死神のディオル
王宮と名付けられたその建造物は、ひとつ足音を立てれば何処までも響き渡る程広い空間だった。
鏡の様に磨かれた砂岩が構成する王宮は、数多くの装飾によって飾られており、まさに絢爛豪華という言葉が相応しい。
普段から王宮を護衛する近衛騎士は、今ではその姿を失い、兵士と傭兵のみが任務にあたっている。
しかし今日の彼等は、何時もよりも慌ただしく動き回っていた。
原因は二人。
一人は漆黒の髪を肩まで伸ばした小さな少年クロ。金色の瞳を持つその幼い顔立ちは、一見少女の様にも見えるが男だ。
もう一人は銀灰色の髪を持つ若い男性ジルクリードだ。程よい体つきに楽天的な印象を与える緩い表情は、もはや顔そのものであるが、今は何時もより余裕が無さそうである。
二人は背後から来る追っ手と、立ち塞がる新手の驚異を退けながら王宮を抜けようとしていた。
「ちっ、次から次へと来やがる!」
続々と加わる新手に思わず舌打ちをしたジルクリードは、状況に対する焦燥感に駆られる。
自身一人ならばまだしも、もう一人を連れて逃げるのは難易度がまるで違う。
『居たぞ!逃がすな!』
「またかよ!」
至る所から響いてくる複数の声に、ジルクリードが面倒臭そうに顔を顰める。
普通の兵士ならば対処は単純だが、状況はそう一方方向ではない。
よく見ると、鎧姿の兵士に紛れるように長いローブを着こなす人物が数名確認できた。恐らくは魔術師と判断して間違いないだろう。
魔術師を確認したクロは、透かさずジルクリードに注意を促す。
「……ジル!魔術師がいる!」
「面倒だな!」
ジルクリードが眉間に皺を寄せながら言葉を吐き捨てた瞬間、クロの視界が上がった。
「……!?」
突然の状況に驚いたのか、目を見開くクロが認識したのは、ジルクリードに担がれている自分だった。
クロは臀部を前方に突き出した体勢のままジルクリードに担がれている為、少々情けない姿を晒されている。
「ジル……!?」
「こうなりゃ自棄だ!しっかり掴まってろ!」
狼狽えるクロに構わず、ジルクリードが一言伝えると、そのまま大きく跳躍した。
均衡状態は悪いが、追手から放たれる魔術を、王宮を支える大きな柱を盾に高所から高所へと回避しながら移動していく。
「上から抜けれそうだな、落ちるなよ!」
視界が瞬時に変化する中、外部へと繋がる開口部を確認したジルクリードがクロに言う。
魔術の数々が命中したのか、背後から轟音が響く中、二人は日の光が差し込んでいる狭い開口部へと飛び込んだ。
「……!」
同時に腸が浮き上がるかの様な感覚が全身を襲う。
クロは風圧を強く受けながら視界に迫る大地に思わず目を瞑る。そんなクロの体をジルクリードは離れないよう力一杯肩へと押し付ける。
「ぐっ!」
重力の赴くまま降下する二人の体を、ジルクリードが着地の寸前で受身を取りながら衝撃を殺して見せた。
それは空気を蹴ったのか、魔術に依るものなのか分からない程に着地を感じさせない見事な完成度だ。
再び左右に揺れる感覚を得たクロがゆっくりと目を開いたその視界に広がるのは、無数の正方形を象った砂岩が敷き詰められた広大な土地だった。
「坊主!ここを越えれば王都内だ!あとちょっとだぜ!」
彼は何処か楽しそうである。
白い歯を見せながら広場を突き進むジルクリードを見て、クロは何故彼が楽しそうにしているのかが分からなかった。
しかし、地下で監視している彼の姿と今では雲泥の差だ。それだけは分かる。
王宮という難所を越えた今、王都を抜けるのは安易に思えた。
背後からはまだ追手の姿は見えない。幸いにも無人だった広場は、ただ前へと進むだけだった。
