きっかけのお話し。1
「ねぇ、亜空ってさ、好きな子いないの?」
「…え!?」
思わず聞き返してしまうのも意味がない。
私、北崎 亜空。
桃ノヶ丘中学校に通っていて、今日から2年生!
今、へんなことをきいてきたのが親友の岡口 葎。
とっても明るくて、みんなに“りっちゃん”って呼ばれてるし、運動神経も、頭も良くてモッテモテ!
よく告白されているんだけど、男子が泣いて帰って来る姿しか見たことがない。
だから勇気を出して1回聞いてみたの。どうして泣いているの?って、
そしたらその男子
「りっちゃん、告白したら興味無いって…今後1回でもこの話したら友達辞めるって…」
男子はわんわん泣いていた。
(うん。聞こえづらい。)
つまり、葎は恋に全く興味が無いということ。
それなのに、なぜこんなことを聞いて来たのかが分からない。
まぁ、それを聞いたのが小1の頃。もう7年も経ったし、葎も変わったのかも。
「おーい!亜空?生きてる…か。」
「え?…何?」
昔の事を思い出していたらいつも声をかけてくれる葎。
私、1人の世界に入ったら、自力では戻れなくなる。
だからとってもありがたいんだ!
「だーかーらー、好きな子はいないのか?って話し。忘れたの?」
あっ、そうだった!
けど、その答えはいいものとはいえない。
しかも、あの話だったら葎だって知ってるはず。
「知っているでしょ?好きな子もいなければ彼氏もいない。作る気もない。」
私の言葉を聞くと、呆れた顔をして言ってきた。
「そろそろ直そうよ…」
ーその男嫌いー