【伝説のイベント発生?】
ご覧頂き、ありがとうございます♪
前回に引き続き、特別遊撃分隊の歓迎会の様子をお送りします。
コメディ要素が強いお話のタイトルには『?』がついております。
いつもより常識のハードルを下げてお読みください^ ^
「これが甘口で、こっちが辛口。ほれ飲んでみなさいな」
「恐れ入ります、少佐様……おっとっと……ほう、確かに先程の物とは口当たりが違いますわ。こう、キレがあると言いますか」
乾杯からしばらく経ったけど、シュヴァリエと上原少佐の二人が酒を酌み交わしている。
正直、酔っ払ったらどうなるんだろうって、怖いもの見たさがあったけど……二人とも確かに顔は赤くなって、表情は緩んでいるけど意識はしっかりしているっぽい。
「分かってきたわねマリオン。てか少佐様なんてやめなさいよ、飛鳥で良いわよ飛鳥で! あんたのが年上でしょーが」
その割にタメ口であんた呼ばわりなんだな。俺も佐倉やシュヴァリエの事を呼び捨てでタメ口だから人のことは言えないけど。
ほろ酔いといった雰囲気の少佐のテンションはさっきより確実に上がってる。
「では飛鳥さん、次はこちらの銘柄などいかがでしょう?」
「ん、どれどれ……大吟醸って何かしら。私、お酒は好きだけど詳しくないからなー」
……前言撤回。しっかりと酔っ払っているみたいだな。多分、大吟醸の事を言ってるのか? シュヴァリエが開いたメニュー表を上原少佐が覗き込んで、顎に手を当てて眉根を寄せて難しそうな顔をしている。
「私には分かりかねますが……少々お値段が張るところを見ると……」
「旨いわね、絶対。おねーさん、コレの四合瓶持ってきてー!」
「はーい、ただいまー」
刺身の下りから日本酒にハマったシュヴァリエに気を良くした上原少佐が次々に日本酒を頼みまくって、今や飲み比べが始まっている。
酒の力なのか、あの二人は着実に親睦を深めているみたいだな。
戦争をしている筈のルゴール人と帝国人だけど、あの二人を見てると仲良くしていけんじゃないのかと思えてくる。
そんな二人をよそに、俺と佐倉は白米を片手に居酒屋ディナーを楽しんでいた。
上原少佐とシュヴァリエが飲みに走るなら、俺と佐倉は食い気だ。せっかく来たんだし、精一杯楽しませて貰おう。
「やっぱり味が濃いめだからご飯が進むね、有馬くん。どれをとってもすごく美味しい。これなんてすごく手が込んでるし」
そう言ってだし巻き卵を取り、茶碗の上に乗せて俺に見せてくる佐倉。
俺はさっきから美味いとしか言っていないんだけど、佐倉は作り方とか、食材の切り方や盛り付けの彩りとかの事も気になるらしく、目で眺めて味を確認する様にゆっくりと味わっている。
しかし手が混んでいるって言う割にはただのだし巻き卵、むしろ卵焼きに見えるけど。
「どこが手が込んでるんだ? 見た目だけじゃよく分からんな」
「食べてみれば分かるよ……はい、あーんして?」
「……ぃ!?」
佐倉が自分の箸でだし巻き卵を一口サイズに切ると、それを摘んで手皿を添えて俺の口元に差し出してきた!?
え、え!? これは御伽噺に良くあるCG回収的イベントの鉄板『あーん』じゃないのか、まさか実在しただなんて!
まさか佐倉さん、マジすか!?
さっきまでそのお箸は貴女のお口に入っていた物ではござりませぬか!? お箸の先が少々お湿りになってらっしゃるみたいですが、卵焼きの出汁ではありませぬよね!?
……いや待て落ち着け優介。
もしかしたら佐倉は俺をからかってるかも知れないぞ。食べさせようとして、直前で「なーんてね⭐︎」とか言ってUターンして自分が食べるやつをかましてくるかも知れんぞ。
……いや待て落ち着け優介。
例えそうだったとして、お茶目な佐倉が見れるんだぞ。想像しただけで可愛いじゃないか。
それに見ろ、佐倉のあの瞳を。キラキラと輝くやや端の上がったつり目を。その黒曜の瞳は一点の曇りもなく、純粋な輝きを放っている。
その瞳からはあざとさなど微塵も感じられない。純粋に俺にこのだし巻き卵を味わって貰いたいみたいだな。
整った顔立ちの佐倉はその瞳で俺を見つめ、プルンと艶やかな唇を開いて「あーん」と言っている。ショートカットの黒髪が居酒屋の照明を反射してツヤツヤと輝いた。
その柔らかそうな唇が触れた箸が、今から俺の口の中に……。
ゴクリ。
よし。
俺は自分の中の自分に別れを告げる。
さよなら俺。今までありがとう。俺は今から貞操を捨てる。お前の事は忘れない。あばよ。
ここまでコンマ二秒。俺は意を決して口を開く……。
「あー……」
「何イチャイチャしてんのよっ、パクっ」
「「あ」」
上原少佐が身を乗り出して佐倉が差し出していただし巻き卵を食べた。
「おい、クソエース! 俺の卵焼き返しやがれ!!」
「っ!? ら、らりろ!? られらひゃいろ!?」
俺は少佐の口に捕らえられただし巻き卵を救出すべく、少佐の口に両手を突っ込み、無理矢理に開いていた。
「今助けてやるからな、待ってろ!」
「あ、有馬くん、少佐殿……ちょ、どうしたの一体っ!?」
「ら、らめー!!」
ギャーギャーと騒ぐ俺と少佐。
何故こんな事になっているのか分からない佐倉。
「あらあら、ご主人様、ご乱心ですわね?」
そんな俺たちを眺めて、シュヴァリエは盃を傾け、一気に酒を煽る。そして頬を赤らめ。熱を帯びた吐息を吐いた。
夜はまだ浅い。
俺たちの宴はまだまだ続くのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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次回もお楽しみに(о´∀`о)