僅かな希望を胸にクロはジルクリードに問い掛ける。
「このまま王都を抜けられそうなのか……?」
「ああ、俺の体力次第なところはあるが、何とかなるだろ!」
即席で出たかの様な言葉で場を和ませようと陽気にジルクリードが笑う。
だがクロはそうではなかった。
目の前に見える王宮の入り口から感じる違和感がクロを不穏にさせていた。
そう、状況はそこまで甘くは無かった。
「……!ジル!」
次の瞬間、全身を震撼させるかの様な強いものが後方から迫ってきた。
身の毛のよだつ感覚の中、それが攻撃によるものだと気付いた時、クロが急いでジルクリードへ知らせた。
「なっ……!?」
ジルクリードは、突然のクロの警告に警戒心を強めると、背後から接近する気配に進行する進路から大きく横へと跳び跳ねた。
目の前で漆黒の塊が槍状となりながら通過していくのを見たジルクリードが息を飲む。
聞こえる複数の足音。
気付けば広場は、四方八方より駆け付けてきた大勢の兵士によって包囲されていた。
「囲まれた……!」
二人は、武器を構える周囲の兵士を流すように視線を動かす。
王宮、そして城壁の上から広場に至るまで完全に退路を絶たれていた。
「……何処へ行こうというのですか?」
静寂な広場を風のみが音を立てる中、聞こえてきたのは男の声だった。
ジルクリードは静かに声の方向へと振り返ると、王宮の方角、兵士の間から一人の人影が徐々にその姿を現す。
「逃げ足だけは速いようですが、それもここまでの様ですね……」
それは、長い黒髪を後ろで束ねた男だった。右手には先が大きく湾曲した刃が目立つ長い槍状の鎌が握られている。そしてその緩みきった表情から浮かび上がる紅い眼は、無機質の如く淡く、濁っていて暗い。
「その声……」
クロは、その軽々しい口調に聞き覚えがある。それも過去に二度聞いたものだ。
「坊主、知ってんのか?」
「……」
クロは黙って頷いた。
「これは申し遅れました……」
二人の会話を聞いていたのか、黒髪の男はふと姿勢を正すと、緩やかに一礼を行う。
「私は、この国の守護騎士を務めさせていただいております。ディオルという者です。是非お見知りおきを……」
ディオルと名乗った紅い眼の男は、礼儀正しく挨拶をすると、不気味な笑みで表情を満たす。
対するジルクリードは、担いでいたクロを下に降ろすと、ディオルと向かい合う。
「はっ!お前みたいなヤバそうな奴、覚えたくもねえな」
ジルクリードは、ディオルの表情を見て不愉快そうに顔をしかめながらその言葉を突き返した。
すると、一礼したまま静止していたディオルがふと何かに気付いたか、ジルクリードに視線を向ける。
「おや、そう言えば貴方は、陛下の契約で依頼を受けたジルクリード君ではありませんか。……いけませんね。仕事を無断で放棄しては」
彼の指摘を受けたジルクリードは、鼻で笑いながら手に持つ槍で肩を叩きながら皮肉った。
「生憎俺は自由主義なんでね。それから最初に言った筈だ。飽きたらやめるってな……」
「ふむ……そうですか」
ジルクリードの皮肉が通じていないのか、ディオルは無関心そうに軽く顎を掻きながら二人を見下ろす。
「でしたら話を変えましょう……」
少しの間を置いたディオルは、そう言ってジルクリードが担いでいるクロへと手を差し伸べる。
「その少年を此方へ渡してください。それは、これからの未……」
「お断りだな!」
それは即答だった。
ディオルが話を持ち掛けている途中にも関わらずだ。
「……ジル。……!」
無機質に近いクロの感情は、彼の迷いの無い返答により、一つの『意思』となって心の奥で蠢いた。
