表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で人魚は観賞魚のようです  作者: トムヤムクン
1/2

グッピーってかわいいね



【この世で一番好きなのものは何か、その問いに迷わず応えられるものがある人は幸せな人だ。】



社会人になって5年が経ったころ、なんとなしにペットショップを訪れた。

少し寂れた小さな店、入り口に置かれた鳥籠は空で、騒がしい街中でそこだけやけに静かな印象だった。


店内を歩く俺の姿がよほどくたびれていたのだろう、年老いた店主は俺を一目見るやある一角を顎で刺した。



記されるがままにふらふらと進み、角を曲がるとそこにはたくさんの水槽が置かれていた。




水の泡をひるがえし漂うその魚群は、小さな四角い箱の中に納められたプラネタリウムのようで、俺の廃れた心は一瞬でそれの虜になった。


どれくらいの間見ていたのだろう、気づけば見知った街中で、手にはたくさんの荷物と一つの命があった。


帰りの道中、バスに揺られながら感じる水の冷たさに躍る心が少しだけ怠い。

これからの人生の彩りにでもなってくれるというのだろうか、手中にある生きた物の重さがあまりにも軽くて、それはまるで自分で決めた自分の価値のようだった。



バスに揺られながら泡を見ていたからだろうか、下車してから歩く道はどことなくふわふわしている。


まるで水の中にいるようだ。

そういえば肩も目も、痛みがあったはずなのになんだか感覚が朧げだ。


懐に抱いた命が熱い…

あれ?




「ピヤー?(ここはどこだ?)」



えっ、てかちょっとまって、知らない人にめっちゃ見られてるんですけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