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SCENE18
海沿いの道を走る、福田家の車。
後部座席には湊と母・佐和子。
湊は窓の外の海をじっと見ている。
湊「……きれいだね」
佐和子「そうね。湊、海好きだったものね」
湊「……僕たち、どこへ旅行に行くの?」
佐和子、言葉に詰まり、口元を押さえる。
湊は、自分が入院することも、家を出たことも、もう曖昧になっている。
車が、白い無機質な建物の前で止まる。
『潮風療養病院』の看板。
病院・個室(入院から数日後・雨)
冷たい冬の雨が窓を叩いている。
環境の変化によるストレス(リロケーションダメージ)は、湊の病状を一気に加速させていた。
コンコン。
ノックの音と共に、大石が顔を出す。
手には、湊が好きだった漫画の新刊を持っている。
学校帰りの制服姿。
大石「よう! 待たせたな。新刊出たで」
ベッドに座り、虚空を見つめていた湊が、ゆっくりと振り返る。
少し痩せたその顔。瞳は澄んでいるが、どこか幼く、そして空虚だ。
湊、ベッドの上で姿勢を正し、丁寧にお辞儀をする。
湊「……あ、初めまして。ボランティアの方ですか?」