揺さぶられる意思、人に対する感情。
感じたことの無い感情に理解が出来ないままクロは思わず目を見開く。
「いやはや、相容れない様ですね……。いいでしょう、ならば強制執行するまでです」
ジルクリードの回答を受けたディオルはそう呟くと、周りの空気が揺らめき始める。
「坊主、下がっていろ……」
普通とは違うディオルの気配を前にジルクリードが背中越しにクロへと伝える。
「……分かった」
クロは、胸を握り締めながら込み上げる意思を鎮めつつ、ジルクリードとディオルの二人から少しずつ距離を置いた。
「意地でも護ってやるよ……」
ジルクリードは揺るぎ無い意思を一人言の様に呟くも、ディオルと対峙する中で緊張感が込み上げていた。
状況は悪い。しかし、そんな事はジルクリードにとって悩みの対象にはならない。
彼は仕方がないと言わんばかりに息を吐くと、持っていた槍を勢いよく振り下ろして構える。
「上等だ。俺もてめえのその気持ち悪い面に一発叩き込んでやるよ……!」
揺るぎないジルクリードの判断に、ディオルは不気味な笑みを落とすことなく、歓喜の声をもらす。
「いいでしょう!ならばその身、厳罰を以て処する事にしましょう……!」
ディオルはその台詞から考えられない昂る高揚感を全身から放ちながら鎌を構える。
「……!?」
ジルクリードがクロに注意を促すのとそれは同時だった。
距離が置かれていた筈のディオルの姿は目の前にまで来ていた。
距離に比例する重圧から空気を突き抜けてくる刃は、歪みの無い軌道を描きながら真っ直ぐジルクリードへと向かって行く。
「ぐっ……!」
鳴り響く鋭い金属音。
ジルクリードは、ディオルの鎌に対して身を引きつつ自身の槍で受け流し、迷わず距離を置く。
「逃がしませんよ……!」
透かさず間合いを詰めて攻撃を重ねるディオルに、ジルクリードが反射神経に依存した回避を続ける。
こいつ……!速くてバランスが保てねえっ!
攻撃と回避を繰り返していく毎に体を支える均衡が崩れていくと、ジルクリードはやむを得ず魔力を槍へと込める。
「おらぁっ!」
ジルクリードが大きく叫ぶのと同時に次の攻撃に対して槍を自身の体の直前に構え、素早く凪ぎ払うと、激しい突風が瞬間的にディオルへと放たれた。
「……!」
ジルクリードの急な抵抗にその攻撃範囲から離れたディオルが一瞬立ち竦んだ様子を見せると、面白そうに笑う。
「ほう……、なかなか善い反応です。ここまで私の攻撃を受け流すとは……。実に興味深い」
ディオルは、ジルクリードに自身の技を対処された事に随分と感心している様子だった。彼から滲み出る愉悦は、戦いそのものを娯楽と捉えているかの様な邪悪さを感じる。
「本当薄気味悪い奴だな……、それ以上喋んじゃねえ」
不快そうに眉間に皺を寄せるジルクリードがその場で槍を構え、次の攻撃に備えた。
「おやおや、私の称賛がお気に召しませんでしたか?」
「だからその言い方が気に入らねえんだよ!」
嘲笑を交えたディオルの言葉が火へ注がれた油となったのか、ジルクリードが苛立つ意思を吐き叫びながら魔力を込めた槍を突き込む。
推進力に従うがまま勢いよく突き出された槍は柳緑色の気配を纏いながらから大きな風を生み出し、それは無数の鎌鼬の様に周囲の空気を切り裂きながらディオルへと襲った。
「……風の加護ですか、面白い!」
風の音が変化すると共に砂塵を舞い上がる中、ディオルはその手の鎌を以て漆黒の気配を集め、風の刃を纏めて相殺させる。
「なっ……」
ジルクリードは、自身の攻撃を一つの動きで掻き消したディオルに驚きの表情を浮かべる。
