【対ドラゴン戦】
ご覧頂き、ありがとうございます。
マレーシアの密林にてドラゴンと対峙する優介達。
初めての対生物との戦いに苦戦してしまいます。
突然目の前に現れた多数のドラゴンと戦闘を開始していた。
「アサルトカービン、残弾二〇パーセント!」
「マガジン!」
「有馬くん、これで最後だよ」
「マジかよ、クソ!」
三十六mmのライフル弾をフルオートでドラゴンに発砲する。
宝石の様に輝く鱗に着弾するが、数発は何の抵抗もなく弾かれる。しかし立て続けに命中させるとやがて鱗にヒビが入る。
そこに集中放火。ようやく肉に弾が届く。
一歩一歩後退しながらだけど、確実にドラゴンに命中させていく。
ドラゴン達が“ワルキューレ・ブレイズ”を取り囲み、飛び掛かる機会をうかがっている。
俺は初めて戦う敵、ドラゴンとの戦いに苦戦していた。
パトリオットを操縦している以上、対パトリオットとやる事は変わらないはずなのに戦いにくい事この上ない。
【パトリオット・オンライン】をプレイしている時からそうなんだけど、俺の武器は操縦技術。でもそれ以上にプレイ時間に比例した〝経験〟が相当のアドバンテージになっている。
自身の経験から、相手の動きを感覚的に予測する。それに対応するように機体を駆る。
そうやって俺はここまで戦ってきた。
けど、魔獣の動きなんて予測する事が出来ない。
数はいるけど、知性は高くないのか連携して襲ってくる事はない。襲いかかってくる途中でヤツらの身体同士がぶつかるとケンカすら始める。
群れではなく、あくまでも個々で襲いかかってくる。
予測出来ない動き、パワー、スピード。
武器は爪と牙、そして尻尾。己の身体のみ。
それが強い。
「……っ!? 熱源探知! 一〇時、上方!」
「あー、ちくしょう!」
佐倉の声に視線を向けると上空を旋回していた飛竜に熱源センサーが反応していた。
大きな翼を羽ばたいてホバリングし、鋭い牙が並ぶ顎に光の粒子が収束されていく。
胸を張って、“ワルキューレ・ブレイズ”に向けて何かを吐き出そうとしている。
『優介、ブレス来るわよ!!』
やや離れた所で俺たちと同じ様にドラゴンと交戦中の上原少佐が叫んだ。
それと同時に大地を蹴り、回避行動に移る。
飛竜が放ったブレスは瞬く間に火球となり、今まで“ワルキューレ・ブレイズ”がいた場所に着弾。爆発し、大地を抉り取る。
埋まっていた木の根が焼け、チリチリと赤い火種が出来ていた。
「……あっぶね!」
「有馬くん、次っ!」
「ぐっ!?」
火球を転がる様に回避し、体勢が整っていない所に四足歩行の大型ドラゴンが踏み潰そうと脚を踏みつける。
咄嗟に身を翻しギリギリで回避。しかしアサルトカービンを取り落としてしまい、無残に踏み潰されてしまった。
くそ、戦いにくい!
パワーやスピードもそうだけど、何をしてくるかわからないトリッキーな動きが!
膝をついて体勢を回復させ、そのまま跳躍。
空中でヴァリスセイバーを引き抜き、四足歩行のドラゴンの首に力一杯に振り下ろす。
強靭な鱗にブレードが触れると高速振動を開始し、数瞬の後に鱗を破壊、大木程もある首を切り進む。
肉を切り、骨を断つ感触が操縦桿を通して伝わってくる。
柔らかい感触の後に、ゴリゴリとした、固い物を切り進む感触が。
やがて剣を振り抜くとダンプカー程もあるドラゴンの頭がズシンと重い音を立てて地面に落ちた。
それと同時に切り口から真っ赤な鮮血が噴き出し、“ワルキューレ・ブレイズ”に降りかかった。一瞬メインカメラが真っ赤に染まり、やがて流れていった。
斬首した頭を見下ろす。見開かれた黄金の瞳が恨めしそうに俺を睨んでいる……様な気がした。
生き物の命を断つ感触。
気持ちが悪い。血の匂いがする。痛みを耐える咆哮が途切れる瞬間に感じる絶大な罪悪感。
ありとあらゆる負の感情が入り混じったモノが心に流れ込んできて吐きそうになる。
けど、足を止めない。動きを止めない。何故なら。
『あんたがそうなるわよ、手を止めるな、足を止めるな!!』
上原少佐がそう叫ぶより少し早く。俺は返り血を全身に浴びた“ワルキューレ・ブレイズ”を走らせていた。
首から上が無くなったドラゴンの死体はやがて光に包まれ、虹色の光の粒子となって弾けた。
「言われなくても、わかってんすよぉぉぉ!!」
一番近くにいたドラゴンの懐に入り込み、喉元に狙いを定めてヴァリスセイバーを振り抜く。
さっきの嫌な感触が頭をよぎる。だけど躊躇わない。
ヴァリスセイバーの切っ先がドラゴンの喉元を切り裂く。
『莉子を守るんでしょうが!』
「だから、言われなくてもわかってんすよぉぉぉ!!」
俺はひたすら剣を振った。
ドラゴンの命と佐倉の命。どちらが大切なのか、敢えて頭の中で天秤にかけながら。
俺がビビって戦うのをやめた時、俺と一緒に佐倉も死ぬ。
それを敢えて想像してみる。
……自分が許せなかった。
「私だって……有馬くんの力になるんだからッ!」
佐倉が叫ぶと同時に“ワルキューレ・ブレイズ”のエンジン、【魔導力変換装置】の出力が上がった。
全身の【魔導力伝達線】から人工筋肉に魔力が注がれ、関節のトルクモーターが唸った。
「佐倉、無理すんなっ」
「無理しなきゃ、私の魔力じゃ有馬くんを守れない!」
「佐倉……」
「私は、守られてばかりじゃない、私だって有馬くんを守りたいッ!!」
佐倉の心の昂りに連動するように機体が応える。
いや、そもそもパトリオットとはそういう兵器だ。
搭乗者の魔力を動力に変える。魔力もまた感情に呼応するように昂るものらしかった。
現に“ワルキューレ・ブレイズ”の出力が上がった。
これならもっと戦える。
佐倉の想いを無駄には出来ない。
『気合い入ってるわね、あんたたち! そういうの大好きよ』
そう言ってワイプの上原少佐が獰猛な笑みを浮かべる。
その笑顔は美しく、何者すらも恐れない勇敢さが滲み出ていた。
『生きて帰るわよ、あんた達!』
「「了解っ!!」」
ソメイヨシノからの援護射撃と航空部隊の増援も間もなく到着する。
それまでコイツらを歩兵部隊の所に向かわせるわけにいかない。
俺たちは、迫り来るドラゴンの群れに再び向き合い、剣を構えた。
お読みいただき、ありがとうございました。
作者は【ブクマ】や【評価】をして頂くのが大好きです。
その為に書いていると言ってもいいくらいです。
生き甲斐、といっても過言ではないでしょう。
☆☆☆☆☆→★★★★★
こうして頂くだけで大喜びする単純人間です。
まだの方いらっしゃったら、下部の☆を塗りつぶして貰えると嬉しいなぁ(切実)
レビューなんか超絶嬉しいです、感想ももちろん。
次回もお楽しみに。




