【初陣】③
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「お前って、〝魔女〟なのか?」
俺は彼女の背中にそう問いかけた。
女の子に対して〝魔女〟なのかなんて質問する日が来るだなんて思わなかった。
普段、女の子との接点が皆無の俺でも、その質問が非常識なのは理解してる。
けどもう、ここは非常識な場所なんだ。
多少の非常識は不問にしてもらいたい。
だけど〝魔女〟かそうじゃないかとの違いでこれからの戦い方が大きく変わってくるんだから、そこはしっかり確認しなければならない。
「……き、キミね……」
うわ、やべ。
肩震わせて怒ってるよ。
そりゃそうだよな、初対面のヤツに『魔女なのか』なんて聞かれたら誰だって怒る……。
「……『お前』って何よ、『お前』って! 女子に対して言う言葉じゃないよねっ!」
「ええっ!? そっちかよっ!」
質問自体に対して怒られるかと思っていた俺は肩透かしを食らった気分になった。
けどいや、まぁ確かにそうかもしれん。悪かった。すまん。
「私は〝佐倉莉子〟よ、一応覚えといて」
「佐倉、か」
ここに来て初めて、名前を聞いていなかった事に気がついた。
佐倉莉子。快活そうな彼女にはピッタリな名前だな。
「そ、佐倉。で、私は〝魔女〟だよ」
……そっちはアッサリ認めんのかよ。
「【パトリオット】を動かす為には〝魔女〟の魔力が要るのは、やっぱり知ってるみたいね」
「ま、まぁ、知ってるというか……」
ゲームの中の情報だからな。
そうかも知れないとは思ったが、実際にそうだと言われると何だか不思議な感覚に陥る。
「てことは、この【ワルキューレ】はおま……佐倉の魔力で動いているって事でいいのか?」
「そうだよ。厳密に言うと少し違うけど、今は細かい事まで話してる場合じゃないから割愛っ」
「そうだな」
確かに佐倉の言う通りだ。
ここで【パトリオット】とは、【ワルキューレ】とはなんて話をしている場合じゃない。
今はとにかく残り二機の【ヴォルガー】を倒す事を考える事が先だ。
「佐倉が〝魔女〟で、この機体が【ワルキューレ】って事は……」
「……な、なによ?」
少したじろぐ佐倉に俺はさらに問いかけた。
これが俺が聞きたかった事の本質だ。
「って事は、この機体には〝アレ〟が載ってる。間違い無いか?」
「…………」
その問いに、前席の佐倉が俺を振り返った。
その表情は半分驚いているような、そして半分は納得しているような。そんな複雑な表情だった。
そして、そんな表情を見た俺は全て理解した。
「いや、もういい。わかったから」
「……キミは一体……」
「それは、こっちのセリフだから。訳わかんねぇんだよ、未だにっ」
ったく。と悪態をついた俺は、密かに頭の中で考えていた作戦を佐倉に伝えた。
佐倉が〝魔女〟であり、この機体が【パトリオット】の【ワルキューレ】である事が確認できた。
それが分かれば、俺が考えた作戦も条件が揃うんだ。
「……出来るか?」
一通り作戦を伝えてそう聞くと、佐倉は口端を上げて頷いた。
「いいわ、やってみる」
「やってみる、か」
「仕方ないでしょう? 私もやった事ないんだから加減が分からないの」
彼女は半ば不安そうな仕草でそう言ったが、口端は相変わらず上がったままだった。
不安だけど、やれる気がする。
「偶然だな、俺もやるのは初めてだ」
「ふふっ、そんな軽口が叩けるんだから安心だね」
レーダーマップを確認すると、赤い光点が二つ連なってこちらに向かって来ている。
二対一の接近戦になりそうだな。
俺は手を組んで両手首を回し、操縦桿を握った。
この訳のわからない状況を脱して、絶対に納得のいく説明してもらうからなっ。
【ヴォルガー】はあと二機。
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続きはこの後更新。
少しだけストックが有りますので、しばらくは毎日複数話更新の予定です。




