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運命の日

平岡俊ひらおかしゅんは夢見る受験生!

 マニは宇宙局から釈放された。惑星サツキがベテルギウスに激突する運命の日を、俊は夢の中でマニと見守る。

 運命の日


 惑星サツキへのレーザー照射にほとんどのエネルギーを使用し、ナガツキで使えるエネルギーが激減していた。

『家へ帰ることを許可されたの。久しぶりに帰ってこれたんだけれど……お風呂に入れなくて残念ね』

「え、ああ。残念だ。早くお風呂に入れるようになってほしいよ」

 スケベ心で言っているわけではない。


 お風呂もしばらくは我慢しなくてはいけないらしい。

 人工で育てている植物は枯れていき、照明などもほとんど使用できない。

 生活するのに必要最低限の残されたエネルギーだけが、時間を決めて照射されてくるそうだ。


 臨時ニュースがテレビのような平らな画面に映し出され、惑星サツキを恒星に衝突させる作戦の説明が報道され続けていた。

 広く寒い部屋の中で見守っていた……。


 黒色の惑星サツキに花火のような核融合が起こると、どんどん小さくなってベテルギウスに近づいていくのが映し出される。まるで吸い込まれていくようだ――。


 実際の映像のくせに、まるで早送りのような想像を超える速さだ!

 数日後には衝突するのではないだろうか?


 数年規模の長期計画ではなかったのだ! 


『予想到達時刻は、明日の夜よ』

「――明日だって?」

『核融合が最大にまで促進し、光速に近い速度で衝突させる計画らしいわ。……それじゃおやすみ』

「あ、ああ。おやすみ」

 義眼のバッテリーが残り少ない。少しでも話していたいのにマニとはほとんど会話らしい会話すらできない。

 少しずつ状況を説明して義眼の電源を切る……今日までそれを繰り返していた。そして、

 

 運命の日が訪れた――!




 予定時刻通りに惑星サツキは恒星に衝突したのだが――、超新星爆発は起こらなかった――。


 ベテルギウス周辺の光が黒いシミのようなところへ吸い込まれるのが観測され、その黒い部分が急速に収縮を起こしていく。

 重力だけが急増加して、光もそれに負けているのか――? 

 グニャリと赤黒い小さな星へと姿を変え、中心には核となるような黒い闇が見えた時、


 ――目が覚めてしまった!


 黒い核のような闇――失敗したのか? 

 それ以来、マニと全くつながらなくなってしまった。



 光が届かなくなった惑星ナガツキ――。

 ベテルギウスがブラックホールになれば、ナガツキの気温は絶対零度まで下がり続ける。

 冬の寒さの比ではない――。


 エネルギーが供給されないまま、人々は寒さを逃れるため地下へと逃げてさまよう。

 極限まで冷えて液体と化した空気が細部まで流れ込み、人々を次々と凍らせていく――?


 ガタガタと震えが起こった。


 ――スッ、


 音も立てずに新聞配達の人が、扉へ新聞を差し込んで歩いて行った。 


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