【莉子の記憶】② ※佐倉莉子視点
ご覧頂き、ありがとうございます♪
今回も前回に引き続き、莉子視点をお送りします。
初めは召喚に失敗したのかと思った。
けどそうでは無くて、彼、有馬優介くんは男性のパトリオット乗りらしかった。
そんな話は聞いたことが無かったけど、異世界での話だしアンナ様の言う事だし、きっと操縦が上手いんだと思う。
その時、接敵警報が鳴った。
“ワルキューレ”は試作段階のデュアル・パイロット・システムに換装してあったので、全く目を覚さない有馬くんを後部座席に半ば括り付けて私は出撃した。
あの時はアンナ様のご命令だったとはいえ、申し訳ない事をしたなって反省してる。
“ワルキューレ”で出撃した私だったけど、いつも通りに大苦戦。
『勇者さえ目を覚ませば勝てる』との事だったので、戦闘中の私はずっと祈りながら戦ったのを覚えてる。
戦闘中の衝撃で目を覚ました勇者様。有馬くんはそれはそれは驚いているみたいだった。ふふっ、今思えばおかしいな。
必死に説得したけど、状況が飲み込めていない有馬くんはなかなか操縦桿を握ってくれなかった。どうやら実戦は初めてだったみたい。諦めたその時、有馬くんが操縦桿を倒した。
有馬くんの能力は相当の物だった。
あんな戦い方見たことが無いし、何をどうしたらパトリオットをあんなに自由に動かす事が出来るんだろう。
アンナ様の言う通り、有馬くんは勇者だった。
シュヴァリエから次の作戦が最後だと告げられた日の当日。
私はお父さんに遺書を渡した。パイロットとして働く様になって何回目かの。これで最後になるかも知れないと思って書く遺書は何回書いても辛かった。
だけど家族に伝えたい事はたくさんあったし、十八歳まで楽しく幸せに育ててくれた家族に何も言わずに……死ぬのは嫌だったから。
私はトウヤ基地唯一の魔女。パトリオットの操縦者は私だけ。私がこの基地を守らなきゃ、たとえこの命に替えても。
育ててくれた両親、可愛い妹。商店街の皆、基地の仲間たち。
私が守るんだ、私が……。
そう、思っていた。けれどそれは私の思い上がりだった。
私は私が気が付かない内に全部を抱え込んでいた。
有馬くんはそれをすごく怒ってくれた。
有馬くんは言ってくれた。
「全部俺が守ってやる」って。
すごく、頼もしかった。
今まで私が全部やらなきゃって、そう思い続けてきたから。
だけど今の私は違うって。私には有馬くんがいる。
細くて、女の子と間違えてしまうような有馬くん。
言葉はキツい事が多いけど、出会ったばかりの私たちの事をすごく良く考えてくれているんだと思った。
頼っていいんだ。
有馬くんの背中を見送りながらそう思った時、急に胸が熱くなった。
あの時の事は多分一生忘れないと思う。
全てが吹っ切れた私は有馬くんと新型パトリオット“ワルキューレ・ブレイズ”に乗り込み、最後の戦いに出撃した。
やっぱり有馬くんの戦い方は凄かった。一緒に乗っている私ですら、今自機がどういう体勢なのかすらわからなくなるほど、速く、そして強かった。
私と有馬くんは、あのシュヴァリエを倒した。
有馬くんが何をしたいのか、何をしてほしいのか。
彼の考えている事が全てわかるあの感覚はすごく心地良かった。
操縦者としてはまだまだ未熟な私だけど、彼を支える事はどうやら得意らしかった。それがどうしても嬉しかった。
シュヴァリエを倒した後、私は有馬くんをデートに誘った。生まれて初めてのデート。何がいいかと考えたけど、私らしくしようと思った私はバイクのツーリングを選んだ。
丁度二人乗りが出来る様になる時期だったのもあったし。初めてのデートで、初めての二人乗り。
有馬くんには少し怖い思いをさせちゃったかな?
一生懸命に私に掴まる有馬くんは可愛いかったな、ふふっ。
実は私は『また今度』って約束が出来なかった。
無事に帰れるか分からないパイロットという仕事。破ってしまうかも知れない約束を簡単にしてしまう事は、私には出来なかった。
だけど私は有馬くんと「また二人でバイクに乗ろう」って約束した。
有馬くんが「俺が佐倉を絶対に家に帰してやる」って言ってくれたから。
私はもう一人じゃない。
色白で、運動が苦手で。
ぶっきらぼうで、言葉使いが悪くて。
でも優しくて可愛い、私の相棒がいるから。
お読みいただき、ありがとうございました。
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次回から物語に進展を持たせようと思っています。
構想はあるのですが、鋭意執筆中です(^^)
今回のお話は新生活編の前に編入させていただきます。




