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Zagroud Fertezia ~堕ちた英雄と記憶喪失の少年~  作者: ZAGU
第一章『強欲の国』
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暗黒の手中で


 広がるは幅の広い廊下。


 アレクシア王国を連想する淡い小麦色とは異なり、深い樹木の亡骸が群を成しながら死の森の如く闇を生んでいた。


 地べたを這いつくばる毛氈(もうせん)が多種に渡る生命の死を彷彿させ、その皮肉さを物語る。



 ここはドラノフの屋敷。



 彼が帝国という異国の出である事を示唆するかの様な内装だ。王都で見たエミルの製紙屋も王都とは異なる風情だが、それと比較すると不気味なのはドラノフの趣味であろう……。


『相変わらず薄気味悪い屋敷ですね……。過去に彼が開いた晩餐へ訪れて以降になりますが、一向に慣れません』


 脳内に響くリアンネの不快の意がその口調から鮮明に伝わってくる。


 ところで……。


「……リアンネは高貴な身分なのか?」


 少年の素朴な疑問が飛ぶ。

 それを聞いたリアンネは少し動揺した反応を見せる。


『な、何でもございません。……それよりも、今は脱出を急ぎましょう!』

 

 図星ではある事は間違えなさそうだ。

 少しばかり気にはなるが、少年はこれ以上追及せずに納得という言葉を自身に押し付け、先を急ぐことにした。


 彼女の指摘の通り、逸早くこの場を去らなければならない……。


「分かった。出口を探す……」


 視界に伸びる廊下が分岐するのは左右の二通り。幸いにも鳴る足音を厚い毛氈(もうせん)が半殺しにしてくれる。

 体重に縋る事無く、少年は自らの筋力で進路の軌跡を描き、歩を進める。


『……廊下の先を左に曲がれば客室の間、右を行けば食堂になります。先ずは食堂へと向かってください』


 彼女が何時の晩餐に参列したかは分からないが、随分と鮮明な記憶力をしているみたいだ。

 少年は廊下の突き当たりまで到達すると、人の気配を探りながらリアンネの指示に従い、右へと進む。


 ここまでは窓一つ無い密接な廊下だ。


 軈てそれは、一つの境界線によって別の空間へと紡ぎ出される。


 朱いテーブルクロスが長い机上で闇の混沌を冗長させる死霊術師(ネクロマンサー)の斎場の様な不気味な空間。


 食堂だ。


 幅広の煉瓦で積まれた無灯の暖炉が見上げる縦長の窓ガラスから覗けるのは、栗色の石畳が張り廻る無人の中庭。

 幸いにもここまで無人ではあるが、見張りがこうも居ないと胸中がざわめく。


「誰もいない……」


 流石に違和感を隠しきれないクロは、自身の目を疑いつつも、周囲へと目を凝らした。


『おかしいですね……。本来であれば使用人や衛兵の者が任に就いていてもいいのですが』


 リアンネが空き巣も同然な屋敷の光景に不信感を抱いていると、遠くから床を踏みつける幾つかの音が近付いてくるのが分かった。


「……待て、誰か来る」


 その迫る音が足音であると判断した少年は、急いで身を隠せる場所を探した。



 朱いテーブルクロスに煉瓦製の暖炉。



 そして隅には食器を並べる為の木製の棚、上部は高価な硝子が張られ、下には隠れられそうな小扉がある……これだ。



 透かさず身を乗り出した少年は、その食器棚へと狙いを定めて移動を始めると、幾つもの足音は目前にまで接近してきていた。

 間違いなくこの食堂へと向かってきている。


「……」


 クロがキャビネットの中へと入り込むのと扉が開くのは実に同時だった。

 古ぼけた家具の中は実に埃っぽく、窮屈ではあるが、背に腹は変えられないだろう。


「……うっしゃあ、おめぇ等ここで休憩だ休憩!」


「いいのかよ勝手に入って、依頼人の屋敷じゃねぇのか?」


「構いやしねぇよ。今なら誰も居ねぇし、減るもんじゃねぇしな」


 食器棚の小扉に空いた僅かな隙間から食堂の内部を覗き込む。


 見たところ三人だろうか……。


 全体像までは見えないが、気配からして規模はそれくらいだろう。


「……あの身なりは」


