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35.家に帰ろう


 予想外にルカとウィルと再会したレオノアだったが、彼らもまだ予定があるのか、すぐに別れることとなった。サミュエルがじっとルカを見ていたことに気が付いたレオノアが「ルカがどうかしたの?」と尋ねると、静かに首を横に振った。



「いや……少し見覚えがあるように感じたが、おそらくは気のせいだろう」



 むしろそうでなくては困ると言うような固い声音。気を取り直すように、カロリーナたちへのお土産を買いに行くことを提案された。焼き菓子を買おうという話をしていたからか、レオノアの意識がそちらに向くと、「兄さんもおすすめの店らしい」とサミュエルが笑い声を漏らした。



「サルバトーレさんは甘いものが嫌いではないの?」

「むしろ好きな部類だろう。よく仕事の間につまんでいる」



 兄弟でも好みは違うらしい。それならば、彼にも何か買って帰った方がいいだろう。

 そう判断したレオノアは案内された店で真剣に選び始めた。隣でレオノアの好みも聞きながら一緒に選ぶとお金を出し合って購入する。



「そういえば……レオノア、君はレナと呼ばれているんだな」

「ええ、そうね。なぁに?あなたもそう呼びたいの?」

「いや、あいつらと同じように呼ぶのはなんか、イヤかも」



 むすっとした顔のサミュエルがなんだかおかしくて、レオノアは笑った。



「私、あなたに名前を呼ばれること、嫌いじゃないわ」



 愛称で呼ばれることは距離が近くなった気はするけれど、名前をちゃんと呼ばれることもまた嬉しいことだ。

 二人の視線がかち合う。今度はレオノアがサミュエルの手を取った。そして、「帰りましょうか」と声をかけた。



「そうだな、帰ろう」



 夕暮れが空を赤く染める。それを見ながら、「君の赤い髪が見てみたいな」と呟くと、レオノアが「いつかね」とさらりと返す。

 サミュエルの家に戻ると、二人はサルバトーレとカロリーナにお土産だ、と焼き菓子を渡す。嬉しそうな二人を見て、レオノアたちもまた嬉しそうな顔をした。



「あの二人、やっぱり可愛いわね」

「キャロが一番可愛いよ」

「もう!トトったらぁ!」



 そしてサルバトーレはカロリーナに背中を叩かれて、勢いよく前に倒れかけた。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

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