表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外道勇者の華麗なる旅路  作者: 雪道棗
16/16

俺の信念・彼の狂気 Ⅰ

今日も今日とて朝日が燦々と大地を照らす旅日和。

俺の心は曇り空。

ああ、無常。


「………」


男女三人の楽しい旅。

それは始めだけだ。

三日も経つと、疲労が蓄積し、何もかもが嫌になる。

それだけならまだいい。


「………」

「………」


誰も喋らない。

平坦な道以外に何もないがゆえに話題がないのだ。

初めて国から出たこともあり、あれだけ楽しそうにしていたエルフィーナでさえ、もう数時間口を開いていない。

唯一、元気そうなエリスキーはひたすら無言で歩き続けるだけ。

この暗く淀んだ空気に気づいていないのだろうか?

こういう状況をどうにかするためにお前はいるんじゃないかと小一時間問い詰めたい。

俺の中に僅かの殺意が生まれる。


「むっ」


エリスキーが突然足を止め、周囲を見回す。


「どうしたのですか?」


エルフィーナが力にない声で問いかけた。


「いえ…何やら殺気が…」

「殺気…ですか?」

「ああ、お気になさらず。どうやら勘違いだったようです」

「そう…」


ふと、エリスキーが何かに気づく。


「何やらお元気がありませんね。お疲れですか?」

「はい…。ごめんなさい」

「いえ!とんでもありません!気づかない私が悪いのです!さぁ、こちらにどうぞ!」


エリスキーは慌てた様子でエルフィーナを近くの木陰に移動させる。




――――この時、殺気に気づかなかったのが、俺達の最大のミスとなるのだった。





「ふぅ…」


エルフィーナは大きな溜息を吐く。

よほど疲れていたのだろう。

しかし、それも無理からぬ事だ。

外に出たことがほとんどないということは、そのまま体力がないことに直結する。

箱庭で育てられてきたエルフィーナにとって、今回の旅は相当な重荷のはずだ。

それを表に出さずに平気そうな顔を作っているのがエルフォイーナなりの王女としての品格なのだろう。


風が吹く。

清涼な風。

三人の風を撫でる。


「………」


今度の沈黙は重くない。

しばらくはここで休憩するか。

それほど急がなければならない旅でもない。


「――――っ!?」


清涼な風。

その心地よさの中に――――違和感があった。


ガキンッ!


鋼と鋼がぶつかりあう音。

火花を散らしあうその衝撃は、俺が咄嗟に振り上げた刃から溢れだす。

旅立ちとともに国王に手渡された宝剣。

歴代の勇者が振ってきたとされる神代の剣だ。


その神秘的とも呼べる輝きの向こう側に暗く淀んだ瞳が見える。

憎悪とも怒りとも悲しみとも憐れみとも違う。

――――狂気だ。

そこには、おぞましい狂気と殺気を乗せた剣を振るう男の姿があった。


「てめぇ…」

「………」


ギリギリと一瞬の鍔迫り合いによる拮抗のあと、男は重力を無視するような動きで飛び退く。


「棗様!」


エルフィーナの悲鳴が聞こえる。


「離れてろ!」


俺はそんなエルフィーナを一喝すると、エルフィーナは悔しそうな顔をして、素早く俺の後ろに回り込んだ。

エリスキーはすでに戦闘態勢を整え、男に厳しい視線を送っている。


「お前…誰だ?」

「ふふ…ああ…あああああああ」


俺の問いかけに意味ある言語が返ってくることはなく、変わりに嗚咽のように声を漏らす。

どうやら、完全に逝ってしまっているようだ。

何にせよ、気の抜けない事態になったということだけは間違い用のない事実であった。

短いです。

本当にごめんなさい。

短期のアルバイトをほぼフルでシフトいれたため、時間がとれません。

なので、今月の終わりぐらいまで更新はできないかもしれません。

今月中にもう一回は必ず更新するので、お待ち頂けると嬉しいです。


ご意見・ご感想お待ちしてます。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