きっかけのお話し。3
「うん!お願い。」
いつも以上のニコニコ顔に嫌な予感しかしない。
「まず内容を教えて。」
教えてもらっても、お願いを受ける気にはならないと思う。
過去には真のお願いをきいていたけど、そんなに良い思い出はなかった。
「本当⁉︎あのね、来てほしい所があるんだ。ついて来て?」
内容を教えてって言ったのに、真絶対に聞いてないな…
それに昔、あの言葉を言われたことがあり、ついて行ったら、そこには大量のトマトが…
あれがトラウマでトマト食べれないんだから!
「あれ?どうしたの?」
ついてこない私を見て、数歩進んでいた真が戻ってきた。
「嫌だ!絶対に行かないから!」
「ちょっと!何谷本くんのお誘いを断ってんのよ⁉︎」
葎…それじゃ、そこら辺にいるキャーキャー女子と同類だぞ!
いつもの“りっちゃん”に戻れー
「大丈夫、大丈夫。亜空、今回のは俺だってやりたくないんだけど、君の将来の事を思うとやっぱりやらないとって思うようなチョー大事な事なんだ。だーかーらー」
私の身長に合わせるかの様にかがんでいたノッポの真が立ち上がると同時に足の重みがなくなってい…へ?
なんで真に抱えられているんだよ⁉︎
ってか、真って人間を片手で抱えられる程、強力だったけ?
「亜空が何と言おうと連れて行くから!
じゃあね。“リッチャン”」
行くよ。と走り始める真。葎はというと、紅く染まりすぎた顔でただ呆然と立っていた。
まぁ、背の高いノッポが人を担いでいたら結構目立つという事で、下校中の生徒や部活動に行く途中の人にジロジロ見られてめちゃくちゃ恥ずかしい…
「…ねぇ、どこ行ってんの?」
「んー部室?いやぁー、亜空は小さくて持ちやすいよ。」
嘘・・・でしょ?
真の部活はサッカー。
私的にサッカー=男子
という事は今からあんな男だらけな所に連れて行かれるって事?
それだけは嫌だと思いっきり暴れてみましたが、真には全く効果がありませんでした。