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【ソメイヨシノ艦長室にて】

 ご覧頂き、ありがとうございます♪

 

 着任報告をするため、二人は艦長室へ向かいます。


 俺と佐倉、それに上原少佐の三人はソメイヨシノの艦長室へ来ていた。俺と佐倉は着任報告をする為に、上原少佐はそんな俺たちの案内をしてくれている。


 そして今は上原少佐がソメイヨシノ艦長さんにボロカスに言われた後。逆鱗の理由はもちろんさっきの案件。


「……あの少佐(アホ)は厳罰に処した。私からも改めて謝罪する。すまなかった、有馬特尉」

「あ、いや、そんな。止めてください大佐……」


 俺は目の前で深々と頭を下げる、ソメイヨシノ艦長の川島翠(かわしまみどり)大佐に頭をあげるよう頼んでいた。


 俺にセクハラをやらかした上原少佐は、自身の部下に両脇を抱えられて反省室という留置牢にぶち込まれた。

 俺のか弱い男心を弄んだ罪は重い。牢で十分に反省して欲しいもんだ。

 処罰期間は「常識の範囲で君に一任する」と言われたから、後で顔を見に行って反省してたら許してやろう。……反省してたらな!


 それにしてもこうして部下の為に俺みたいな軍人もどきにも頭を下げてくれるんだな。さっきも感じたけど、部下である俺たちの立場になってくれているのかなと思う。まだ出会ったばかりではあるけど、第一印象として俺はそう感じた。


 最後に川島大佐は「本当にすまなかった」と念を押してから、改めて俺と佐倉に向き合った。


「突然の転属命令で驚いただろう。しかし我々の艦も人手不足でな。特にパトリオット部隊のそれは深刻だ」

「そんなになのですか?」


 そもそもルゴール軍と違って、帝国軍には〝魔女〟がいる確率がものすごく低いらしいからな。

 それでも帝国最強と名高いソメイヨシノであっても例外ではないみたいだ。


「ああ。我がソメイヨシノのパトリオット部隊は一つだけだ。特別遊撃分隊……通称〝SRS〟。数名の精鋭と高性能のパトリオットで構成される部隊なのだが、世界中の戦場から出向要請が相次いでな。今では上原少佐だけだ、一時的ではあるがな」

「しょ、少佐だけでありますか?」


 この馬鹿でかい艦にパトリオット一機しか配備されていない?国内最強の船にたった一機。

 シュヴァリエも言っていたけど、この世界の戦争の花形パトリオットじゃなかったのか? それなのに国内最強の船にたった一機しか配備されていないのは明らかに異常事態だ。

 

 さっきのルゴール軍の“ヴォルガー”は二十機はいたしな。それから考えても物量の差がみてとれる。


「そうだ。それだけ帝国軍のパイロット不足は著しい。各地の戦場も特別遊撃分隊(SRS)のパイロット一人派遣すればある程度の戦力にはなる。それだけ特別遊撃分隊(SRS)隊員の戦闘能力は高い。しかし、だからといってこのソメイヨシノも人材派遣が仕事ではないのでな。先日、著しい戦果を挙げた君たちを引き抜かせてもらったわけだ」


 俺を指し、「君の配属は半ば決まっていた事だがね」と大佐は付け加えた。

 つまり俺たちはあの上原少佐率いる特別遊撃分隊(SRS)とやらに編成されるみたいだな。


 聞けばソメイヨシノはその高い機動性と攻撃力を活かして、世界各地の紛争に加担、自軍の援護や重要拠点の強襲などを行う事が多いらしい。

 ……もっと細かい事を話してくれたが、小難しくて理解出来なかった。あとで佐倉に聞こう。


「我々はカナザワ港に寄港し補給を行う。作業が終了次第、次の任務に向かう予定だ。着任早々ではあるが、作業中は羽を伸ばすといい。一旦出航してしまえばいつニホンに帰って来れるか分からないからな」

「了解しました」


 補給が終わり次第出航か。行き先は何処なのかな、川島大佐は言わなかったけど、もう決まってたりするのかな?

 一通り話し終えた川島大佐がもう一度俺たちに向き合う。


「それと、連れのルゴール人なのだが」


 連れのルゴール人。シュヴァリエの事だな。

 輸送機の中で別れてからまだ会っていない。もうこの船には来ているはずなんだけど、何処にいるんだろう。


「済まないが一時的に牢に入れさせてもらっている」

「な……」


 牢……もしかしてルゴール人であるシュヴァリエに手荒な事をしたんじゃ。

 そう思った俺は身を乗り出しそうになった。しかし川島大佐はそれを制した。

 

「ああ、言葉足らずだったな、すまない。もちろん本人同意の上でだ。手荒なことはしていない。主人である特尉が来るまでの間だけだ。ルゴール人とはいえ人権は尊重するさ。だが君と魔力契約しているとはいえ、帝国軍の最新鋭艦の中を自由にしてもらっては困るからな」

「ま、まぁ、確かに」


 まぁ、そうだよな。大佐の言うことはもっともだ。

 魔力契約をしているからと言って、完全に行動がフリーになる訳ではないしな。俺の意に反することをすればその時点でシュヴァリエの心臓が弾ける恐ろしい契約を交わしているのは間違いないんだけど。それでもだ。


「彼女にこの艦に来てもらったのにも理由がある。君たちと同じ様にな」

「シュヴァリエを連れてきた理由、ですか?」


 シュヴァリエを連れて来たのもアンナがどうしてもと言って来た訳だし、何かあるんだろうとは思ったけど。


「詳しくは本人(・・)から聞くと良い。……私だ。ああ、よろしく頼む」


 デスクにあった電話を取り、そう告げた。

 しばらくもしない内に艦長室の扉がノックされ、川島大佐が応答すると静かに開けられた。


「失礼します。有馬特尉、佐倉少尉、どうぞこちらへ」


 現れたのは水兵(セーラー)服姿の女兵士だった。俺と佐倉を何処かに案内してくれるらしい。彼女についていけばシュヴァリエがここに呼ばれた理由がわかると言う事なのかな。


「有馬特尉、佐倉少尉。君たちの活躍を期待している」

「はっ。では、失礼します」

「……しゃす」


 佐倉は美しい敬礼を。俺は見様見真似で良いのか悪いのか分からない敬礼をした。


 そんな俺たちに川島大佐は、少しだけ口端を上げて敬礼を返していた。

 その表情は確かにクールだったが、眼差しには確かに俺たちに対する期待が含まれていたように感じた。



 お読みいただき、ありがとうございました。



 少しでも『面白い!』『続きが読みたい!』『この後どうなる?』と思っていただけましたら、【ブクマ】【評価】を頂けると嬉しいです♪


 続きは近日中に投稿予定ですので、楽しみにして頂けるとありがたいです。


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