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恥辱の夢
ひどく惨めな夢を見る
伴侶見つけた元恋人を
振り向かせようとする夢さ
メールで自白は「寂しい」と
元恋人の行動範囲で
親しげに声をかけていく
顔も見えない彼女の伴侶
確かにいるとわかってて
数十回の邂逅で
あるとき伴侶が口開く
「未だに好かれているんだね」
踵返した俺の耳
彼女の声が木霊する
「未練と恨みを捨てきれないだけ」
図星がゆえに射抜かれる
目覚めたときは恥辱の中
現実と夢の境界が
眠れぬ体になった後
眠りもたらす女王が笑う
これぞ妾の代償ぞ
お前の傷をえぐるのは
精神医学と同じこと
妾はお前を弄ぶ
お前が妾にするように
銀のシートに包まれた
青き錠剤 ハルシオン
サロメ衣を脱ぐように
妖艶な笑みが待っている
女王 女神に傅いて
道化がひとり馳せ参じ
恩寵いただき眠るなら
夢に犯され憔悴す
蒼白な己が病の顔
じっとこちらを見返して
忘却したい過去 栄誉
意識に上らせなかったら
ならば「無意識」の出番だと
女神 女王が顕現す
不連続する時間の中で




