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神に賢者の知識と更にチート貰って異世界転生した。賢者の知識で普通に地球に戻れるんですが?  作者: だい


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第26話:忍者だけじゃない、日本のめんどくさい方も置いてある

忍者村の隣にある区画は、

 だいたい「日本エリア」と呼ばれていた。


 正式名称はある。

 長い。

 誰も覚えていない。


「忍者じゃない方」


 それが通称だった。


 赤い鳥居をくぐると、

 そこには忍者とは別の混沌が広がっている。


 芝居小屋。

 行灯。

 紙風船。

 団子屋。


 そして、なぜか一番人が集まっているのが――


「……あれ、何ですか?」


 観光客が指差した先。

 そこでは、白塗りの女性が静かに扇子を持ち、

 三味線の音に合わせて、ゆっくりと舞っていた。


「芸者さんです」


「戦うんですか?」


「いいえ」


「忍ばない?」


「忍びません」


「……何する人なんです?」


 説明員は少し考えてから言った。


「“雰囲気”を売る人です」


「概念!?」


 その隣では、花魁道中が始まっていた。


 高下駄。

 豪奢な着物。

 圧のある視線。


 見ているだけで、

 なぜか背筋が伸びる。


「すごい……強そう……」


「戦闘力はありません」


「じゃあ何が強いんです?」


「値段です」


 納得の声が上がった。


 少し奥へ行くと、

 お化け屋敷がある。


 外観は古い寺。

 中は完全に日本式。


 音がしない。

 気配が多い。

 理不尽。


「ぎゃああああ!」


「今の、何!?」


「何もいませんでした」


「一番怖い!」


 出口では、

 なぜかお守りが売れている。


 さらに進むと、

 射的場と弓場が並んでいた。


「魔法具ではないのですね」


「はい、日本では弓です」


「当たらなくない?」


「それがいいんです」


 矢は外れる。

 でも、的の近くに刺さると、

 なぜか拍手が起きる。


「上手くないけど、

 上手そうに見える!」


 成功である。


 ログハウスのテラスで、

 ダイキチはその様子を眺めていた。


「忍者が前に出すぎたな」


 シーナが頷く。


「ですが、日本文化の“面倒な部分”も、

 ちゃんと受け入れられ始めています」


「うん。

 派手じゃないけど、

 逃げ場になる」


 そこへ、

 コミックガーデンのスタッフが走ってくる。


「ダイキチさん!

 芝居小屋を舞台にした作品、

 増えてきてます!」


「ほう」


「忍者より、

 芸者や見世物小屋の裏側を描く話が……」


「いいねぇ」


 ダイキチは笑った。


「派手じゃない方が、

 長生きするんだよ」


 遠くで、

 芝居小屋の幕が上がる。


 拍手。

 笑い。

 分からないけど、楽しい。


「忍者と日本のテーマパーク、

 だもんな」


 ダイキチはビールを一口飲む。


「忍者だけじゃ、

 日本はやってけない」


 その日、

 忍者ではない日本が、

 静かに人気を伸ばし始めていた。

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