「攻撃への対処が善くて期待していたのですが、とても残念です……」
笑いを浮かべていたディオルの表情から突然感情が消えた。
「……!」
ジルクリードは、様子が変化していくディオルに対し、無意識に槍を構えて後退る。
「興醒めですね、もう遊びはやめにしますか……」
ディオルは、その無機質の表情から短く言葉を告げると、握られた鎌から漆黒の闇を広げる。
深淵を感じさせるその闇の気配には、ジルクリードだけではなく、周囲の兵士にも動揺が走る。
これは……。
クロは、ディオルが持つ鎌から流れる闇の気配から呻き声が聞こえていた。それも数え切れない程の呻き声が無数の領域となって空間を支配しながら聞こえてくる。
「短い余生でしたね、ジルクリード君……」
ディオルがそう言って鎌を後ろへと振りかぶった時、クロの中で何かが過る。
「ジル!」
鎌が振り払われると同時に闇が視界全体を染め上げた。目の前の事態にクロは素早くジルクリードの槍掴み取り、二人の間へと飛び込んだ。
「……!?坊主!やめろ!」
背後から槍を奪われた事に一瞬気を取られたジルクリードが、クロに気付き、手を伸ばすが間に合う筈もない。
あの時、アトリエで教わった魔術を行使する為の術を思い出す。思い出して、思い出して、思い出し続けた。
近付く無数の呻き声。昂る恐怖感。クロは迫る闇の空間を前に、力一杯目を瞑りながら恐怖を抑え込み、必死に槍へと魔力を込め始めた。
「……!」
そしてクロの全身に無数の人の手の感触が伝わった時、王宮広場は唸る様な爆発音が響き渡る。
「ぬあっ……!」
暴風と共に広がる闇に、ジルクリードが思わず腕で顔を覆う。
ディオルが放った漆黒の闇は、淡い色となって拡散し、そして消えていった。
静寂に包まれる広場。ジルクリードは、鎮まる脅威に腕を下ろす。
「……!おい坊主!」
気付くとクロは地面へと横たわっていた。
ジルクリードが急いでクロへと駆け寄り、その小さな体を前後に揺さぶる。
そして反応が消えていたクロから意識が還る。
「げふっ……はぁ、……はぁ」
咳と共に乱れる鼓動に、クロは意識から来る苦痛に表情を歪ませながらゆっくりと地面に手をつけ、上体を起こした。
「……私の技を」
二人が意思を交わす中、呆然と立ち尽くす男が一人。
彼の失った表情から洩れた言葉からは、驚嘆と次への衝動を感じさせる。
「ディ、ディオル様……?」
部下であろう兵士は当然呆然となる彼を見たことが無かったのだろう、兵士の一人が困惑を隠しきれない様子でディオルへと声を掛ける。
「素晴らしいっ!なんという事でしょう!」
ディオルは目を見開きながら両手を左右に広げ、その気持ちを解き放つ。
「神が生んだ子とは聞いていましたが、これは想像以上です!……ああ、これは面白い!」
理性が感じられない彼の言葉は、表情や動作、全てに至るまで制御を失っていた。
強いものへの興味が彼を更なる行動へと移らせようと躍らされる。
「てめえ、いい加減にしろよ……」
感情を剥き出しにするディオルに、ジルクリードが怒りを露にすると、自然に槍を握る手に力が入る。
「それが人のする事なのかよ!」
激しい怒号と共に槍を突き出すジルクリードに、ディオルは興奮した様子で笑う。
「笑止!絶好の獲物を前にして黙っているなど有り得ません!」
ジルクリードの指摘を物ともせずに感情を振るい、再び次の攻撃を加えようと地面を蹴り始めた次の瞬間、互いの視界に閃光が走った。
「……!」
ディオルは接近する閃光が一本の矢と理解した時、体を捻らせて矢の軌道から避けた。
光を帯びたその矢は、地面を砕きながら大地へと突き刺さると、徐々にその光を失う。