 しかし彼等の外見は、衛兵や正規兵等とは異なり、その統一性の無い装備が目立つ。そう、彼等は……。


『……どうやら傭兵の様ですね。傭兵団独自の紋章を持たないところから察するに、あの方々は単独の傭兵の集まりと見受けられます』


 冷静に解析するリアンネの言葉を聞いていたクロは、妙な引っ掛かりを覚えていた。


 それは何故傭兵がドラノフの屋敷に居るのかというところだ。


 雇われたという事は、少なくとも屋敷の見張り番か何かだとは思うが、それならば自軍を運用する筈だ。


 クロは、息を殺しながら食堂の椅子へとだらしなく座り、木製の容器を取り出し始めてはその中身を飲み出す傭兵達の様子を観察し、彼等の談笑に耳を傾けた。


「つぅかさ。あの餓鬼本当に放っておいてよかったのかよ?」


 餓鬼とは恐らくクロの事だろう。

 雑な呼び方だが該当するのは一人だけだ。


「いいんだとよ。それよりも重要なのは、ついさっき研究室に入り込んだ侵入者なんだとよ」


「その侵入者って、誰だよ」


 気になっていた話題が上がってきた。

 他の傭兵と同じく、少年もまたその回答を待っていると、彼は怪しげな笑いを浮かべながら答える。


「にひぃ。聞いて驚くなよ、正体はあの有名な情報屋……」


「ちょっと待て!情報屋ってなると、()がるのは一つだけじゃねぇか!?」


「金になる情報の為ならば手段を問わない……そう。ずばり、あの鉄甲鬼(・・・)の名で恐れられている人物が束ねる闇の情報屋だ!」


 鉄甲鬼……初めて耳にする名前だ。

 頭の片隅にでも置いておくべき存在だろう……。


『……情報屋、やはり来ましたか』


「知っているのか……?」


 ふとぼそぼそと呟くリアンネ。

 少年がその内容を訊ねると、彼女は率直に答えてくれた。


『……はい、あの方々は主に西側諸国を牛耳る組織です。限定された人物でしか接触が出来ないと云われていて、その諜報活動や所在地についての多くが謎に包まれています』


 謎に包まれた情報屋。

 いつの日にか出会う機会が訪れるのだろうか……。訪れるのだとすれば、善い方向で接触したいものだ。

 それに、記憶を失った少年について何か知っている可能性がある。


 そんな考えで将来情報屋と接触した際の状況等を、少年は想像していると、傭兵達が何やら別の話をしていた。


「……そう言えば、あの銀髪の槍野郎何処行ったんだ?」


「あぁ。あの生意気で()かした野郎か、奴なら旧友の男とやらと一緒に王宮の方に行ったぜ」


「何故また王宮に?だってあそこは正規兵の持ち場だろう?」


「依頼人に気に入られたんだとよ。志が高いだとかなんとかっつぅ話みてぇだが」


「んだよそれ……取り分あの野郎に持ってかれるっちゅう事だよな、胸糞ダリィ……」


 傭兵の男たちはそれぞれに言葉を交わしながら対象への悪態をつく。

 挙げ句の果てに呷る酒が深みを帯びる始末だ。

 早くも出来上がる彼等がああなってしまった以上、暫くこの場を出られそうにもない。


「……銀髪の、槍野郎」


 そう思わず呟く。そう、少年にはその人物に見覚えがあった。……あの時商人が貴族街の屋敷で降りたと言っていたが、ドラノフの屋敷だったのか……ジルクリード(・・・・・・)

 志が高いとか言っていたが、出来ることならば彼がドラノフに加担しているとは思いたくない。


『ご存知なのですか?』


 考え込む少年に、リアンネが問い掛ける。出来れば状況を確認したいところだ。


「……以前、世話になった男だ」


 しかし今、この場にジルクリードが居たとすれば、少年は素直に助けを求められただろうか……正直、それは分からなかった。

 彼も傭兵の身だ。請け負った依頼を簡単に無下に出来るとは言い切れない。


 助けを請うのは甘えなのだろうか……。


 纏まらない自身の考えにもどかしさを覚えたクロは、一先ず食堂の様子を窺おうと再び覗き込んだその時。



「うえぇい……酒はここかぁ?」



 人相の悪そうな強面と目が合った。

 視界いっぱいに広がるのは、酒焼けした紅顔と鼻を曲げんばかりの凄まじいアルコールの臭気。


 仕上がった傭兵のそれだ。



 マズい……!



