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一瞬の永遠 -君が明日を忘れても-  作者: 住良木薫
想い出

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SCENE14

街頭 イルミネーション

クリスマスの飾り付けがされた街。

マフラーを巻いた二人がベンチに座っている。白い息。

湊の手には、小さな包みがある。


湊「これ、大石に。……忘れないうちに、買っておいたんだ」

   

大石が包みを開けると、頑丈そうなキーホルダーが出てくる。

真ん中に黒いタグのようなものが埋め込まれている。


大石「……これ」


湊「GPSタグ。……僕がどこかに行っちゃっても、大石が見つけてくれるように」

「重いかな、こんなの」

   

それは、湊が自分の病状の進行を自覚し、「徘徊」のリスクを受け入れている証拠だった。

大石、一瞬胸が詰まるが、すぐに関西弁で笑い飛ばす。


大石「アホか! めっちゃええやん。これでもう、絶対逃がさへんで」

   

大石、すぐに自分の通学鞄にキーホルダーをつける。


大石「一生モンにするわ」

   

その時。

近くの街頭ビジョンから、大音量のCMが流れる。

ドーン! という効果音。

湊がビクッとして立ち上がる。目が見開き、パニック状態になる。


湊「……ここ、どこ? うるさい……帰りたい、帰りたい……」

   

湊がふらふらと車道の方へ歩き出す。

大石、咄嗟に湊の腕を掴み、引き寄せる。


大石「湊! 俺や! 大石や!」

湊「いやっ、離して……誰ですか、あなた……!」

   

拒絶。大石の心臓が早鐘を打つ。

大石は湊の顔を両手で挟み、目を合わせる。


大石「見ろ! 俺の顔を見ろ! 隣の席の、大石陽向や!」


数秒の沈黙。

湊の瞳の焦点が、ゆっくりと大石に合う。恐怖の色が、安堵へと変わっていく。


湊「……大石? ……ごめん、僕、一瞬世界が白くなって……」

   

湊が崩れ落ちそうになるのを、大石が支える。

大石の手は震えていたが、声には出さず、ただ背中をさする。


大石「ええねん。メリークリスマス、湊。……今日は楽しい日や。それだけでええ」

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