【マレーシア密林戦】①
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アームズ・ドラグーンの研究施設での作戦開始です。
コジのカウントがゼロになると、上原少佐が駆る“雷桜参式”は電磁迷彩加工されたマントを脱ぎ去り、パトリオット用に開発されたグレネードのピンを抜き去ると、立て続けに三つ放り投げた。
けたたましい破裂音がすると同時に、腐葉土を多く含んだ地面を大きく抉り取り、木々が折れて飛散した。
突然の騒音に、何十羽という鳥が飛び立ち、密林は瞬く間に騒然となった。
『〝ライダー〟一定の距離を保ちつつ私に続けっ!』
「〝ライダー〟了解!」
グレネードの爆破を合図に、身を潜めていた“ワルキューレ・ブレイズ”もマントを取り払い姿を表す。
マントでの擬態は効果的面で、気がつかずに近寄ってきた猿の群れが驚いて逃げていった。
“雷桜参式”は足元に魔法陣を展開させると、機体を空中に持ち上げ、地上スレスレを木々の間を縫う様に滑り出した。
約八トンのパトリオットをこんな風に持ち上げられるのは、上原少佐の魔力が人並み外れているから出来る芸当らしい。
“雷桜参式”をレーダーで確認しつつ、俺も“ワルキューレ・ブレイズ”を駆る。パトリオット用に開発されたリボルバータイプのグレネードランチャーを抱え、パトリオットの全長ほどもある高い木々に身を隠しながら。
『ルゴール軍、パトリオット展開! 数……四!』
『了解、一機来たわっ! 戦闘開始ぃ!』
完全な奇襲だったはずだが、流石に重要拠点。迎撃の対応も素早い。
「佐倉、アサルトカービンをいつでも出せる様にしておいてくれ」
「了解だよ、有馬くん」
上原少佐は既に“ヴォルガー”と戦闘を開始している。
だけど撃破する事はない。研究施設からやや離れた所で着かず離れずの戦闘をしている。
歩兵部隊に突入の機会を与えなければならない。敵の注意をこちらに向けなければならない以上、あっさりと倒してしまっては無駄に敵を追い込むことになってしまう。
データの抜き出しが終わってない状態で、追い詰められた敵がデータの削除をし、施設を破棄、破壊などされたらここまでの作戦が水の泡だ。
上原少佐はそれが相手に悟られない程度に、絶妙な力加減で戦闘をしている。彼女ほどの腕の持ち主だからこそ出来る技だ。……俺にも出来るかな。
そう思わせるほど上原少佐の駆る“雷桜参式”のポテンシャルは圧倒的だった。
「有馬くん、十時方向敵機接近! 二機、多分“ヴォルガー”」
「距離は」
「おおよそ四〇〇」
「了解ぃ!」
先行して着かず離れずの攻防を繰り返している“雷桜参式”に群がる“ヴォルガー”の数は四機。
それとは別の敵機が二機、俺たちをターゲットにしたようだ。
『優介、援護はいいから、その二機を引きつけて! 撃破してもいいわ』
「了解っす」
『ヤバくなったら逃げなさいよ?』
「誰に言ってんすか!」
『あははっ、たんのもしぃー♪』
『飛鳥、よそ見してると!』
『おっと』
敵にお喋りしていた隙をつかれたのか、コジに怒られて上原少佐は赤い舌をチロリと出した。
“雷桜参式”は四機同時に相手をしている。攻撃をひたすら捌き、いなしている。“ヴォルガー”とは言え、相手は重要拠点を守る手練れだ。それを倒すでもなく相手するのは相当の腕が無ければ成すことは出来ないはずだ。
「佐倉、俺たちも行くぞ」
「うん、有馬くん」
◇
“ヴォルガー”二機と戦闘開始してからしばらく。
俺はそれらを撃墜することなく、なんとか引きつけていた。
まず初めに奴らが持っていたマシンガンや拳銃などの銃火器を破壊した。それからSVSを引き抜き、それぞれが連携して襲いかかってくる。
非常に連携が取れており、日頃から訓練に勤しんで来たんだろうと言うのが窺い知れた。
「これだけFRシールドがハマるとはな!」
この戦いにおいて、ソメイヨシノ整備班班長の山本大尉が勧めてくれた新装備【フォールディング・ライオット・シールド】がドンピシャで活躍していた。
左前腕に取り付けられたそれは、必要に応じて展開する仕様になっており、通常時はかさばらず、取り回しが良い。
使用時は湾曲した透明のシールド、よく機動隊とかが暴徒を相手に使うヤツみたいに広がる。
見た目は透明のそのシールドは、パトリオットの装甲と同じ【FXカーボン】とかいう特殊な金属製らしく、数瞬であればSVSの刃すら防ぐ事ができる。強度は申し分ない。
円柱を割った様に湾曲した形になっており、銃弾などを受け流す事が容易だ。
密林で取り回しが効く様にと持たせてくれた、ナイフ型SVSを両手に装備し、FRシールドと併用して敵の攻撃を防ぐ。
シュヴァリエや上原少佐と違って、佐倉の魔力はその二人に比べると極端に低い。バリア、魔導光子障壁に頼っていられない“ワルキューレ・ブレイズ”にとって、このシールドは非常にありがたい装備だ。
二機の“ヴォルガー”の攻撃を躱しつつ、如何にも力が均衡している様に見せながら戦う事約五分。
ソメイヨシノ司令室の品川軍曹から連絡が入った。
『こちらHQ。特別遊撃分隊各員に通達。敵機を撃破し、可能なら施設を破壊しルート十三にて離脱して下さい』
『〝セイバー〟了解』
「え、と。〝ライダー〟了解」
突入部隊が何かしらのデータを入手出来たって事なのか? そこまで詳しくは言ってくれなかったけど、施設を破壊してなんて言ってるんだから撤退も済んでいるんだろうな。それにしてもこんな短時間で任務を遂行出来るだなんて、流石は帝国最強ソメイヨシノの特殊部隊だな。
「もう終わった……? すごい手際だね。有馬くん、離脱ルートを画面に出すよ」
「下部モニターに頼む」
「うん、わかったよ」
佐倉もこれだけ早く終わるとは思っていなかったのか、やや驚いた様に言ったけど、それも一瞬。自分なりに納得したのか、すぐに切り替えて仕事に戻った。
俺もこの着かず離れずの戦い方に焦れて来たところだったし、任務が終わったならこんな所に用は無い。
俺と佐倉は、目の前の敵を倒す事に専念する事にした。
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