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神に賢者の知識と更にチート貰って異世界転生した。賢者の知識で普通に地球に戻れるんですが?  作者: だい


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第20話:ドラスコからの熱波と、忍者村の開園

 リーベラ王国の新しい港より、最初の輸出船がドラスコ王国へ向かってから、およそ二週間が経過していた。


 海面を照らす夕日の光の中、一隻の貿易船がリーベラの埠頭へと急いでいる。

 その船は、ケンジたちが初めてマンガと雑貨を積み込んだ船であり、通常の貿易船にしては、異常な早さでの帰港だった。


 ガンドとケンジは、埠頭で船を待っていた。


 船が接岸すると、船長はまるで熱病にかかったかのように興奮した様子で、タラップを駆け下りて二人に叫ぶ。


「ガンド殿!ケンジ殿!信じられん!ドラスコは、あの紙のマンガに熱狂している!」


 船長の話は、驚きに満ちていた。

 ドラスコの裕福な商人はもちろん、文字が読める平民層に至るまで、リーベラから持ち込まれたマンガや小説の試作品は瞬く間に広がり、人々は内容を奪い合うように読みふけったという。


 特に「忍者」の物語は、ドラスコでは見たこともない戦闘術と異国情緒から、爆発的な人気を博していた。


「マンガやフィギュアの在庫はすべて売り切れ、この二週間で、次の船便を待つ商人がドラスコの港に溢れかえっている。彼らは、あの紙束と、『魔法少女』の奇妙な絵が入ったマグカップなら、いくら出してもいいと言っている!」


 船長は両手を広げ、その狂騒を伝えようと必死だ。


 ガンドは、その報告に表情一つ変えることはなかったが、ケンジは驚きと喜びに顔を輝かせた。


「世界を変える力が、本当に!」


「うむ、殿の目論見通りだ」


 ガンドは静かに応じた。


「ドラスコは、もともと商業が盛んで、新しいものへの好奇心が強い国。あのコンテンツの『面白さ』が、権威や階級を超えて広がるのは必然であろう」


 船長は、ドラスコの商人たちから預かったという、山のような金貨と、次の注文リストをガンドに差し出す。

 その額は、フロンティア王国との従来の貿易規模を、あっという間に凌駕した。


 ログハウスに戻ったガンドは、テラスでくつろいでいるダイキチに、この成功を報告した。


「殿。ドラスコ王国において、コンテンツは爆発的な人気を博し、我々の次の船便の注文は、リーベラ王国の年間予算に匹敵する額に達しました。コンテンツの流通が、この世界の経済の潮流を、我々の意図する方向へと動かし始めています」


 ダイキチは、ガンドの報告を静かに聞き終えると、満足そうにビールを一口飲んだ。


「だろ?面白いものは、国境や権威なんて簡単に飛び越えるんだよ。フロンティアの王様が必死に守ろうとした『国の富』なんて、しょせんこんなもんさ」


 ダイキチの関心は、金銭的な成功よりその新しい文化によって引き起こす熱によって、いかに異世界で新しい文化ができるかに向けられていた。


「よし。国内も外堀も埋まったな。この成功を祝して、『忍者と日本のテーマパーク』を正式に開園するぞ。日程は三日後だ」


 三日後。


 リーベラ王国の海辺に、巨大な「忍者と日本のテーマパーク」が正式にオープンした。


 開園初日。

 リーベラ国民だけでなく、ドラスコからの商船に乗って噂を聞きつけた周辺の小国の商人や旅行者が、朝早くから城門の前に長蛇の列を作っていた。

 この光景は、保守的なリーベラの貴族たちに、強い衝撃と動揺を与えた。


 カレン王女は、正式な開園の席で、感嘆の息を漏らした。


「ダイキチ様、これは…まさしく国の歴史が変わる瞬間です」


 ダイキチは、開園のテープカットには参加せず、ログハウスの屋根の上から、その熱狂を見下ろしていた。

 隣には、ミリアとシーナが並んでいる。


「これを見ろ、ミリア、シーナ。人ってのは、面白いものを前にすると、こんなにも熱くなるんだぜ」


 ダイキチの目には、満足の色が濃く浮かんでいた。


 ミリアは、開園を待ちきれず押し寄せる人々の熱狂に、静かに微笑みを浮かべた。


「ダイキチ様の望まれた『遊び場』が、ようやく完成いたしましたね」


 シーナは、腕を組みながら、その光景を眺めていた。


「この熱狂、フロンティアの王都での混乱とは、また違う種類の熱だわ。ダイキチの遊びは、本当に世界を動かすわね」


 ダイキチが作り出した「忍者と日本のテーマパーク」は、異文化体験、アトラクション、そしてコミックガーデンでの新しい創作物販売を通じて、リーベラ王国を、一瞬にしてこの世界の文化と経済の中心地へと押し上げた。


 ガンドは、テーマパークの各所に目を光らせながら、この成功が持つ意味を噛み締めていた。

 これほどまでに巨大な熱狂は、ダイキチの旅立ちが間近に迫っていることを示唆している。


「殿。これで、私が全ての責務を担う時が、近づきました」


 ガンドは、静かに拳を握りしめた。

 彼の忠誠心は、いつか来るべき主人の不在に備え、一層強固になっていた。ダイキチが次の「面白さ」を求めて旅発つ日は近い。

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