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【特別遊撃分隊歓迎会】

 ご覧頂き、ありがとうございます♪


 前回に引き続き、居酒屋での特別遊撃分隊(SRS)の絡みをご覧下さい。



「は、ハメたわね!? 別にいいけど」

「いいのかよ」


 じゃあ最初から少佐(あんた)が乾杯してくれよという言葉は一応飲み込んでおくか。

 上原少佐ってノリが良いからついいじっちゃうんだよな。本人もそれを楽しんでいる節があるし。


 上原少佐は潔く立ち上がり、ジョッキを持っていない方の左手を腰に当て、コホンと咳払いをした。やっぱりなんだかんだ言って結構ノリノリじゃないか。


「えー、これからよろしく。乾杯」

「「乾杯ぃー」」

「……えぇ?」


 めちゃくちゃアッサリしてるな……まぁ腹も減ったから良いんだけど。

 乾杯を待ってくれていたのか、俺たちのソレを合図に女将さんが料理を運んで来てくれた。

 料理は全部お任せって事なんだけど、居酒屋という店に来た事が無い俺はどんな料理が出てくるかを密かに楽しみにしていた。


 ひじきの煮付けともやしのナムル。それと、これがたこわさってやつか。上原少佐が料理に箸を伸ばしたのを確認してから、俺はたこわさを手に取る。


 初めてのたこわさ。どれどれ……おお、美味いな、これ。

 タコを噛み締めると、旨味を含んだ塩気が口に広がり、それを追う様に山葵(わさび)のキレのある辛味が鼻を刺す。これは酒のつまみって話だけど、普通にご飯にも合いそうだな。

 

 そしてまだ衣がふつふつといっている、揚げたての鳥の唐揚げだ。竹を編んだカゴに和紙を敷いた上品な器に盛られている。小皿に塩胡椒があるけど、これで食べるのか?


 俺は塩胡椒をひとつまみ唐揚げにふりかけてから齧り付いた。

 サクッとした衣を歯が突き破ると、旨味が凝縮された鳥の肉汁が中から溢れてくる。これはニンニクと生姜かな? 下味がしっかり付いているから塩胡椒をかけなくても十分満足できる味だ。


「美味っ」


 思わず口から本音が漏れる。

 酒のお供にって事で味が濃いめなんだろうけど、居酒屋のメニューって、ご飯にも合いそうな物ばっかりだな。

 

「良い反応ね優介、奢り甲斐があるわ。ほれ、細っこいんだからガンガン食べなよ」

「ははっ、あざっす」


 俺のその反応を見た上原少佐が目を細めて、料理の器をずいと俺に寄せてくれた。

 ちょっとぶっ飛んだ所はあるけど、隊長ってだけあって姉御肌っていうか、面倒見が良いんだな。美人だし。

 

「あ、コレ美味しいよ。有馬くんも食べてみる?」

「おお、サンキュ」


 佐倉が手を差し出してくれたので、取り皿を渡すとそこに揚げ出し豆腐を取ってくれた。

 盛り付けも丁寧で、長ネギも添えて俺に再び渡す。


「本当だな、美味い」

「ふふっ、だよね。居酒屋って初めて来たけど、こんなに美味しいならご飯だけ食べにきても良いかもね」

「ちょうど俺も同じ事を思ってたんだ」

「じゃ、じゃあまた今度一緒に「ご主人様、差し出がましい様で申し訳ありませんが、野菜も摂って下さいませ」

「お、おお、サンキュ……って近い近いっ!」


 俺と佐倉がそんな会話をしているとシュヴァリエがズイっと話に割って入ってきた。てか胸が当たってるんだけど!


「むー」


 話の途中だったから佐倉が頬っぺたを膨らませて怒ってるじゃないか。なんか急にデフォルメされたキャラみたいに見えるんだけど。いちいち可愛いなおい。


 シュヴァリエが盛ってくれた水菜のシーザーサラダを食べていると、一杯目のビールを飲み干した上原少佐が店員さんを呼び止めた。

 ちょうどそのタイミングで何か大きな料理を運んで来たぞ、何だコレ。


「お、来たわね」


 船の形の木の器に盛られた刺身の盛り合わせだ。

 活きが良さそうなタイのお頭が飾られたそれは、座卓に所狭しと並べられたどの料理よりも存在感を放っていた。

 それを目にしたシュヴァリエが思わず歓声を漏らす。


「この料理はなんですの?」

「シュヴァリエは刺身は見た事ないのか?」

「サシミ、ですか。生憎存じ上げませんわ、一体どうやって食べるんですの? というか食べ物ですの? 何かの儀式用のお供物ではありませんの?」

「そ、そんな風に見えるのか……」


 でも言われてみればそんな風に見えるかも。

 だって船盛りの器は文字通り船だし、見事に捌かれた真鯛。ツマや大葉で彩りよく飾られた白身や赤身、終いには見事な鯛の頭までが飾ってある。

 何の前情報も無い外国人がコレを見たら、もしかしたら生贄的な物に見えるかもしれない。


「これは生でいくのよ。あ、醤油はちょっと付けた方が良いわね。山葵はお好みよ」


 カルチャーショックを受けているであろうシュヴァリエに、上原少佐が実際に鯛の刺身を一切れ食べてみせる。

 

「んーんま! これは日本酒ね、おねーさん! 冷やにごー! お猪口四つ!」


 お猪口は四つも要らないだろっ。てか日本酒は日本酒なのか、ずっと昔からあるからか?

 そんな事を思っていると、シュヴァリエが刺身を興味津々で見ていたので食べるよう促す。


 少しだけ戸惑ったシュヴァリエだったけど、おずおずと口に運ぶ。佐倉が念のためウーロン茶を手渡す準備をしている。


「……!」

「どうだ?」


 とは一応聞いてみたけど、感想は言わなくてもわかった。

 口に入れた瞬間にシュヴァリエの目は見開かれて、そのエメラルドの瞳を輝かせた。

 口に手を当てて、十分に味わってから飲み込む。

 完全に気に入ったのが見て取れた。


「お、美味しいですっ! 生の魚がこんなに美味しいだなんて……」


 シュヴァリエのリアクションの良さに気を良くした上原少佐が鼻を鳴らす。さも自分が捌いたかの様な風だな。まぁ少佐がご馳走してくれるんだし、そんな感じにもなるか。


「ふふん、刺身は日本の文化よ。そして刺身には日本酒よ」

「に、日本酒……とはなんですの?」


 首を傾げるシュヴァリエはそのエメラルドの瞳を輝かせる。完全に日本酒に興味が移ってるな。

 既にグラスワインを空けてしまっているし、その影響なのか頬もやや赤らんでいる。

 

 少佐はお猪口をシュヴァリエに渡して、それに日本酒を注ぐ。


「まぁ夜は長いし、ゆっくりやりましょ」

「は、はい」


 コレは長くなりそうだな。

 俺はお酌し合う二人を眺めてそう思ったけど、このワイワイした雰囲気も良いなと思っていた。

 

 雰囲気に酔うって奴なのかな、今夜は楽しくなりそうだ。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 少しでも『面白い』『続きが読みたい』『居酒屋楽しそう』と思っていただけましたら【ブクマ】【評価】をして頂けると嬉しいです。


 次回もお楽しみに(о´∀`о)

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