36/769
Complex) 親族からの脱却は
「親について」を聞かれたら
「逃れられないくさび」と答える
人間としていい人だとしても
いい親かどうかは別問題
オレのビョウキは遺伝だろうか?
それとも環境のせいなのか?
あるいは自分の経験からか
なんにせよ
オレはビョウキの言い訳を
いつもどこかに探してる
世の中の
自分が嫌いな連中を
殺してやりたいと思うこともある
けれど最後の砦となるのは
親や家族や先祖など
「イエ」の名前に傷入れるのが
どうしようもなく怖いのだ
大した「イエ」でもなかろうに
既にビョウキになった今
ただでさえ俺りゃ厄介者で
そんなおいらがこれ以上
世間様へと顔向けできない
そんなナニかをやったなら
いずれは親も叔父叔母も
親族はみな死んでいく
残るは末っ子俺一人
置いて行かれるのはいつも
そんな孤独が恐ろしい
それでもどこかで祖先の生きざま
血と骨と肉を否定できない
時代錯誤も甚だしい
迷信捨てられぬ俺がいる
既に親を妄信するような
そんなオ年じゃないにせよ
「オレは子供を作らない」
「オレのビョウキを移したくない」と
ヒソかにケツイするならば
祖先に顔向けできぬとは
それこそ笑止千万で
神棚に向かって拝む
子孫繁栄、情けなや