「間に合ったみたいですね……」
誰もが矢を放った主を探す中、クロはその声の主に気付く。
その彼女の声から感じる優しい感情、忘れる筈など無い。
「リー……シェ」
胸中を渦巻く苦痛の中、クロは背後の城壁を見据えながらその名を呟いた。
「クロ……。もう大丈夫ですよ」
彼女は穏やかな微笑みを浮かべながらからクロを安心付けさせる。
「ほう、エルフですか……。それも見たところ貴重な純血種。これは珍しい、あの時の記憶が甦ります……」
一方で城壁の上に立つリーシェを見上げながら感心するディオルに、クロが叫ぶ。
「気を付けてくれ……!あの者の力は……」
クロは、ディオルが持つ力の禍々しさをリーシェへと伝えようと必死に声を絞り出した。
「知っています……」
どうやら彼女は既に知っている様だった。リーシェはクロへと短く伝えると、ディオルへと向き直る。
「お願いがあります……。このまま二人を見逃してはもらえませんか……?」
リーシェはディオルを交渉へと持ち込んだ。態々敵である彼と交渉する様な御人好しは彼女らしくもあるが、結果は当然変わらないだろう。
「それは交渉にはなりませんね。二人を見逃すということは、我々の契約と相反しますから。それよりも……」
リーシェの交渉を断ち切りると、一度落ち着いた筈のディオルの表情は狂喜に染まる。
「この場に居合わせた貴女には、相応の対応をさせて戴く必要があります……」
それは予想通りの結果だった。
ディオルから感じる禍々しい気配は、再び場に緊張感を与える。
「分かりました。交渉は決裂みたいですね……」
リーシェは悲しそうに呟くと、手に魔力を込め始めた。
そして彼女の右手に集まった目映い光は目の前へと振り払われると、大きな球状の魔法陣を浮かび上がらせた。
「……!?」
驚きが広がる中、リーシェは魔法陣を起動させると、強い光と共に空間が捻れる。
「こ、これは……」
そして巨大な魔法陣から何かが現れた。
獣の様な大きな体は菜の花の如く、艶やかな色の毛に覆われ、後ろには三つの尾が逆立ちながら静かに揺らめく。
その獣は、四足を地に着けながら広場に立つ三人を真っ直ぐ見据える。
「二人をお願い!」
リーシェの願いを聞き届けたのか、魔法陣から現れた三つの尾の獣が頭を上げながら吠える。
「ウオオオォォォン!」
その遠吠えからは一瞬だった。その獣は稲妻の様な軌道を描きながらクロとジルクリードへ接近する。
「ちょっ、おい!何だこれ!?ごうっ!」
状況に対する理解が追い付いていなかったジルクリードは突然の展開に反射的に抵抗しようとするも、成す統べなく光の中でクロと一緒に獣の巨体へと乗せられる。
「ありがとう!行くよ!」
二人を乗せた三つの尾の獣は、広場を瞬時に離れると、リーシェを乗せて王宮から離れ始めた。
「ディオル様!目標が逃げてしまいます!」
兵士が慌ててディオルに訴え掛けるも、その獣の姿はもう小さく、既に王都郊外へと遠退いていた。
「……ふふふ」
深く俯いたディオルは、槍を力なく握ったまま静かに笑う。
「ディオル様……」
「はははは!召喚獣ですか、いやいや、今日は非常に面白い日です……」
彼は自身の滑稽さに対する笑いを言葉に集わせた。
そして戸惑う兵士達へと振り返り、乾いた笑みを浮かべる。
「追跡はやめましょう。彼等の行き先は想像がつきますから……」
ディオルは踵を返すと、兵士の間を通りながら影で無表情を表した。
「……楽しみはこれからです」
荒れくれた王宮広場は、ディオルの指示と共に再び静寂へと戻り始める。
来るべき殷賑の時を待って……。




