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『青春はゲームじゃない』  作者: いろは菓子
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48話 「次がある」

 俺がもっと強ければきっと結果は変わっていたはず。

 その事実に言葉が出ない。


「でも、本当に凄い。いきなり準優勝なんて普通は取れるもんじゃない。もっと自信を持っていい結果だよ。」


 ツキノはそう励ましてくれる。


「そうは言っても、そんな喜ぶ気分じゃ‥‥」


 自分でも、ここまで来たのは凄いと思う。だが、それは結局俺の力ではなかった。

 地力が試される場面で俺がヘマをしたばっかりに皆に負担をかけて。今まで勝ってきたのだって俺は何も関係なかったのかもしれない。

 全部はてな先輩がいてくれたから、周りが強かったから。ただそれだけの理由だったんだ。


 俺単体なんて所詮、凡。言われた通り、図星だ。

 否定のしようがない、俺がはてな先輩の穴だ。

 そう分かっても納得出来るわけがない。悔しい、悔しくてたまらない。


 ちっぽけな自尊心やプライドと言ったものをズタズタに引き裂かれた。調子に乗っていた自分はさぞ滑稽だっただろう。


「皆、この凄さを分かってないんだよ。私だって優勝出来なかった事は悔しい。でも、このチームは今日が初めてのチーム戦だよ。秋月の狼にいた時だって最初から勝ててたわけじゃない。反省は大事だけど、ここまで盛り下がる事じゃない。」


 立花さんは俺よりも経験があって、その言動にはいつもしっかりとした根拠と説得力がある。

 だから、きっと正しいのだろう。分かっている。これで凹んでいるだけじゃ、ダメだってことぐらい。



「後悔も自責も今する事じゃない。今大事なのは――次、同じ状況に陥った時どうするかだよ。」



 次、同じ状況になったらどうするか――。

 そうだ、自分の非力は嘆いているだけじゃ変わらない。

 その力不足を、非力を、無力さ無能さをどう次に繋げるか。

 それこそが大事な事なんだ。


 パンッッ!!


 信彦が自身の両頬を思い切り叩く。


「そうだな!こんな雰囲気じゃ俺達に負けた奴にも失礼だ。目ぇ冷めた!」


 その頬は若干赤く腫れているが吹っ切れたような清々しい顔だ。


「私も、ちょっと暗くなりすぎてたかも。ごめん。」


 伽耶も謝罪をする。だが、そこにはさっきまでのような明らかに落ち込んだ暗さは含まれていない。


 この流れは、次は俺か。


「――じゃあ、みんなで反省会するか!もーボコボコにされすぎて考えること山積みだよ、へへっ。」


 言い切って笑ってしまう。

 なんて単純なんだろうか。その場の雰囲気に釣られて笑みまで出てきてしまった。

 正直、気持ちはまだまだ沈んだままだ。だが、それでも悔しさを一旦忘れ、反省会をしようと思える程度には回復した。


「よし、それじゃツキノさん!俺のダメだったとこを教えてくれ!トオルさんの攻略方法とか!」


「あ、いいな!私ももっとどういう立ち回りをしたらみんなが動きやすいのかを知りたい。教えてツキノさん!」


「えぇ!?」


 信彦と伽耶に囲まれ、ツキノが素っ頓狂な声をあげる。

 確かにこの中で圧倒的に経験豊富、実力もある。アドバイスを貰うにはこれ以上ない。


「俺も教えて!ペアで戦う時のオススメの立ち回り方とか!」


「クロまで‥。まぁ―――いいか。じゃあ私がアドバイスします!言っとくけどかなり辛口だから心折れないで下さいね?」


「望むとこだよ!」


 そこからは各自、自分目線では何が起きていて何を考えていたのかを話した。

 お互いに見えている視点は違い、どんなふうに戦況は映っていたのか。どんな展開になっていたのかを報告しあった。


「なるほど。それじゃ彦丸は回り込む事によって私の射線を通す事を意識したと。」


「自分がされて嫌な事って考えた時にやっぱり色んな方向からの同時攻撃だったから、それをしようとしたんだ。」


 それを聞き、ツキノは少し考えるように腕を組んだ。


「私もそれが分かったから、シオンさんを抑えるのを意識してたかな。」


 伽耶も補足する。おかしな所はないように感じる。


「二人の考えは大体間違ってないです。あれは私の狙撃を完全に封じていた相手が上手だっただけで普通なら完璧。一個だけ言うとするなら、2対2の状況でもう少しいい勝負が出来ていれば相手が合流してからも粘れてたかも。」


「例えば、サヤは自分に速度バフをかけて、彦丸からのカバーを当てにしすぎない立ち回りをするとか。それなら、彦丸も気兼ねなく自分に集中出来るので。」


 簡単に言うとそんな感じです、とツキノが言う。


「なるほど、確かに私が彦丸に依存せずに一人でもある程度動ければ、シオンさんのちょっかいに振り回されずに済んだかも。」


 伽耶が頷く。


「でも、今回は相手の方が格上だったって言うのはあるからよく粘った方だとは思うかな。これから、もっと練習していけばいいと思う。それよりも反省するのは私。初撃は当てないといけなかった。」


 それを聞き、信彦も頷く。

 そっちの3人もかなりの強敵と戦っていたんだな。

 俺は自分に必死で周りなんて見ている余裕なかったが、そのメンツで負けるなんてよっぽどだ。


「それじゃ、クロの方だけど。」


 来た。俺の番か。一体何を言われるんだろう。

 辛口評価だって言ってたし気を強く持っておかないと。せっかく出した元気をへし折られる。


 だが、そんな心構えは必要なかった。


「私じゃなくもっと聞くのにいい人がいるでしょ?一緒に戦ってたんだからさ。」


 もっともな意見だ。














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