【黒鉄の戦艦】
ご覧頂き、ありがとうございます♪
第二章第二話、是非最後まで読んで頂きたく思います。
戦艦“ソメイヨシノ”は夕陽に照らされた大海原を悠々と、そして堂々と進んでいた。
歴史の教科書で見たような、かつての日本最強と謳われた大和級一番艦を思わせる艦影をしている。
船首で凪いだ水面を切り裂き、船尾から白波の尾を引いたその“ソメイヨシノ”と言われた戦艦の迫力はすごい。
俺はその鉄の巨艦を双眼鏡で見た。
甲板は真新しく、前部には大砲や対空砲などの装備が集中している様に見えた。何十本あるのか分からない主砲や副砲の数々が装備されている。
中部にはブリッジがあり、ツノの様なアンテナが何本も立っていた。甲板に煙突などは見当たらない。
艦の後部には何基かの大砲。そしてさらに後部に空母の様な滑走路が設けてあった。
どうやら自ら戦う戦闘力と、空母的な役割も出来るみたいだな。
そんな設備が整っているんだし、船体も当然巨大なんだろうな。
遥か水平線に見えている“ソメイヨシノ”とは距離が離れている。存在感は確かにあるけど、その大きさを体感するには遠すぎる。
巨大戦艦の後部に空母がくっついているような変わった外見を持つ船こそが、俺たちの新しい配属先らしい。
アンナと佐倉の話をまとめると、“ソメイヨシノ”はその高い機動性を活かして重要な任務を負う事が多いらしい。
その重要性から乗組員の多くはエリートなどの優秀な兵士が多く集まるらしく、練度は帝国軍最強クラス。
“ソメイヨシノ”に配属になるというのはすごく栄誉な事らしいけど、重要な任務が多いので、基本的に最前線に赴く事が多くなる。
当然だけど、その分命が危険に晒され易くなる。
トウヤ市も最前線だったわけだから、基本的にはあまり変わらないんじゃないかと俺は楽観している。
けど、敵を待つのと赴くのとでは戦闘回数が跳ね上がりそうだなぁ。
それが終戦への近道ならそれで良いんだけど。
というか、そんな帝国軍の最主力と言って良い部隊に俺みたいな半分以上素人の軍人もどきを入れて良いのかと思って、アンナに現状を聞いてみると、帝国軍の魔女不足は“ソメイヨシノ”も例外ではないらしい。
もともと配属していた数機のパトリオットごと、違う部署に出向しているらしく、“ソメイヨシノ”内のパトリオットの補充に俺たちが充てられたという形だ。
しかもルゴール人のシュヴァリエ付き。……当のシュヴァリエは俺と同じく双眼鏡で“ソメイヨシノ”を眺めている。ただ単に物珍しいのかな、目の輝きがそれを物語っていた。
佐倉はと言えばアンナから“ソメイヨシノ”への転属を聞かされた時の喜びようと言ったら無かった。
ものすごく嬉しそうに飛び跳ねて、俺の腕を握ってたもんな。すべすべで吸い付く様なお肌だったぞ。うん。
サッポロでの戦いが評価され、憧れの“ソメイヨシノ”に転属ともなればテンションもあがるだろうな。
不思議なのは、その時の敵国の隊長であるシュヴァリエがここにいる事だな。
もちろん置いてこようとした。だけど、何故かアンナが連れて行けと言って聞かなかったから連れてきたわけだ。
アンナから話は通っているらしく、ソメイヨシノ側からも許可が降りたらしい。なんで許可おりんだよ……。
とにかく俺たちはあの巨大戦艦に配属になる。
その時、輸送機内が慌ただしくなった。
「ん? どうかしたのか?」
双眼鏡から目を切り、周りを見渡すとクルーたち何人かが緊張した面持ちでなにかを相談しているみたいだ。
「敵影感知。そう“ソメイヨシノ”から連絡があったらしいね。“ソメイヨシノ”の索敵能力はすごいから早めに感知出来たんだと思う」
佐倉は早口でそう言うと、再び双眼鏡を覗いた。
「敵の種類によるけど数が多いと厄介だと思うよ」
レンズの先はもちろん“ソメイヨシノ”だ。巨艦のさらに向こうにいるであろう敵影をなんとか見ようと試みている。
「でも“ソメイヨシノ”は帝国最強なんだろ? パトリオット数機で向かって来られてもへっちゃらなんじゃないのか?」
「ううん、対艦は得意だろうけど数にものを言わせて来られたら苦戦すると思う」
佐倉のその言葉にシュヴァリエが続いた。
「そうですわね。見たところ対艦装備は充実している様なので……私ならば“ヴォルガー”を飛行仕様に換装させ、対艦ミサイルランチャーなどを装備させた機体を用意しますわ。……そうですね、二〇機ほど用意出来れば……」
すると近くで騒がしく走り回っていたクルーから「敵は飛行型パトリオット二十機程度」という言葉が聞こえてきた。当たってるじゃないか、すごいな。さすがルゴール軍で小隊長を務めていただけのことはある。
予想が当たったシュヴァリエは、しかし表情を変えず続ける。
「搭載機も少ないのでしょう? 少し分が悪いかもしれませんわね」
配属初日に宿無しになるのは勘弁してもらいたい。
それに味方がやられるのを見ているだけなんて出来ない。
「佐倉、行こう」
同時に同じ事を言おうとしていたであろう佐倉と目があった。
「うんっ」
「お気をつけていってらっしゃいまし、お二人共」
俺たちの身を案じるシュヴァリエの肩に軽く触れてから俺たちは格納庫へ急いだ。
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次回は鋭意執筆中ですので、楽しみにしていただけると喜びます(^^)
と言いつつ毎日投稿出来ている拙作ですが、いつ途切れるかわかりません(汗
途切れた時は(ああ、無理だったんだなw)くらいに思ってくださいm(_ _)m




