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神に賢者の知識と更にチート貰って異世界転生した。賢者の知識で普通に地球に戻れるんですが?  作者: だい


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第25話:忍者村、観光客は今日もだいたい理解できない

忍者村は、今日も平和だった。

 そして、平和であるがゆえに、相変わらず意味が分からなかった。


 開園から数ヶ月。

 ここはもはや観光地ではない。


 理解を放棄する訓練施設である。


「ねえ、あれ何?」


「知らん」


「説明板は?」


「“忍者なので説明はありません”って書いてある」


「……誠実なのか不誠実なのか分からんな」


 観光客たちは、

 忍者屋敷の前で立ち尽くしていた。


 床板が回転し、

 壁が静かに消え、

 天井から縄が垂れ下がる。


 説明員は、

 満面の笑みで言う。


「こちら、“修行体験・初級”になります」


「初級って、

 どの辺がですか?」


「まだ“死にません”」


「基準が重い!」


 次の瞬間、

 一人目が床下に消えた。


 悲鳴。

 拍手。

 なぜか売店の忍者饅頭が飛ぶように売れる。


「落ちた人、

 あれ帰ってこれます?」


「だいたい戻ってきます」


「だいたい!?」


 ログハウスのテラスで、

 ダイキチはその様子を眺めていた。


「……うん、今日も順調に混乱してる」


 隣でミリアが頷く。


「はい。

 医務室のベッド稼働率も安定しています」


「安定して使われてるの、

 それもう事故多発じゃね?」


「“想定内”です」


「強い言葉だな」


 少し離れた場所では、

 ガンドが家族連れに囲まれていた。


「本物の忍者さんですか!?」


「はい。

 職業忍者です」


「就職口あるんだ……」


「福利厚生は充実しています」


 そう言って、

 ガンドは煙玉を一つ投げた。


 白煙。

 拍手。

 気づくと、財布の位置が変わっている。


「今の、何ですか?」


「防犯意識向上訓練です」


「返してください!」


 ダイキチは、

 その光景を見ながらビールを飲む。


「いいなぁ。

 誰も“正解”を求めてない」


 そこへ、

 コミックガーデンのスタッフがやって来る。


「ダイキチさん。

 新しい原稿、来てます」


「ん、置いといて」


「忍者村を舞台にした感動作で――」


「却下」


「早っ!」


「ここ、

 感動が生き残れる場所じゃない」


「……ですよね」


 スタッフは素直に引き下がる。


 ダイキチは立ち上がり、

 少しだけ村を歩いた。


 転ぶ人。

 迷う人。

 でも、誰も怒らない。


 むしろ、

 全員ちょっと楽しそうだ。


「管理も、指示も、

 英雄的な立ち回りも不要」


 独り言のように呟く。


「面倒がなくて、

 意味が分からなくて、

 それでも笑えるなら――」


 遠くで、

 また一人、床が回った。


「あ、落ちた」


「二回目なんだけど!」


「慣れてきましたね!」


 今日も忍者村は、

 何一つ説明しないまま、

 大成功していた。

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