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個人の時代
個人の時代
崩壊する既存
誰もが気づけないのは
目まぐるしいせいか
あるいは
緩やかだからなのか
地縁はただの
監視網
学友はただの
競争相手
恒常化する孤独の末に
友人面で近づいてきて
顔蹴りつけてあざ笑う
匿名の電子人
画面の向こうの
文字の並びは
人間であるはずがない
なんせ対面の人間だって
人間であるはずがないから
当たり前のように蹂躙されて
人権とは?と考える
法を犯さぬ範囲でならば
いくらでも他者を傷つけられると
ただ罰せられることがないから
いつしか馴れて他人にも
同じように振舞っている
個人の時代は
競争の時代
過酷になれども躓けば
その瞬間から負け犬に
だから
誰も彼もが自分と
誰かを比較せざるを得ない
自分より下を見て安堵するために