 一瞬何が起きたか分からない様子の二人だったが、先に状況を察した少年が急いで棚から飛び出した。


「……が、餓鬼が逃げてるぞ!?」


 背後から怒濤の叫び声を上げる第一発見者こと紅顔の傭兵。

 無論、今の少年には後ろを振り返る余裕も無いまま、一目散に左手の扉を押し開いて駆け出した。


『このまま逃げましょう!この廊下を真っ直ぐに走ればエントランスな筈です!』


「分かった……!」


 道筋も定まらぬまま走るクロに、リアンネが急いで出口へと導き始める。


 背後には真っ赤な鬼が三体、不可思議な足取りで駆け寄ってきているのが見える。鳥肌が立つ光景だ……。

 捕まってはいけないという事を本能が報せてくれる。


「待ちやがれ糞餓鬼!」


 幸いにも速さは此方の方が勝っている。

 少年はそんな思いで廊下を走り続けていると、リアンネの言う通り、エントランスが視界に広がった。


 残るは目の前にあるあの扉を押し開くだけだ。


 激しい焦燥感と共に扉の持ち手に手をかけたクロが力を込める……しかし。


「開かない……!?」


 あろうことか、扉は微塵も動こうとしなかった。


「はぁ、はぁ……へっへっへ。残念だったなぁ糞餓鬼が……イキドマリだ!」


「サボりがバレないよう鍵を閉めておいたんだが、大正解だ」


 そうこうしているうちに傭兵達に追い付かれていた。

 肩で息をしながら随分としんどそうにしているが、手にはそれぞれ武器が握られていた。


「痛くはしねぇから大人しく捕まれや。そうすりゃあ脱獄の阻止っちゅうことで俺達の報酬がぐんとあがるんだからよ」


 今いる場所は扉の前。エントランスには少年を囲むようにして三人の傭兵が逃げ場を塞いでいた。


『……そんな、このままでは』


 絶望感が脳裏を過る。

 だがここまで来たのだ。出口を前にして諦める訳にはいかない。


「……」


 自然と拳に力が入る。 

 退路は閉ざされた、ならば……。


『……クロ様。何を』


 心配そうに声を掛けるリアンネ。

 其れも其のはず、少年は大人である現役の|傭兵三人(酔っぱらい)に対して丸腰で向かっているのだから。


「お、餓鬼の癖に随分と見上げた根性じゃねぇか」


 右端にいる棍棒(メイス)を持った男に狙いを定める。

 そして相手の動きに躊躇する事なく駆け出した少年は、急いでその懐へと飛び込んだ。


「来たな、おらよっ!」


 余裕の発声と共に相手が繰り出した蹴りは、間髪を容れずに少年の脇腹へと沈み込んだ。


「がっ……!?」


 激しい衝撃が少年の小さな体を容赦なく襲い、床を転がった。


『クロ様!』


 少年の危機的状況に、リアンネが思わず声を上げる。


「へっ、ちょろいぜ……おい餓鬼、って、いでででででで!?」


 轟く男の激痛に満ちた悲鳴。

 そう、覚束無い平衡感覚で歩み寄ってきては胸ぐらを強引に掴んでくる彼の腕を、少年は力の限り噛み付いているのだ。


 そして相手が怯んでいる隙を逃さず、次は金的に膝蹴りを食らわせる。


「がっ!?」


 何とも言い難い感触が膝に伝わってきたのは不愉快だったが、手段としてはやむを得ないだろう。

 彼は、痛みの余り口を噤みながらその場で瀕死の海老の如く悶絶を始める。


「て、てめぇ!餓鬼がいい気になるなよ!」


 油断を弄した事に逆上したのか、もう一人の中央に居た別の傭兵が手に持っていた剣を振り翳した。

 あれを食らえば一溜まりもない。


『クロ様右です!』


 少年の視界を反して状況を見極めたリアンネが次の行動を促してきた。


「……!?」


 彼女の言葉を汲んだ少年は、間髪容れずに右へと飛び込んだ。


 左へと落ちる男の剣先。


 相手が泥酔とは言え、安易な判断は死を意味しているという事を目の前の光景が犇々と伝えてくる。


 再び剣を構え直す傭兵の男。


 次の攻撃が来れば対処が厳しくなる。


 そう感じて周囲に視線を振り撒いた先にあったのは最初の|傭兵(海老)が持っていた武器、それは棍棒(メイス)だった。



 届け……!



「洒落臭ぇんだよ!」


 棍棒(メイス)へと手を伸ばすクロ。

 それを善しとしない男の一閃。


「……!」


 少年は、全力で男の脅威から距離を取りつつ棍棒(メイス)を握り締めた……その時。


「そんな事はさせませぇん!」


 持ち上がる筈の棍棒(メイス)は、床と接着された様に動かなかった。

 同時に陽気な言葉を垂らしながら煽るもう一人の男の声。

 そう、三人目である彼の存在が視野に入っていなかったのだ。


「でかしたぞ!」

 

