第1話 街一番の宗教施設に義妹と向かう途中、一人の悪魔を自称する人外少女と出くわした俺。
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
今年、最初の投稿作品は連載しているモノでなく、シュール系ギャグの現代モノです。
「うわぁ~、やっぱり、昨日の地震、凄かったんですね。」
「あっちこっちで倒壊しているな。足元気をつけろよ。」
「はい、兄様。」
俺は義妹の愛理と一緒に昨夜の大地震で、倒壊などであちこち被害が出ている道を、足元を気を付けながら目的地に向かって歩いている。
俺の名は冥神刹那、人によっては「芸名ですか?」と聞かれる事もあるが本名だ。
だから義妹の愛理の本名も冥神愛理となる。
義妹と言っている通り、血の繋がりが若干ある遠い親類で、血縁関係でははとこ以上となる。
もっとも俺達の住む冥界之街も名前からして中二病っぽい町名だが、日本で一番自然と怪異が調和している街としてアピールしている。
この街で生まれ育った俺(愛理もだが)にはこのアピールが正しいかどうか判断に迷うが、事実としてこの冥界之街は日本で一番、超常現象が多く、同時に日本で一番変死怪死が多い街として知られている。故に死者数も日本で一番多くその数は跳びぬけているので、世間ではその街名通り、冥界之街は死者の国と繋がっている恐ろしい街として認識されている。
何せ、世間ではこの街に転勤と通達されたら会社から遠回しの死んで来いと言う通達と同意着で、人によってはその場で辞職するぐらいである。
事実、大企業がリストラしたい人材に、この街への転勤を通達して、その場で自己退職するか、そうでなくともこの街で死ぬかを期待するぐらいである。
しかし理由はどうあれ、大企業の支店が多く存在しているのは確かなので、地方都市としては物凄く発展している。
何せ街の中心部には冥界の塔と呼ばれるタワーが建てられているのだが、その長さは東京スカイツリーよりそこそこ短いぐらいの長さである。
地元でも有名な観光スポットである。
こんな物騒な街に観光客なんて来るのか?と思われるが、実はそれなりに訪れている。しかもこのうちの1割は必ず死体となって生きて帰る事が無いと言うのにである。
そう考えると、そこまでして来る観光客の執念もスゲェな!!
と話がそれたから元に戻すが、俺達は今、街の北部にある冥神大社と言う神社、神社?う~ん、神社と言うか寺院と言うか神殿と言うか、とにかくこの街で一番の宗教施設に向かっている。
冥神と言う名前がついているから理解できるように、ここには俺と義妹の愛理を含めた冥神の祖であり、一族を束ねる長で、この街の真の支配者でもある御始祖様がいる。
御始祖様と言っても見た目は18~9ぐらいで、顔も俺達の祖先だけあり、顔立ちが似ているので、俺達兄妹と並んでも姉もしくは親類の姉ぐらいにしか思われない。
そもそも、あの御始祖様、俺達が物心ついた時から全然見た目が変わっていないもの・・・。
親父も冥神の一族だが、親父が幼少の時からも御始祖様は見た目が全く変わっていないそうである。
まぁ、これは親父だけでなく親父の母である祖母の幼少時も同じだったそうだが・・・。
そんな御始祖様の血を引いている俺達も普通の人間と比べたら誰もかれも身体能力が高く、それの事で俺も愛理も学校などで、騒ぎになった事があるが、最後はこの街の色合いからか『まぁ、この街だからなぁ~。』で済んでしまう。そういう意味では俺達のような異端者にとっては住みやすい街かもしれない。死亡率も他の街に比べて半端なく高いけど・・・・。
更に老化が遅い不老長寿の一族でもあり100を超える曾祖母でもまだ50代にしか見えない・・・。
その上、うちの家系は美形ばかりなのだが、女性は胸がデカく場合によっては巨乳を通り越して爆乳になる者もおり、男は中性的でひどい場合だと男の娘になる場合もそれなりにある。
ちなみに俺もパッと見た感じ男の娘っぽい外見をしているが、親父は50近くなのに見た目は完全な男の娘である。義妹の愛理も冥神の例に沿い、まだ16でちょっと幼い外見をしているのに胸だけは大きい。
その代わり、うちの家系の女性は皆、大きい胸から来る肩こりに悩まされ、男性は中性的もしくは男の娘な外見に嘗められやすいもしくはコンプレックスを持つこととなっているが・・・。
まぁ、そういう訳で御始祖様は俺達一族の祖で、自分で自分の事を冥界の神を称するだけあって人外なのは間違いない。
その御始祖様が昨夜の大地震で何かあったらしく、朝一番にテレパシーで俺達兄妹を含めた街で生活している一族全員に、今すぐ神社に来るように通達して来たのである。
「多少の事では全然動じない御始祖様が一族全員に招集を掛けるなんて、何があったんでしょうね。」
「さぁ?まぁ、余程の事が起きたんじゃないのか?」
生まれてこの方、御始祖様とは何度も顔を合わせているが、御始祖様が怒ったり、憂いの表情を見せたのは2~3回しかない。
