執筆提案 書きとめ
特定の人との関係が上手くもたれずにいた二組のペアがあった。両者はうち一人をペアで付け狙うような三角関係のマッチングができていた。そこで、そのもつれを一時的であれ保留にしようと画された一案が、相互でペアを快楽消費しようというもの。もしペアが男女で分かれていたとすると、一方では男子ペアをBLコンテンツとして消費し、もう一方では女子ペアを百合コンテンツとして消費するといった模様。性的な痴情で以て生じたマッチングであれば、その報われなさを許されざる禁断の性愛で覆い隠す。それが創作上の戯言であっても真実味に欠けていても特段問題にはならない。要は性的な理由からこぼしてしまっていた不満を、性差を逃げ道にした屁理屈であるように自覚できていればいいのだ。だが、この試みの本命はあくまで関係が成就しない根本をより遠隔へと押し上げる方にある。
さらに、この痴情さえも解体の憂き目に遭うと例によって無自覚になるどころか、保留にしていく中で肝となる秘境性が揺らいでしまう。BLにせよ百合にせよそのようなコンテンツとして消費するにはまず立ち入りがたい敷居がなくては創作にならない。一定のコンセプトのもと、想定された心地に引き上げるには、エフェクトを活用せずには始まらず、創作にならないとしたのにはそういう制約がない故である。反対にこれが破られる、つまりコンテンツとしての役目が消失するとペア間の対立を深化させ、それを是正する厚情の暴虐性が悪化する。どちらかがその不義を通せば、その不況を受けるのは不義を先行した者にある。このように、自主的な警察意識がブレーキとなっているお膳立てがあって保留が営まれている関係が、制約的に組まれることとなる。
だが、これらの前提は、互いのペアに関して不詳であるところが大いにあるとしなくては成り立たない。
よって、コンテンツとするよう監修する反面、暗に執権を握るのも互いにとっての対象外の人物となる。それでいて対象内の人物はまんまと消費をし、利口に対象のペアを取り持つカモにしかならない。
それも相互の対象内は対象外が謀ったと判明しない限りにおいてはずっと。
だが、仮にそうであったとしても、原点にあったペア間の「睨みあい」が相互で明るみにならなければ、相手がカモであっても縺れ合いを解消するよう懇願する。勝敗に対しあれこれケチをつけない人間性が共有されていればその懇願も十分見込まれる。
依然とまではいかないが、結果的に「行って帰る」の基本に即した順序が挙がる。