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一瞬の永遠 -君が明日を忘れても-  作者: 住良木薫
再構築

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22/27

SCENE22

台風一過のような、突き抜けるような青空。

窓から差し込む朝日が、白いシーツを眩しく照らしている。

湊はベッドの上で、窓の外の鳥を目で追っている。

その表情は穏やかだが、昨日のことを覚えている様子はない。

   

ガラッ!!

   

勢いよくドアが開く。

   

大石が入ってくる。

昨夜のずぶ濡れの姿ではない。制服をピシッと着こなし、髪もセットし、何よりその顔には「太陽」のような笑顔が戻っている。


大石「おはようさん! ええ天気やな湊!」


湊、驚いて振り返る。

やはり、その瞳に「親友」を見る認識の光はない。


湊「……あ、おはようございます」

   

湊は少し戸惑い、申し訳なさそうに首を傾げる。


湊「えっと……昨日の、ボランティアの方……ですよね?」

   

残酷な忘却。しかし、今日の大石は怯まない。

眉一つ動かさず、スッとベッドの横に立ち、真っ直ぐに手を差し出す。


大石「ちゃうで。……初めまして、や」


湊「え?」

大石「俺は、大石陽向って言うねん」

   

大石は、湊の目を逃げずに見つめる。


大石「お前のクラスメイトで、隣の席で……お前の、一番の親友や」


湊「親友……ですか?」

(困惑して)

「すみません、私、どうしても思い出せなくて……。失礼ですよね、親友なのに」


大石「ええねん! 謝んな」

   

大石、躊躇う湊の手を取り、力強く、でも優しく握り返す。

その手は温かい。


大石「忘れたら、また覚え直したらええ。今日からまた、俺のこと知ってくれたらええんや」

「俺は、おもしろいぞ~? 飽きさせへんで!」


湊「……ふふ」

   

大石の底抜けの明るさと、掌から伝わる体温に、湊の警戒心が解けていく。

自然と口元が緩む。


湊「なんだか……大石さんといると、すごく温かい気持ちになります。……懐かしいような」


大石「せやろ? それが『心』が覚えとるってことや」

   

大石、鞄からりんごとナイフを取り出す。


大石「よっしゃ、今日は林檎の剥き方教えたるわ。俺、昨日YouTube見て練習してきてん! ほら、見てみ!」

   

不器用な手つきで皮を剥く大石。

それを見て笑う湊。

記憶はなくても、二人の間には確かに「幸福な時間」が流れ直す。

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