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『青春はゲームじゃない』  作者: いろは菓子
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35話 「1回戦開始」

 会場には、数百人という単位の人が集まり、ガヤガヤと騒がしい状況が続いていた。


 今日は、プレイヤー自主催のクインテットトーナメント。それがまもなく開始されるのだ。

 観戦にやってきたもの、深夜たちのように出場する気の選手達。各々が目的を持ってこの場所に集っている。

 その熱気は、思わず熱くなってしまうほどで、これからこの人達と戦うんだなと否応に意識させられる。


と、ふいにその喧騒が止み、マイクのキーンとした音が流れる。


「皆さま!本日はお集まり頂きましてありがとうございます!!今回の司会実況を務めさせて頂きます、フロップというものです。早速ではありますが本日のトーナメント表を発表したいと思います!」


 タキシード姿の精悍な青年が舞台上でマイクを片手に深々とお辞儀をする。今回の司会を務めるというその男は、集まっている群衆をぐるっと確認すると、スクリーンに手を向けた。

 それに従い、フロップという青年が示したトーナメント表に目をやる。


 登録は既に済んでいるらしく、正面のスクリーンにずらずらっとトーナメント表が映し出されている。


 俺たちのチーム名は何なのか。聞いていなかったから一瞬迷ったが、すぐにこれだろうなと目星がつく。

「???と愉快な仲間達」。なんだこのチーム名は。愉快な仲間達って説明は流石に雑すぎやしないかとはてな先輩に視線を送るが、ふいっとかわされてしまう。

 まぁいいんだけどな。適当につけてくれてたって事だろう。


 それにしても中々の試合数があるらしい。

 勝ち続ければ全部で6試合。それぞれ5人ずつのパーティーって事だから相当な人数が参加していることになる。

 これは大会のレベルもそこそこ期待できるんじゃないだろうか。


「それではどんどん始めていきましょう!レッツ、スタート!!」


 陽気な掛け声とともに、スクリーンが切り替わり試合が開始された様子が映し出される。人数も人数なため、何試合か同時に放送されるらしい。

 俺たちの出番はもう少し後のようだ。


「凄い人ですね。」


「ホントだね〜ここで優勝したら一気に弾みをつけられるよ。」


 伽耶と美雨がそんな会話をしている。

 確かにこれで勝てたら気持ちいいだろうな。でも、そんなに上手くいくだろうか。俺達は今日が初めてだし、正直よくルールも分かっていない。本当に戦えるのか?


 そんな不安そうな表情に気づいたのか隣にいたツキノがこそっと声をかけてくれる。


「大丈夫ですよ、クロ先輩。多分、思ってるより全然大したことないですから。私達充分強いです。」


 この間、正体が分かった立花さん。あれから関係には多少の変化があった。

 みんなの前では先輩なんて呼んでくれないしもっと強気な態度だが2人の時は現実に近くなり、弱気というか塩らしくなる。

 この変化が面白いというか、あくまでキャラは変えないんだなと尊敬している。


 それにしても、余裕か。本当にそうなのだろうか。



 あれやこれやと話しているうちにあっという間に俺達の番が回ってきた。


 転送がスタートし、開始地点へと送られる。今日のマップはジャングル。

 うっそうと生え茂る深い木々に高い草。目の前ですらまともに見渡せないそんな不自由な環境だ。

 木は独特な形をしており、およそ日本で見られるものではない。というより、このゲームオリジナルだろう。クルクルと巻くような枝に曲がった幹。薄暗さもあいまり絶妙に不気味な雰囲気だ。


「それではまもなく開始です!準備はよろしいでしょうか!!それでは、スタートッ!!」


 天からあのフロップという実況解説の声が降り注ぎ開始の合図が言い渡される。


 マップを開けば、自分達が今いる場所が拠点であり、相手チームの拠点。それにその丁度中間あたりにバフ拠点があることも確認できた。


 これが話に聞いてた拠点か。


 後ろを見れば、手を大きく広げたほどの大きさの赤いクリスタルが台座の上でフワフワと回転しているのが見えた。

 これを取れば、勝ちって事なのか。なるほどな。


 綺麗なクリスタルに見惚れている俺を引き戻すようにツキノの指示が飛ぶ。


「作戦は覚えてますよね?面倒なので、呼び捨てで行きます。はてなとクロの2人はバフ拠点を攻めてください。彦丸とサヤは相手の出方を伺いながら待機。私が、高所から状況を把握して指示を出します。いいですか?」


 それに全員が頷くのを確認し、ツキノは背を向ける。


「連絡はパーティーボイスで!それじゃあ。」


 そういうと、敵拠点とは正反対の森の方向へと颯爽と消えていってしまった。

 恐らく高台でも探しに行ったのだろう。

慣れてるからだろうな。流石の行動の速さだ。


「それじゃ、私達も行こうか?クロ君。大丈夫、私達なら勝てるよ。暴れよう。」


 俺の顔を覗き込むように、はてな先輩の真っ暗な顔が目の前にあった。距離が近い分、うっすらと顔の輪郭のようなものが見えた気がしてドキッとする。


「じゃあ、私からもバフだけかけておきますね。―――」


 何語かよく分からないが、伽耶が杖を構え何かを唱える。

 俺とはてな先輩の体が青白い光に包まれる。

 すると、体がふと軽くなったような気がする。ステータスに目をやれば移動速度と攻撃力にバフがかかっている。


「助かる。それじゃ、行ってくるよ。」


 簡単に礼を言い、敵陣地に体を向ける。

 そろそろのんびりしてる時間もなさそうだ。もう試合も始まってるんだ。気合いを入れないと。


「行ってこいよ!後ろはまかしとけ!」


 信彦の頼れる声も聞こえる。それじゃ、行くかっ!


 はてな先輩と同時に風に乗って走り出す。

 バフが乗っていることもありトップスピードに乗るまでは一瞬。これならすぐに着きそうだ。















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