SCENE24
高校・正門前(夕方)
大石が、車椅子の湊を押して歩いてくる。
その先には、健一、佐和子、そして真田が待っている。
大石
「お待たせしました! 湊、連れてきましたで」
健一と佐和子、二人に駆け寄る。
湊は、両親の顔を見て、安心したように微笑む。
佐和子「お帰り、湊。……卒業、おめでとう」
湊「……ありがとう、ございます」
少し他人行儀だが、湊なりに「大切な人」だとは分かっている様子。
健一が、大石に向き直る。
健一「陽向くん。……本当に、ありがとう」
「君がいなかったら、あいつは今日、ここにいられなかった。私たち親だけでは、あいつに『普通の青春』を見せてやることはできなかった」
大石「いや、そんな……。俺が好きで勝手にやっとったことなんで……」
真田も進み出る。
真田「大石。……お前は、私の教師人生で一番手のかかる生徒だったよ」
真田、苦笑いしながらも、優しい目で大石を見る。
真田「だが、一番誇らしい生徒だ。……福田を最後まで守ってくれて、ありがとう」
真田が深々と頭を下げる。教師が生徒に頭を下げる姿。
大石、照れくささと感動で顔を赤くし、慌てて頭を下げる。
大石「先生、やめてくださいよ! ……俺、先生に怒られんかったら、途中で折れてたかもしれんし。……感謝してます」
春の風が吹く。
大人たちと大石の間にあった壁は、夕焼けの中に溶けて消えていた。




