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処刑日和の月曜
ある日こんな夢を見た
広場にみんな集まって
月曜日の昼間
どんちゃん騒ぎ
歩行者天国に
フランスから輸入した
ギロチンが据えられて
のぼりに書かれたその文字は
「ブラック企業の公開処刑」
縄で繋がれた経営陣が
項垂れて判決を待つ
言うまでもなく
死刑!
死刑!
ニートの裁判長が言う
「コイツらは私腹を肥やし
社員を人として考えず
あげく社員を自殺させた」
群衆そろって息をのみ
ついで大声をあげる
殺せ!
殺せ!
と怒鳴っている
土気色の顔をした
社長が引っ立てられていく
最期とばかりに大声で怒鳴り
私が一体何をした
社員が死のうが
それはそいつの勝手だ、と
正義感熱き男の子
石を拾って投げつける
社長は再び項垂れる
殺せ!コールが再び響く
殺せ!
殺せ!
ブラック企業を
力無き者を殺めた奴を!
殺せ!
殺せ!と
家族ごと
社長がギロチンを見上げる
諦めと
暴力に勝てぬ己の肩書きが
顔に貼りつく
殺せ!
殺せ!
ブラック企業を
力無き者を殺めた奴を!
かくて月曜日は処刑日
経営陣の怯える日
かくて月曜日は薔薇色
力無き者の革命の日
そんな小さな夢を見た
そんな小さな夢を見た