それ以外ではいつも余裕の微笑を浮かべ、何考えているのかさっぱり分からない。これは俺だけではなく親戚一同、共通の認識である。
俺と愛理が御始祖様が俺達一族を呼びつけた用件について話しながら歩いていると
「ちょっと、そこのお前達!!」
と如何にもツンデレヒロインが似合いそうな声が飛んできたので、俺達がそちらを見て、思わず絶句した。
ワインレッドの色をした長い髪をした俺と同じ17,18ぐらいの少女が見下すように俺達を見ている。
そのおへそ丸出しの黒を基準とした上質そうなドレスのような服装と、左右の耳些か上の部分の頭部から天に突き出すように出ている短い角と背中から生えたそこそこに大きいドラゴンのような翼と言うどう見ても人外と言う事にも絶句したのは確かだが、俺達が何より絶句したのはその顔立ちだった。
愛理も含めた冥神の女性達と面影があり、特に御始祖様とよく似ている。
俺達の知っている親類にこんな娘、娘?う~ん、うちの家系は見た目と年齢が合っていないのが多いので外見通りに判断するのが難しいんだよな~、取り合えず目の前の彼女は今まで見たことが無いし、何よりどう見ても人外だし、御始祖様の関係者だろうな。
「何か用か?と言うか俺達の一族によく似ているけどあんたの顔は初めて見るんだがあんた誰だ?」
「・・・下等種族である人間が私にそんな生意気な口を利くだなんていい度胸ね。まぁ、この偉大なる悪魔セシリア=ディアブロは寛大だから許してあげるわ。感謝なさいな。」
ドヤ顔でそういう眼前の娘。しかし悪魔と来たか。普通なら痛い中二病患者として扱われるが、この街だし、しかも御始祖様自身が人外だし、顔立ちもうちの身内に似ているからなぁ~。マジで悪魔と言うのも否定できないんだよな・・・。
義妹の愛理も同じ考えなのか何も言わずに、何とも言えない表情で目の前の自称悪魔の少女を見ている。
「・・・その悪魔が俺達に何の用だよ?」
「あ、そうそう、そうよ!何でお前達、姉様に似た魔力と命の波動を出しているのよ!?しかも僅かだけど神力まで出しているし!!お前達、姉様の何なの!?どういう関係!?」
「?姉様、姉様って誰の事だ?」
「アレクシア姉様の事よ!」
彼女の出した名前に俺達兄妹は思わず顔を見合わせた。
お互い聞き覚えのない名前だからである。少なくとも身内にそんな名前の人物はいない。
今まで黙っていた愛理が会話に加わった。
「申し訳ないんですけど、そんな名前の人は私たちの身内にはいませんよ。そもそも姉様に似た魔力と命の波動を出しているのかと訊きましたけど、私達にはそれ自体が分からないんですけど・・・。」
「ふん、これだから無知な人間は。まぁ、いいわ。私が教えてあげるわ。感謝しなさい。魔力は悪魔が魔術を使う時に必要なモノで、悪魔なら大なり小なり生まれた時から持っているわ。逆に神力は忌々しい神が奇跡を起こす時に必要なモノで、これも神ならば大なり小なり誕生した時から持っている。そして命の波動はその生物の生命エネルギーを示すモノよ。これがあるから全ての生命は生きていけるという訳。そしてこの命の波動は血族の場合、似た波動を出すのよ。親兄弟と言った関係が深ければ深いほど波動が似るわ。そしてこれは魔力、神力も同じよ。血族関係が深ければ深いほど魔力、神力も似るのよ。」
目の前の悪魔の言う事が正しいならば、俺と愛理の魔力と命の波動が目の前の自称悪魔の姉の波動と似ていると言う事になる。
しかし、俺達が目の前の人外と関わりがあるとすれば御始祖様しか考えられない。しかし名前が違うしなぁ~。
俺達がこの謎に頭を捻っていると御始祖様からテレパシーが届いた。
『・・・』
「な、何よ。二人して私を見て。」
狼狽える自称悪魔の娘に俺が告げた。
「今、俺達一族の一番偉い人、人?う~ん人じゃなくて神か・・・。とにかく俺達一族を束ねる神があんたも一緒に連れて来いって。」
「はぁ、何で私がお前達と一緒に行動しなくちゃいけないのよ。しかも神の言う事に従うだなんて・・・。」
「そういうだろうと御始祖様から託を受けてます。『久しぶりにあなたの顔を見たからお話がしたいわセア』だそうです。」
「・・・何でお前達の神が姉様が私を呼ぶ時の愛称知ってるのよ?やっぱりアレクシア姉様じゃないの?」
「いや、それについては俺達に尋ねられても・・・なぁ、愛理」
「そうですよ。そういうのは御始祖様に訊いてください。」
要領を得ない俺達に業を煮やしたらしく、目の前のセシリアと名乗る自称悪魔娘は
「良いわよ!お前達と一緒に行けばいいんでしょう!!お前達の神が姉様かどうか確かめてやるわ!!」
鼻息荒く、俺達と同行して御始祖様の元へ行く事になった。
こうして俺、いや俺達の非日常が始まった。あ、いや、考えてみれば元々、非日常だったわ・・・。
いくつか連載しているのに、何でこんな作品を書いて投稿したんだろ?
自分でも首を傾げています。
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