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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

死のくじ引き

作者: 猫令嬢
掲載日:2026/01/03

「さぁ!どうぞ!1枚引いてください!」


 七三にスーツ姿の男は突然、目の前に現れた。

 とてつもなく大きな抽選箱の中には、三角形のくじ引きが大量に入っていた。


 抽選箱を挟んで向かい側には、髪の毛を七三にまとめたスーツ姿の男。男は笑顔で繰り返して言う。


「ささ!どうぞ!どうぞ!」

 

「……。」


 俺は抽選箱から1枚引いて、三角形の長辺から半円状にちぎりとって中身を確認する。


 中身は白紙。


 七三の男が言う。


「あらー!残念でしたねぇ!」


「……。」


 その日から、その男は毎日現れた。


 部屋の中、寝室、職場。1日を通して、最低でも5回。多い時だと10回以上。


 その度に、俺は抽選箱の中から1枚くじを引く。


 毎回出るのは白紙のハズレ。


「残念でしたね!ハズレですねぇー!」


「……。」


 男は今日も言う。


 そうして、10年が過ぎた。


 抽選箱の中のくじ引きは、まだまだ大量にあるが、初めの頃に比べると、ほんの少しだけ減った気がする。


 そして、俺は変わらず、毎日ハズレのくじを引く。


 さらに5年が過ぎたある日、俺は初めてその男に声をかけた。


「……これって。アタリってあるんですか?」


 すると七三の男は笑顔で答える。


「勿論!ありますよ!」


 だが、その日もハズレのくじを引いた。


 また5年が過ぎたある日、今度は七三の方から話しかけてきた。


「あちゃー!今日もハズレですね!大丈夫ですよ!60年、毎日引き続けても、ハズレの猛者も居ますから!頑張って下さい!」


「………。当たったらどうなるんですか?」


 俺のその質問に、七三は変わらず笑顔で答えた。


「死にますよ!」


「……。」


 それでも俺は毎日くじを引いて、さらに15年が過ぎた時。


 いつも通りにくじを引いて、長辺から半円状にちぎり取って中身を確認する。



 中はいつもの白紙ではなく

 "死"の文字が書かれていた。



 七三の男が言う。


「おめでとうございまーす!!アタリましたね!!!」


「……。」


 それでも懲りずに、その日の晩にくじを引こうとすると、抽選箱の中身は"死"と書かれたくじ引きだけで溢れ返っていた。


 七三の男が言う。


「あちゃー。ごめんなさい。一度当たると、だいたいこんな感じなんですよね。」


「……。」


 俺は"死"と書かれたくじ引きを1枚引いた。


 その日から七三の男は現れなくなった。


 男が現れなくなってから、息が出来なくなっていった。1人でトイレにも行けなくなった。


 そして、翌年。


 俺に"死"が当たった。

 56歳だった。

               題材:タバコ

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