SCENE27
数年後の大石の部屋。
大石が古いスマホを起動する。
「動画フォルダ」の日付は、あの高2の夏祭り。
再生ボタンを押す。
[スマホ映像]
浴衣姿の湊。照れくさそうにカメラを見ている。背景は神社の暗がり。
映像内の湊「……大石。これを見ている頃、僕はもう、君を覚えていないかもしれない。もしかしたら、僕自身がもういないかもしれないね」
大石、息を飲んで画面を見つめる。
映像内の湊「君はきっと、『俺が勝手にやってる』とか『自己満足や』って笑うと思うけど……。でもね、これだけは覚えておいて」
「僕の世界から色が消えそうになった時、君が僕の絵の具になってくれた。君が隣にいてくれたから、僕の『17歳』は、世界一幸せだったよ」
遠くから「おーい、湊!」と大石の声がして、湊が愛おしそうに笑う。
そしてカメラに向かって内緒話のように囁く。
映像内の湊「……ありがとう。僕の、親友」
「(小声で)……大好きだよ、陽向」
プツン、と動画が切れる。
暗転した画面。
大石がスマホを額に押し当て、声を上げて泣く姿。
大石「……っ、聞こえとるわ! ……アホ!」
『一瞬の永遠 ―君が明日を忘れても―』 完
この後、アフターストーリーとして「一瞬の永遠 -光のゆくえ-」というお話があります。よろしければご覧下さい。




