第6話 「謎反応」
「へぇ、そんな圧倒的にボコられるような相手がいるんだ。あんだけ調子いいって言ってたのにな。」
調子乗ってるからだよ、と信彦が面白そうにケラケラと笑う。
「そんな笑うなよ‥ガチで上手かったんだって。」
部活から帰ってきた信彦と合流し、並んで街を歩く。
信彦は盾戦士。でかい盾と長剣を装備した防御よりの戦士だ。
プレイヤーネームは「彦丸」。
「んー、でもフレンドになってくれたんだろ?なら、そのうちまた戦えるって。」
確かに。何を考えているのかは分からないが、繋がりはあるのだ。あの真っ黒なスキンといい、天才的な動き。頭にこびりついて離れない。絶対リベンジしたい、負けたままじゃ終われないのだ。
と、そこに通知が1件。内容にちらっと目を通す。
「ほら、噂をすれば、だよ。」
信彦に見えるよう届いた通知を宙に表示させる。
『???からメッセージが届いています。』
「お、出た。なんて来てんの?」
わくわくした様子で覗き込んでくる信彦。
ええっと?なんて来てるんだ。届いたチャットを確認する。
『よろしくね。君は何歳なの?』
なんだこれ。身を乗り出してきた信彦も一瞬、ん?と首を捻るがすぐに思いついたように手を叩く。
「いきなり年齢から‥?んー、分かった!この人お前に気があるんだよ!一目惚れってやつ!」
「そんな訳ないだろ‥」
呆れたようなげんなりとした声で返す。さっきちょっとだけいい勝負(?)をしたぐらいでいくら何でも展開が早すぎだ。飛躍し過ぎてる。でも、いきなり年齢を尋ねてくるなんて、なくはないのかもしれないけれど少し急だ。
んー、、普通に返すか、適当にぼかすか。
どういうテンションで話かけてきているか分からないから慎重に頭を悩ませていると、追い討ちをかけるようにもう一通チャットが届く。
『後、明日少し待ち合わせしませんか。話したい事があります。』
さらに訳が分からない。何?何を求められてるんだこれ。
「ほら、絶対そうだって!女の人だったんだろ?そういう事だよ!」
ハイテンションで騒ぐ信彦は置いておいて、どう対応したものか。
まぁ、明日は学校さえ終われば特に予定もないし話ぐらいは聞きに行ってみてもいいのか?まさか本当に信彦の言う通りなんて事はないだろうし。
年齢ははっきりとは明記せず学生、18時以降なら大丈夫と言う旨の返信を作成し送る。これでとりあえずは大丈夫だろう。
1人テンション高く騒いでいる信彦に向き直る。
「さ、そろそろ昨日の続きから行こうぜ。レベル上げするんだろ?」
俺に勧められて始めた信彦はまだレベル10。それでも中々のハイペースだが俺に追いつくには足りない。
もう少し楽しめそうだったのにと一瞬ふてくされるような顔をするが、すぐにいつもの元気な顔へと戻る。
「そうだな!早いとこ俺もレベル上げて装備整えないと。今日で1レベルは上げないと終われないからな!」
明るい事この上ない。めちゃくちゃハイテンションだ。
その後、街の近くの草原でスライム狩りをスタートする。
湧いた側から剣で切り裂く。プニプニとした柔らかな餅のような体で体当たりを仕掛けてくるがレベルは低い。
当たっても大したダメージにはならないだろう。反対にこちらの攻撃は大体1発。これだけさくさく討伐していればもらえる量が少ないとは言え、塵も積もれば山となる。1時間もやっていれば中々の効率になっているだろう。
草原を駆け回り、手を動かすのをやめぬまま同じ様にスライムを狩っている信彦へと話しかける。
「部活はどうだった?新入生とか見学来てたんじゃないの?」
信彦も同じ様に、手を止める事なく会話する。
「あー、それね。確かに何人か見学来てたなぁ。マネージャー希望っ女子もいたし結構入ってくれそうだったぞ。」
信彦は陸上部の中でも、かなり顔がいい。運動神経抜群、性格良し、おまけにイケメンときた。
きっとそのマネージャー希望の中には信彦目当ての子もいる事だろう。
「深夜こそ、やっぱり部活とか入る気ないわけ?別に運動神経悪いわけじゃないんだしさ。って、おっと。ここだとクロだっけ。」
「二人の時は深夜でもいいよ。運動は出来なくはないだけで別に上手くないし入る気ないよ。それに、自由な時間減らしたくないし。」
そんなリアルに関するあれやこれやの雑談をしているとあっと言う間に時間が過ぎていく。ただのスライム狩りといえど、これだけ長時間続けていれば集中力も体力もすり減っていく。
2時間と半ほど経ったころ、信彦のレベルが11になったのを区切りに一旦お開きとなった。
「付き合ってくれてありがとな!もうヘトヘトだよ、スライムは今日は見たくねーや。また明日学校でな。」
そう言って信彦がログアウトしていく。
俺も、いつの間にか来ていた「???」さんからの返信
『じゃあ明日19時に闘技場前で‥』
と言うメッセージに、分かりました。とだけ返し今日を終えた。




