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【異変】

 ご覧頂き、ありがとうございます。


 マレーシア密林戦で大きな変化が。

 今回は途中から三人称になります。




「え、ちょっと……」

「……な、なんだアレ?」


 アームズ・ドラグーンの研究施設を破壊する為に現地へ向かう途中。

 密林の中の少しだけ開けた場所で俺たちは見慣れない光景を目にしていた。


 パトリオットが隠れてしまうほどの高い木々の根が所々剥き出しになった地面。落ち葉が朽ちて黒々とした土が敷き詰められたそこに魔法陣(・・・)が現れたのだ。


 最初は直径数センチ程。それがパァっと様々な色に変化する。一気に直径が広がると、魔法陣の中心に暗黒の様な穴が発生した。それはパトリオットが入ってしまうんじゃないかと思える程大きな穴。


 それが、ひとつ、ふたつ……。重なる様に現れた魔法陣は今や数えきれないほどになった。


 極彩色の魔法陣を美しいとさえ思って見惚れてしまっていた。


『優介、莉子! 戦闘用意!!』

「りょ、了解!」


 上原少佐の叫び声がコクピットに響くと同時に、その穴からツノ(・・)の様なものが突き出してきた。

 すごくゆっくりに感じたのは、多分初めて見る光景で、脳がそれを焼き付けようとしていたからかもしれない。

 

 現実に引き戻された俺たちは、慌てて武器を装備する。

 

 やがて現れたそれは空想世界では定番の、けど現実世界では伝説の生き物。


「ドラゴン?」


 金属の様に鈍く光る鱗。瞳孔が縦長の金色の瞳。

 屈強な筋肉に覆われているであろう四肢。手足の指先には人間の全長ほどもありそうな鋭い鉤爪。

 大きく開いた口には鋸のように鋭い牙が連なっている。

 全高はパトリオットと同じかそれ以上か。二本足で立つもの、四本足で歩くもの、そしてコウモリの様な薄い皮膜で出来た翼をもつもの。形は様々だが、一貫してドラゴンだというのはわかる。


 一匹、二匹……いやこの数え方が正しいかどうかすらわからない。

 それほどにドラゴンという存在は現実からかけ離れている。

 それは佐倉も同じようで、目の前で起こっている事をただ茫然と眺めていた。まるで映画を見ているかの様に。客観的に。

 しかし、上原少佐の一喝で俺たちは意識を引き戻された。


『何してんの!! 魔獣よ、ボーッとしてると死ぬわよ!!』


 上原少佐の声に反応したわけではないだろうが、何十匹といる内の一匹が俺たちに向けて、“ワルキューレ・ブレイズ”に向けて咆哮した。


「っ!?」


 その咆哮の大きさに俺の心臓がドクンと跳ねる。それに連動する様に佐倉も肩を震わせた。しかし怯んでいる場合では無い。


 俺と佐倉はそれぞれ弾かれた様に機体を駆った。





 同刻。南シナ海、マレーシア半島沖。

 帝国海軍所属艦、戦艦ソメイヨシノ司令室。


「南大西洋戦隊より特別遊撃分隊(SRS)の出動要請っ!」

「帝国軍台湾支部より入電! 台北に多数の魔獣出現、至急援護を……」

「東シナ海を航行中のシラカワより救援信号を受信! 多数の飛龍と交戦中! 被害甚大、至急援護を」


 大小様々なモニターが並び、数人のクルーとその人数に準じたコンソールパネルなどが立ち並ぶ薄暗い司令室。

 そこに設けられた特別な椅子に腰掛ける女艦長、川島翠大佐はそれらの報告を拳を握りながら聞いていた。


 一番大きなモニターには世界地図が表示されており、無数の赤い光点が世界中に散りばめられていた。


 マレーシアの密林で発見されたアームズ・ドラグーンの研究施設と思しき建物への揺動、潜入作戦の只中の事。

 あと一歩で作戦終了するというタイミングで世界各地で魔獣が突然に、一様にして出現したのだ。


 東南アジア付近にいる友軍は突然の事に混乱しつつも、それに応戦。しかし苦戦しているらしく、帝国軍最強と謳われるソメイヨシノに対して救援要請などを寄越してきていた。


「……」


 何故このタイミングで世界的に魔獣が、大量に出現したのかはわからない。けれど幸いにしてこのソメイヨシノは魔獣の攻撃を受けてはいない。

 

