温故知新
村上龍:「五分後の世界」より引用した。
温故知新にも
似てるけど
なのにどうして
こんなにも
苛立ちを覚えてしまうのか
日本で売れなかった人が
世界へ羽ばたき大絶賛
正統派の彼らの技量は
日陰の上にマイノリティ
その一方で大衆受けする
哲学・信念・意志もない
「ナンチャッテ」ばかり増えていく
村上龍の小説の
こんな一文
脳裏によぎる
「敵にもわかるやり方で、
世界中が理解できる方法と言語と表現で、
われわれの勇気とプライドを示しつづけること」
外国人が日本へ
学びに来ただけではなくて
自らの手で伝統の
歴史の中に名を遺そうと
日本人らも知らぬ伝統や
工芸品を守ろうと
温故知新にも
似てるけど
なのにどうして
こんなにも
悲しみを覚えてしまうのか
世界で羽ばたく
そのために
己を自国の文化から見出す
皮肉にもこの「戦略」は
「マーケット」でも大当たり
むしろこれこそ「本格的な」
「意図されなかった戦略」と
日本が好きな外人に
古典を問われ首傾げ
苦笑いと共に逃げられる
「自国の文化も知らないのか」と
温故知新にも
似てるけど
なのにどうして
こんなにも
悲しみを覚えてしまうのか
温故知新にも
似てるけど
なのにどうして
こんなにも
悔しさを覚えてしまうのか




