表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中二ポエム  作者: 九四山井耐排夢
遠吠え、再開
291/769

水没都市

無数の歩く墓石たち

水底に沈む都市の残骸

意味もなく明滅する信号



水面を歩く少女を見たか?

救世主だと思うのか?

無垢な瞳に好奇を浮かべて

傘をくるりと回して見せれば

燦々と散る無数の雫

華奢な双肩にお前は

世界を担わせる気か?



知っているのか?

海中都市の最期を?

モノクロの世界に閉じ込められた

朽ちるためだけにあるものを



老婆がものものしくもまた

待っていたんだと語るのは

これが歌物語かと

「喜びと共に夢は水底へ」



希望を塗料で誤魔化した

前の世代の幻想も消え

彼らは整列して並び

待ちきれず体ぶつけ合う

そして己の番となった時

笑顔で地上へ飛び降りた

白百合の

ちぎった花弁を散らすようにして



滅ぶ恐怖はなかったのかと

問われた老婆は首を振る


「いつも滅びる時を待ち

 総決算を望んでた

 たとえ命を落とすとしても」



喜びの自殺

投身自殺

滑稽に空で泳ぐ姿を

通行人が笑ってた



少女の傘がくるりと回り

屈み込み水面

見下ろせば

不思議そうに見返す自分の顔が

波紋と共に笑ってる

かつての都市は彼女の黒い

瞳の中へと吸い込まれ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