうとしたのかを

忘れちまって笑われた

「ボケるのはまだ早いだろ」と…



給食に出た「ブロイラー」

何とか切ろうと悪戦苦闘

肉の繊維がズタズタになり

どう繋がっていたのやら

もはや原型思い出すことも

原型連想することも

ロクにできないありさまで

「どうしようもない」と

食べないままに

お盆と共に返却をした



転校生の二つの目

「碧玉」のような眼差しに惹かれ

交換日記を申し込む

「ダレもがボクをバカにしている

 オルポにすらも狙われてるんだ」

初めて吐露した悩みに対し

彼は優しくこう諭す

「バカにされているという気持ちは誰にでも

 けれど警察に狙われてるとは

 僕には理解しがたいな」




同級生が自殺して

葬式の準備

服を仕立てて

合間つなぎに何の気なしに

自分の不安について語れば

「仕立て屋さん」の店員は

喪服をピンと伸ばしつつ

ボクに対してこう言った


「アナタは自分の行動を

 常に誰かに「させられてる」と

 勘違いしているのでは?」

まるでボクの心読むような

見事な推察に脱帽

けれど続けた彼の言葉に

ボクは思わず凍り付く


「こればっかりは治らない

 なぜならアナタの遺伝子に

『かくあるべし』と刻まれているから」




オレにこういう指南をしてきた

彼らは今は昔のことと

歴史に名を残すような名医は

この現代にはもういない

新たな発見も今のところは

停滞なおも続いてる



けれど彼らの積み重ね

彼らの知見が今もなお

脈々と続き

その挙句

世間一般の「誤解」の根底に

今もなお横たわる未知の世界

知見も情報も

何もなく

誤解が蔓延している日々



当の本人すら理解できない

自分が自分でなくなっていく自覚

日々に恐怖を覚えるビョウキ

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