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朝方
ケルトの薄明
青い朝闇
夜雨開けた後の
濡れた瓦が
奇妙な光を帯びている
夜半撹拌
春風の
猛々しきこと
風神の
貧乏ゆすりのごとき揺れ
唸り声にも似た家鳴り
世界を隔てるベールをも
引き剥がすような勢いで
とわにも続くと思いきや
更け行く夜はすぐ明けて
何も変わらぬ今日となる
群青色の朝方は
病人の顔を照らし出す
今日もなければ
明日もない
累積していく過去だけが
己の存在証明で
流れゆく景色
ライトの明かりも
アスファルトに吸い込まれ
自分が消えゆく実感が
スロットルを握る手に
徐々に力がこもってく
逃げていく闇に
自分も溶けていきたいと
願えどいつも拒まれている
けれども自分が日向には
いないのは百も承知ゆえ
自分の立ち位置掴めない
俺自身こそ刹那の朝と




