【縦横無尽のフライングディスカー?】
ご覧頂き、ありがとうございます♪
今回は前回からの続き、更に次回へ繋がるお話です。
コメディ要素が強いお話は、タイトルに【?】が付いております。どうか最後まで読んで頂きたく思います(^^)
机に突っ伏していたシュヴァリエ。
精神状態が少し回復したのか、俺はそのシュヴァリエに結構な勢いで詰め寄られていた。
「だから犬の肉じゃないんだって」
「知っていますわ! ルゴール人も犬は飼いますし、ドッグフードもあります!」
「じゃあどうしてドッグフードだって気づかないんだよっ」
「逆ギレですの!? ご主人様なのに逆ギレですの!?」
がーっとまくし立てるシュヴァリエ。てか騎士が逆ギレとか言うな。
よほどドッグフードを食べさせられたのがこたえたのか、うわーんと今にも泣き出しそうだ。てか泣いている。
獣人族が犬を飼うのか。興味深い。などと思っている場合じゃない。
「じゃあルゴール王国でもドッグフードは〝餌〟って事か」
「あ、当たり前ですわっ! ルゴール人を何だとお思いですかっ!」
すごい剣幕で怒られた。ご、ごめんなさい……。
魔法契約してなかったらきっと殺されてたな、俺。あっぶねぇ、せふせふ。
佐倉は俺の隣で「だから言ったのに」だのと言って項垂れている。確かにキッチンでドッグフードを準備してる時に反対をされたな。
俺はそんな佐倉の静止を振り解いてシュヴァリエにドッグフードを食べさせてしまったわけだが。
だってケモミミもふもふなんだぞ! どう見ても犬っぽい耳と尻尾付いてんだぞ! しかも三食くらい美味しそうに食べてたし!
「ご主人様、これからは自炊致しましょう」
「自炊かぁ……」
涙目のままシュヴァリエが顔を上げた。
うーん。確かにその方がいいんだろうけど、あいにく俺は料理をした事がない。学校が大嫌いだった俺は、家庭科の調理実習すらしたことが無い。
料理が出来ない以上は俺から率先して自炊を提案し難いなぁ、と思っていた所だった。逆に言えばチャンスか。
チラッと佐倉を見ると目が合う。
「コンロもあるんだし、器具さえ有れば私作るよ? レトルトには慣れてるから別に気にしないけど、栄養のバランス考えるならその方がいいよね」
話の流れ的に俺の視線の意図に気づいてくれた佐倉が自らそう提案してくれた。
「佐倉、料理出来るのか?」と聞いた俺に、少しだけ照れ臭そうに頬をかきながら言う。
「う、うん、一応ね。けどそんなに複雑な料理は出来ないよ? 肉じゃがとか、芋の煮っ転がしとか。ちょっとおばあちゃんぽいかな、あはは」
に、肉じゃが。その単語に俺の耳がピクリとなる。
肉じゃがってあれか?ギャルゲーとかの幼馴染キャラが得意料理として挙げる伝説の食べ物か?