「くっ……!」


「あぁ動くんじゃねぇぞ……誤ってぶっ殺しちまうかもしれねぇからな」


 暴れる少年を二人がかりで押さえ込む傭兵が激昂の言葉を口に出す。



 万事休すか……。



 あともう少し。

 あともう少しだったにも関わらず、リアンネとの約束を守れなかった。


「……さぁて、どうしてやろうか」


 強引に持ち上げられる少年。

 抵抗しようと足掻くが、相手が大人ではその力の差は歴然だった。屈強な筋肉に阻まれ、まるで鋼鉄の鎖に拘束されているかの様な感覚だ。


「あぁあ……俺の大事な仲間が痛がってるじゃん、こいつは落とし前をつけてもらわなきゃなぁ!」


 止めようのない感情の矛先が集中的に少年へと注がれる。

 そんな二人の顔を、少年は睨み付ける事しか出来なかった。


「つぅか、この餓鬼なかなか可愛い(つら)してんな」


「……確かに。こいつは今晩のおかずにでも」



 何をする気だ……。



 おぞましい程の恐怖が少年を襲う。


「こいつ、実はあれなんじゃねぇの……どれどれ」


「や、やめろ……!」


 一人の傭兵が今にも涎を垂らしそうな火照った顔立ちでクロの衣服に手を伸ばすと……。





「久々に帰ったかと思えば、随分と騒々しいですな……」





 聞き覚えのある男の声が耳へと入ってきた。


 それはこの屋敷に入れられる前、朦朧とした意識の中で聞いたあの声だ。


「いっ、依頼人!?」


 声を聞いた傭兵の男二人は、一つの方向へと振り返ると、電撃が走ったかの様に少年を手離した。


 そのまま床へと突っ伏した少年は、駆け付けてきた複数の兵士によって拘束される。


「……?」


 クロは、傭兵が見ている方向へと視線を向けると、そこには一人の人影が此方の様子を窺っていた。


 外へと繋がるエントランスの扉は開かれ、太陽の日差しを背景に浮かび上がるのは、貴族風の身なりをした中年の男……間違いない。


「……ドラノフ」


 少年は中年の男の名を口にする。

 すると、ドラノフと呼ばれた中年の男は、露骨(・・)に驚いた様子を見せる。


「これはこれは、態々此方側から名を名乗る必要も無いみたいですな」


 業とらしく不敵な笑みを浮かべたドラノフは、尚も睨み付けるクロに対してお辞儀を始める。


「クロと申しましたか……貴方の活躍は大いに堪能させていただきました。私の自慢でもある魔科学技術の力をこうも容易く破られようとは……実に興味深い」


 彼は一体何を言っているのだろうか……。

 その口振りからして、まるで終始此方を見ていたかの様な物言いだ。


「どういう意味だ……」


「無論、そのままの意味であります。……ですが、捕捉くらいはしておきましょう」


 嘲笑を浮かべたドラノフは、懐からとある物を取り出し、それを見せる。


 円盤の形状をした奇妙な容器。透明な硝子越しにしてその中心に納まるのは、虹色に輝く不思議な石だった。

 その石は、容器に刻まれた文字の光に合わせているかのように発光している。


「これは、クロメニア大聖石を原動力とした魔科学技術の結晶です……」


 聞いた事の無い言葉ばかりを羅列しながら自慢気に語り出すドラノフ。


「クロメニア大聖石……」


「左様。まだ試作段階ではありますが、これは神々の力を繋ぎつつも、その力を第三者によって共有する事の出来る優れものです……例えば、姿が見えなくとも会話を可能にする事であるとか……」


 ドラノフが悪戯交じりの醜悪とした容貌で状況への示唆を促す。


「目に見えない会話……。……リアンネ!?」


 不覚ながらそこで漸く気が付いた少年が必死に声を上げながら彼女の名を口にするが、返事は返っては来なかった。


「……全くあの娘らしい勘の良さですな……。ですが、その努力も無駄骨という訳です」


「リアンネをどうした……!」


 彼女の存在を燻るドラノフに、クロは唸りながら咎めた。


「あの様な国を脅かす娘の事は忘れなさい。今、私の興味は貴方にあるのですから」



 国を脅かす?何故、リアンネが……?



 翻弄されているのか、それとも翻弄されていたのかが分からなくなったクロに困惑が走る。


「王宮へとお連れしなさい……」


 少年の疑問を適当に弾いたドラノフが兵士へと指示を出すと、左右の腕をしっかりと固定されたクロは、そのまま歩かされ始める。


「くっ……離せ!」


 懸命な抵抗も空しく、屋敷の外へと出された少年の背中姿を見届けたドラノフは、小さく嗤った。


「さて、私の研究室が荒らされ挙げ句、犯人を取り逃したのは予想外でしたが……それ以上に不愉快な事がありますね」


 振り返るドラノフの視線の先。それは、先程少年と交戦していた傭兵の男三人だった。


「あ、あ、あああれはですね。餓鬼が抵抗してきやがってですね」


「そ、そうっすよ。俺達は逃げようとした奴を取っ捕まえただけっす……す」


 一人床で未だ踞っているが、二人の言い訳も言葉尻には燃え尽きた蝋燭の火の如く弱々しくなっていく。


 ドラノフはそんな二人に対し、静かな審判を下そうと、口を開く。


「否。私の大切な素材を傷付けた事を、あの世で悔いる事ですね」


「ひ、ひいぃぃぃぃ!?」





 断崖の嗚咽と共に、彼等三人の行方を知る者は、誰一人として居なかった……。





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