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奇異奇譚  作者: 神宮幸太
第一章:奇異調査隊
3/5

2話

 昼休みのため生徒でごった返している食堂についた邦敏は、誉を探すが人が多すぎて中々見つけられないでいた。

辺りを見回していると少し離れた場所に人だかりができている。


「なんだ……?」


誉の姿は見えないが人だかりが気になった邦敏はそちらに歩みよる。

人だかりは円になっており、その円の中心によく朝にみかける顔が見えた。


――五十嶋幸だ。


 桜塚学園の現生徒会長で、去年も三年生を差し置いて生徒会長だった人物である。成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗そんな言葉がぴったり当てはまりなおかつ人柄も良し、そして密かにファンクラブまであるという話だ。

ほとんど食堂に顔をみせない幸が珍しくいたため、ファンであろう生徒たちに囲まれて談笑をしていた。

 案の定誉の姿がそこには見えないので人だかりから少し距離を置き、邦敏が少しうなだれていると制服の袖を誰かに引っ張られる感覚がした。


「ん? って誉、お前どこにいたんだよ」


「ふぅ……やっと見つかった 僕が来た時にはもう席が埋まってたから購買に行ってたんだよ」


 ほら、と邦敏の前に見慣れた袋を目の前にもってくる、その中には二人分と思われる昼食や飲み物が入っていた。

そしてニコリと笑いながら外を指差し。


「外で食べよ」


と、提案をしてきた。



 外は朝に比べて湿気が少なくなり思ったより涼しく、二人は日陰になりそうな大きな木の下に腰を下ろす。

さっきの食堂と比べ人がほとんどいなく遠くの方から生徒たちの声がわずかに聞こえる。


「昨日の雨が乾いてきてるから多少涼しくなってきたね。 はい、これトッシーの分」


「だな お、サンキュー」


 誉に昼食代を渡し、受け取ったパンを頬張る。


「そういえば杏奈ちゃんは?いつも一緒にいるのに」


「いつも一緒にはいないだろ…… 今日は部活のミーティングだって言ってたな」


 ふーん、と納得したのか誉は持っていた紙パックのジュースを音を立てて飲む。

そんな誉を横目でみつつ邦敏は目と鼻の先にある旧校舎に視線を向ける。

 旧校舎は木造で老朽化して、所々腐っているのがここからでもはっきりと見えた。

随分昔、肝試しに入った生徒が腐っていたらしい床板を壊し怪我をしてそれ以来旧校舎の出入りは禁止になったという話だ。出入り禁止だとしても普通の生徒なら安易に近づこうとはしない。


 何も考えずパンを頬張りながら邦敏がみていると人影が旧校舎の窓から見えた。

はっきりとは見えないが、女の子っぽい人影でそれを凝視する。しかし、凝視していたため目が乾き一度瞬きをしたらその一瞬で人影が消えてしまった。

人影が消えてしまったことに邦敏はパンを口に運んでいた手を止め、ジッと旧校舎を見る。


「どうしたの?」


「いや、今旧校舎に誰かいたような気がして……」


 不思議そうに邦敏をみていた誉も同じように旧校舎に目を向けるが、見渡す限り人影などどこにもいない。


「見たところ誰もいないけど……気のせいじゃない?」


「そう……だな」


俺の見間違いだった、と言おうとした瞬間空からガラスの割れる音がして今まで雲一つなかった青空が一瞬で






紅に染まった






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