【マレーシア密林戦】②
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マレーシアの密林での戦闘開始です。
佐倉もこれだけ早く終わるとは思っていなかったのか、やや驚いた様に言ったけど、それも一瞬。自分なりに納得したのか、すぐに切り替えて仕事に戻った。
俺もこの着かず離れずの戦い方に焦れて来たところだったし、任務が終わったならこんな所に用は無い。
袈裟掛けに斬りかかってくる“ヴォルガー”の一閃を【FRシールド】で受け、力を流す様に払い退ける。
腹部のエンジンに狙いを定めて、逆手に持ったダガーを力いっぱいに突き刺す。
超高速振動する刃が“ヴォルガー”の腹部の装甲を切り裂く。金属が金属を切り進む甲高い音が耳を刺し、オイルが血液の様に飛び散った。
“ヴォルガー”のモノアイの輝きを失い、四肢が駆動しなくなる。すぐさまダガーを引き抜くと傷口から虹色の魔力の粒子が空中にひらひらと飛散した。
「“ヴォルガー”A、沈黙!」
「佐倉っ!」
名前を呼んだだけなのに俺の意図を理解した佐倉が、大腿部ハードポイントに装着させていたグレネードランチャーをパージさせる。
「グレネードランチャー、装備!」
「ナイスだ佐倉!!」
ふわりと浮き上がったそれを確実に掴むと、腰に構えもう一機の“ヴォルガー”に向けて発射した。
低い破裂音と共に銃口からグレネードが吐き出され、緩い弧を描き“ヴォルガー”に向かっていく。
しかし“ヴォルガー”は発射されたグレネードをSVSを一振り。剣の側面で弾く様にし、あっさりと回避してしまう。
「ええっ!?」
「マジかよ!?」
それを見て俺たちは同時に驚きの声を上げる。
弾かれたグレネードがやや離れたところで爆発すると同時に、“ヴォルガー”は背面スラスターを焚いて一気に距離を詰めてくる。
グレネードを弾いた事には驚いたけど、これくらいで取り乱していては【パトリオット・オンライン】で世界一位になんてなれない。
“ヴォルガー”の斬撃を【FRシールド】で受け止め、勢いを殺す。
「私だってやれるんだからっ!!」
相手の動きを止めた瞬間に佐倉が操作する二門の一二.七mmチェーンガンが吠える。狙いは頭部。無数のマズルフラッシュが瞬き、“ワルキューレ・ブレイズ”を照らす。
大量の空薬莢が吐き出され、大地に転がる。
「有馬くん、ヴァリスセイバーを!」
「おう!」
数発の弾丸が“ヴォルガー”の頭部に命中し、メインカメラにヒビが入った。そのタイミングで左脇に可動してきた大型SVSヴァリスセイバーで居合斬りさながらに抜刀と同時に振り抜く。
“ヴォルガー”はSVSでヴァリスセイバーを受け止めようとしたが、神速で振り抜かれたヴァリスセイバーはそのSVSを叩き折り、“ヴォルガー”の腹部を両断していた。
撃破はしたけど、俺の動きに確かに反応していた。
今のパイロットにもっと上の機種を割り振られていたら、もしかしたらもっと苦戦したかもしれない。
「“ヴォルガー”B撃破。増援、無し」
佐倉が各レーダー類を確認しつつ、報告した。とりあえず俺たちに対する増援は無いみたいだ。
『こちら〝セイバー〟敵機四機撃破。増援無し。優介、莉子、無事?』
「有馬無事っす」
「佐倉も問題ありません」
『だと思ったわ。じゃあ後は施設の破壊ね。優介、グレネードランチャーで……あー、いや、私がやるわ』
一度は俺に破壊をする様に言った上原少佐は、けれどすぐにそれを覆した。
もしかしたら施設には逃げ遅れたルゴール人がいるかも知れない。それを考えての事だろう。
軍に入ってまだ日は浅いとはいえ俺も軍人だ。
あの夜に言われた『奪う覚悟』もしなければならない。けれどまだその覚悟をしかねている俺にとってそれはありがたく、そして少しだけ情けなくも思った。
「……すんません」
『良いのよ別に。そう簡単には覚悟出来ないでしょうから。必要な時にその判断はして欲しいけどね。それは今じゃ無くてもいいわ』
俺と上原少佐のやりとりを見ていた佐倉が心配そうに俺の表情を伺っている。
多分、軍人の佐倉なんかはとうの昔にそんな覚悟はしているんだろうな。
シュヴァリエと出会った時に佐倉はすかさず銃を抜いてくれた。あの時の猛禽類の様な瞳は……確かにそんな意志が強い目をしていた様な気がする。
俺はいざという時に命を奪う覚悟は出来るんだろうか。
そんな事を思っている時、『それ』はいきなり訪れた。
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続きは近日中に投稿予定ですので、楽しみにして頂けるとありがたいです。




