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王太子の結婚 〜飲んだくれの俺が幸せを見つけるまで〜  作者: 雪女のため息
〜陽の差す方へ〜
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王太子の結婚、最終話です。

本日、2話目の投稿となります。


 俺の隣にはソフィアが眠っている。


 …ソフィア。愛してる。


 そう小さな声でソフィアに囁き、額にかかる白銀のおくれ毛をそっと払うと、ソフィアがゆっくりと眼を開けた。


「セオドラ様…?

 …まだ、夜は明けていないみたい…です。

 もう少し、このまま…お側にいてもいいですか?

 …だって、セオドラ様が…暖かい…から…。」


 まどろみ始めたソフィアの額にキスを1つ。


「ああ、ゆっくりおやすみ。

 俺も、もう少し眠るから…」


 眼を閉じたままソフィアは頷いた。


 ソフィアの規則正しい寝息が聞こえて来たところで、俺はそっとベッドから降りて窓辺に座った。


 窓の外はゆっくりと夜が明けていく庭が見え、空には赤い月と青い月が輝いていた。


 いつもと変わらない、俺とソフィアの穏やかな朝がやって来る。




 俺とソフィアが結婚して10年経った。

 平和な日々ではあったが、色々な事が起きた。


 俺達はアルバートを授かって2年後に、2人目の子、サラを授かった。2人とも病気ひとつしない元気な子に育っている。

 


 ルーク ルベール伯爵はマリアンヌととても仲睦まじい。子は作らず、マリアンヌの兄の子を養子として迎え入れている。ゾーイの様な未来予知の力は消し去りたいのです…と俺に言っていた。

 マリアンヌは何度かアズール国に短期留学して、医学の勉強を続けている。



 パーカー伯爵となったジェイクは親衛隊の隊長となった。威厳を身に纏った堂々とした男振りで、既婚者なのにも関わらず、騎馬で街をゆくと女達が歓声をあげて後を追いかけてくる。

 もちろん、ジェイクは見向きもしないが、そんな日はジュリアの機嫌が悪くなるとぼやいていた。



 ローリーはフェルトランド伯爵となった。準騎士団の隊長としての功績が認められて、クリムドールが収めていた領地も賜っていた。

 双子の後も2人の子を授かり、ベラへの愛は変わらない。



 弟のウィリアムはアズールでの勉学を終えて帰国し、元タマラ国の土地を治める事になった。



 トルディアン国王はパール国を平和な国へと変えて行った。フィルはトルディアン王の親衛隊隊長になった。



 ハンナとエリはずっとハンナの館に滞在している。ハンナはパール城に入ると震えが止まらないそうで、トルディオンが時折、お忍びでハンナの館を訪ねている。それでハンナとエリがおだやかに暮らせるのなら、それでいいと俺は思っている。


 ジュエルは親衛隊の副隊長になった。本人曰く、結婚には向いてないそうだ。だが、子供は好きなようで、子供園にはしょっちゅう顔を出し、手慣れた様子で子供の世話をしている。いずれは身寄りのない子供の施設を作るのだ、と張り切っている。



 この国も変わった。

 

 貴族の女性から始まった意識改革みたいな動きはこの国を明るくしている。

 ソフィアが始めた苦しくないドレスやこども園の仕組みは国中に広まった。男の育児参加は、俺達が勉強会に参加した事から国中に広がっていった。

 

 少しづつではあるが、女性の立場はよくなっている。それも全てソフィアのおかげだ、と俺は思っている。ソフィアが皆の小さな幸せを叶えようと考えてくれたからだ。


 もちろん、皆の協力がなければできなかった事だけれど…。

 





 そして、さらに長い長い年月が流れて、俺はスカーレットを納める王になった。

 

 ソフィアと2人で、幸せを感じるやりたい事もたくさん叶えたが、幸せだった時間にも終わりの時が来る。


 ソフィアは体が弱いながらも孫の顔を見るぐらいまで長生きした。最後の言葉は、セオドラ様、幸せな日々をありがとうございました、だった。


 初めて四阿でソフィアに会ってから、本当にいろいろなことがあったが、俺達は幸せに仲良く暮らしてきた。


 そして、俺にも最後の時が来た。


 ソフィアの元に行く俺の瞼に、光が溢れた。その光には覚えがある。俺の守護ゼノンの光だ。


 ゆっくりと姿を現したゼノンは両手を広げて微笑んでいた。


「セオドラ殿、参られよ。

 ソフィア殿もルーク殿、ジェイク殿、ローリー殿も待っている。

 光がセオドラ殿を導くであろう。光の差す方へ…。」


 俺はゆっくりと進んで行った。

 愛するソフィアの待つ、光の差す方へ。




   ー完ー




読んでくださった皆様、ありがとうございました。


たくさんのポイントといいねをつけて応援してくださった皆様、心よりお礼を申し上げます。



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