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神に賢者の知識と更にチート貰って異世界転生した。賢者の知識で普通に地球に戻れるんですが?  作者: だい


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第19話:ガンドの静かなる決意と新しい文化の芽生え

 リーベラ王国の海辺。


「忍者と日本のテーマパーク」の建設が始まってから、およそ二ヶ月という驚異的な速さで時が過ぎていた。


 従業員とリーベラ国民の熱意、そして地球の重機と建材がもたらす圧倒的な効率によって、広大な敷地には瓦屋根の長屋、武家屋敷風の店舗、そして巨大な城門が、まるで魔法のように出現した。

 それは、この世界の建築様式とは全く異なる、異様でありながらも、視覚的に人を強く惹きつける威容を誇っていた。


 ガンドは、完成したばかりの櫓の上から、その広大なテーマパーク全体を見下ろしていた。潮風が彼の黒装束をわずかに揺らしている。


 埠頭の基礎工事がダイキチの創造魔法で一瞬で終わったとはいえ、その上の複雑な木造建築や装飾は、緻密な計画なくして実現しない。


 ガンドの忍術の知識は、単なる戦闘術に留まらず、地理、気象、そして集団を統制する情報管理術として、この巨大な建設プロジェクトに完璧に応用されている。


 リーベラ国民の労働者たちは、彼の言葉少なで、しかし理に適った指導、そして決して無駄のない作業効率に、畏敬の念を抱かずにはいられなかった。


「殿は私に『この事業を面白く回し続けろ』と命じられました。それは、この国の平和と経済の基盤を、我々が守り、育て上げることを意味します。私の務めは、殿がいついかなる時も、心の赴くままに旅立てるよう、このリーベラの基盤を盤石にすること。」


 ガンドは、静かに決意を新たにした。

 彼の忠誠心は、単なる主従関係ではなく、ダイキチの求める「新しい世界」の実現を願う、深い共感から生まれていた。


 ガンドは作業の進捗を確認した後、建設現場の警備を担当しているリーベラの騎士団長と、言葉を交わした。

 騎士団長は、このわずか二ヶ月で築かれた巨大な構造物に、いまだに現実感がないといった表情を浮かべている。


「ガンド殿。この『忍者村』とやらは、一体どのように運営されるのか、皆が訝しんでおります。城壁も警備隊もありませんが、その壮大さは、我々の王城をも凌駕しかねない規模でございます」


 騎士団長は、不安と畏怖を隠せない様子だった。


 ガンドは、騎士団長の目を見据え、落ち着いた声で答えた。


「我々の商品は、この世界の貴族や軍事力からは守る必要がございません。守るべきは、この場所で働く者たちと、訪れる者たちの安全のみ。ここでは、入場料と引き換えに、異文化への純粋な好奇心を追求していただく。これが、殿が望まれる新しい文化の発信なのです」


 騎士団長は、ダイキチの力を恐れる一方で、ガンドが提示する「文化と好奇心による秩序」という概念に、不可解ながらも何か新しい可能性を感じていた。


 その後、ガンドはチートビルの一室で、王女カレンと向かい合った。


「カレン王女様、このチートビルの運用システムの一部と、物流の管理権限を、殿が不在の間に王女様と我々で共有できるように、取り決めを急ぎたいと考えます」


 ガンドの言葉には、ダイキチがいつまでもリーベラに留まらないことを前提とした、周到な準備が滲んでいた。

 カレン王女は緊張を覚えつつも、彼の真摯な提案を受け入れた。


「ガンド殿の先見の明には頭が下がります。ダイキチ様は、いつか必ず、次の『面白さ』を求めて旅立たれるのでしょうから」


 王女は不安そうに、しかし覚悟を決めたように言った。


 ガンドは小さく頷いた。ダイキチの動機(「面白さ」)は掴みどころがないが、彼の意志を尊重し、その行動を助けることこそが、ガンドにとっての至上の喜びだった。


 テーマパークの仮オープンが近づくにつれて、リーベラ国内での評判は二分されていた。


 リーベラ王国の保守的な貴族や一部の聖職者は、この異様な建築物と、その背後にあるダイキチの常識外れの力に、強い警戒心を抱いている。


 彼らにとって、ダイキチの「面白さ」という曖昧な動機は、理解の範疇を超えた、まさに災厄の概念に近かった。


 しかし、王女カレンと、商業に従事する国民は、期待に胸を膨らませていた。


「すごい!あれが『忍者屋敷』ですか!本当に壁を登るんですか?」


 街中でリーベラ国民が噂しあう。


 特に、雇用されたリーベラ国民は、ケンジたち従業員から教わる「効率」と「技術」に熱中していた。


 彼らは、重機という「道具」を使うことで、魔法に頼らずとも、従来の何倍もの力を発揮できることを学んだのだ。


 それは、この世界の階級構造や魔法への依存を根底から揺るがす、静かなる兆しだ。

 彼らの目には、新しい知識を得ることへの、純粋な喜びが輝いていた。


 その頃、ログハウスにいるダイキチの元へ、元顧客のヒューゴたちが続々と集まり始めている。

 彼らは、初めて創作したマンガや小説を手に、ダイキチにレビューを求めにきたのだ。


 ダイキチは、ついに異世界にもクリエイターが出てきたという、ワクワクした気持ちで、しかし冷静に彼らの作品を読む。


「うーん、ヒューゴ。この主人公は『侍』なんだろ?なのに、なんでこんなにクヨクヨ悩むんだよ。侍はもっとバッサリ行くもんだろ。あと、魔法少女の変身シーン、パースがおかしい。足が長すぎんだよ、バランスを見ろ」


 ヒューゴたちは、ダイキチの容赦ない、しかし的確な指摘に必死で食らいついていく。


 ダイキチは、彼らを見下すような高圧的な態度は微塵も見せない。

 ただ、自分が求める「面白さ」の基準を、友人へアドバイスするような口調で伝えているだけだ。


「俺はな、お前らが面白いものを作るのが楽しいんだ。それが全て。面白いかどうかの基準は、俺の気分次第。ま、頑張れよ。この世界を、もっと面白い物語で埋め尽くしてくれ」


 ダイキチは、そう言って、次の作品へと手を伸ばす。


 厳しい指摘を受けても、彼らの創作意欲はさらに高まっていく。

 彼らは、自分たちの手で新しく物語やマンガを、新しい文化を創り出すのが、自分たちの生きがいになりつつあるのを感じていた。


 ガンドの徹底した管理と、従業員たちの熱意、そしてクリエイターたちの創作活動。


 ダイキチが作り出した新しい遊び場は、彼の意図通り、急速にこの世界に根を下ろし始めていた。


 最初の船が隣国に到着し、その評判がリーベラに届くのも、もうすぐのことであろう。


 ダイキチはビールを一口煽り、青い空を見上げた。


「さて、次はどんな面白い騒動が起きるかな」

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