 ソメイヨシノだけなら急行できない事もない。一番近い場所になら。……しかし、直属の特別遊撃分隊(SRS)や突入部隊はどうなる。

 今、ソメイヨシノがこの場から離れてしまったら、彼らは敵地で完全に孤立する。


 救助に向かうのは彼女らを回収してからだ。


 川島大佐は次々と増えていく赤い印を見ながら、救援要請報告を受けながら、そう考えた。


「救助要請や魔獣の出現報告はいい。まずタマンヌガラの特別遊撃分隊(SRS)や歩兵部隊の回収が最優先だ、その後可能な限りの救援要請を受ける!」


 それらの要請は今の作戦が完了してからだ。

 多数の部下を現地に向かわせている。それに、帝国軍最強のパイロットと機体をジャングルの中に放置するわけにはいかない。


 海上(ここ)からでも出来ることはあるはずだ。

 

 川島大佐はそう自分を鼓舞してクルーに指示を出した。


「航空部隊に出撃命令! F-19三機を特別遊撃分隊(SRS)の援護に向かわせろ! 特別遊撃分隊(SRS)及び突入部隊に通達。ルート十三を破棄。ヘリを直接回収に向かわせる。突入部隊は戦闘を回避し安全な場所へ避難せよ。特別遊撃分隊(SRS)はそれらの援護、可能な限り魔獣を引きつけろ!」


「「「イエス、マム!!」」」


 一呼吸置いて川島大佐は指示を出した。


「ソメイヨシノからも援護する。トマホーク発射用意」

「アイ、マム。トマホーク発射用意」

「トマホーク発射用意。了」


 川島大佐に続いて傍に控えていた副長、(ヤン)中佐がそれを復唱する。それに続いて通信担当の品川軍曹がそれをさらに復唱し、各所に命令を伝達する。


 川島大佐のその一声で各所のクルーが慌ただしく動き出す。

 急な命令にも関わらず、一切のパニックは無い。慌てず、騒がず。しかし急ピッチで、流れるように作業に移る。

 洗礼された無駄のないとぎすまされた動き。練度の高い帝国軍の兵士の中でも更に選りすぐられた精鋭ばかりが集められたソメイヨシノ。

 各クルーの動きはさすがというべきだろう。


 着弾目標座標を現地のクルーに伝え終えるのを確認すると、川島大佐は凛とした声で告げた。


「トマホーク、一番、二番、撃て」

「アイ、マム。トマホーク、一番、二番、発射」

「トマホーク、一番、二番、発射。了」


 弾頭後部のジェットエンジンが火を吹き、猛烈な勢いで二基のトマホークミサイルが射出された。

 ソメイヨシノから白い糸雲を引き、マレーシアの青い空に向かって飛翔していく。


 発射後しばらくすると巡航モードに切り替わり、ミサイルは地面と水平に飛行していく。


 向かう先はマレーシアの密林。

 

 優介は初めての魔獣ドラゴンとの戦いに苦戦していた。



 お読みいただき、ありがとうございました。


 作者は【ブクマ】や【評価】をして頂くのが大好きです。


 ☆☆☆☆☆→★★★★★


 こうして頂くだけで大喜びする単純人間です。

 まだの方いらっしゃったら、下部の☆を塗りつぶして貰えると嬉しいなぁ(切実)


 レビューなんか超絶嬉しいです、感想ももちろん。


 それと久しぶりの三人称…この作品では初めてですね。如何でしたか?

 好評ならもう少し取り入れてみようかと思います。


 あ!あとトマホーク……!

 巡航ミサイルという物に詳しくないので、一生懸命調べましたが、本格さんにはにわかなのがバレてしまったかもしれませんね(汗)

 生暖かく見守ってくださいましw


 続きは近日中に投稿予定ですので、楽しみにして頂けるとありがたいです。

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