「肉じゃが!? 食べたい!」
気づけば俺は身を乗り出していた。
「えっ!? う、うん、もちろんいいけど……あはは、そんなに好きなの?」
「ま、マジか! やったぁー!」
ジャガイモがある世界に召喚してくれたアンナに……いや、アンナ様に感謝せずにはいられない。
あまりに俺が喜ぶので佐倉が焦ったように「あまりハードル上げないでよ」と言っているが。
大丈夫だ佐倉。肉じゃがなら例え毒入りでも俺は食べ尽くしてみせる。
と、そのやりとりを不思議そうに見ていたシュヴァリエが首を傾げる。どうやら肉じゃがの事を知らなかったらしい。
肉とジャガイモを味付けして煮た料理だと言ったら、そうですかと短く言うだけだった。
まぁ尻尾を見れば興味があるのがバレバレなんだよなぁ。
チラッとシュヴァリエの尻尾を見るとパタパタと振っている。きっと楽しみなんだな。
今の俺の家には調理器具がない。そもそも一人暮らしの予定だったから作るのも面倒だったし、前述の通り料理の経験もない。
けど三人暮らしになったんだし、料理に覚えのある佐倉がいてくれるんだ。すごく心強い。
調理器具を買わなきゃなんだけど、なんだかんだバタバタしていて買う暇がなかったからなぁ。次の休みにでも買いに行こう。
◇
それから数日後。
調理器具を買った帰り道、俺と佐倉とシュヴァリエは近所にある公園にやってきていた。
佐倉曰く『芝生公園』と呼ばれているらしいその公園は、名前の通りサッカー場ほどもあるスペースにびっしり芝生が敷き詰められただけの公園だった。
外周を沿うようにクッション性の良い素材で舗装してあるところを見るとランニングをしたりするにはちょうど良さそうだ。俺はしないけど。
「んー! きもちー!」
荷物を置いた佐倉がそのまま芝生に寝転がり、大きな伸びをした。
佐倉のファッションは、白のタンクトップに黒のサルエルパンツ。それに白のバスケットシューズを合わせた非常に動きやすそうなスポーティなコーディネートだった。
緑の芝生の上で無防備に伸びをしてるものだからタンクトップの裾から形の良いオヘソが覗いている。
「まったく、子供かよ」
「んー! だって気持ちいいよぉ」
と言いながらもきっちりと目に焼き付ける。もちろんチラ見でな。
快活な性格の佐倉は普段、パンツスタイルが多い。
スタイルがいいからスカートなどを履いてもきっと似合うだろうけどな。
絶妙なチラリズムに翻弄されながらも、俺は佐倉の腹部を脳に焼き付ける。
「…………」
「はっ!?」
不意に視線を感じて目線を上げると、口端を上げてニヤニヤしたシュヴァリエと目が合った。
くそう、チラ見してる所をバッチリ見られてしまった!
いつから見てたんだよ!
今更取り繕っても仕方ないのでシュヴァリエをとりあえず睨んでおく。
そんな俺の視線のを受けたシュヴァリエは余裕の表情でクスクスと笑った。
シュヴァリエは自身の肌のような透き通る白いノースリーブワンピースに薄茶のレースアップサンダルというシンプルないでたち。
しかしそのシンプルさこそがスーパーモデル顔負けのプロポーションを引き立てていた。
頭頂部の耳を隠す為に、縁の大きいストローハットを被っている。風が吹くたびに黄金の絹のようにしなやかな長髪が舞い、非常に美しかった。
ちなみに、もふもふの尻尾はワンピースのスカート部分に隠しているから、振らない限りはバレない。
シュヴァリエのそれは、犬の尻尾のように無意識に動いてしまう事があるらしく、驚いたり警戒したりする時はピンと立つし、嬉しい時は振ったりする。
俺もたまに見る事があるんだけど、無意識に尻尾を動かしてしまう事は淑女として恥ずべき事らしく、幼少期から厳しく躾られてきたそうだ。
それでも動いてしまう事があるのは、まぁ本能なんだろうから仕方のない事なのかもしれない。
「あ、そうだ」
十分に伸びをして満足したのか、何かを思い出したように佐倉が飛び起きた。
仰向けの状態で反動をつけて、身体のバネだけで一気にバッと起き上がるやつ。ネックスプリングだったかな、すげぇ。
服についたホコリをぱんぱんと払いながら、買い物袋の中から何かを持ち出してきた。
「コレやろうよ、コレ」
佐倉が取り出したのはプラスチック製の円盤。フライングディスクだ。俺がいた世界のものとなんら変わりない。
「なんですの、それは?」
フライングディスクを見た事が無いのか、シュヴァリエが首を傾げた。
佐倉が遊び方を説明してやると、シュヴァリエは「ようはおもちゃですのね」と興味を失ってしまった。
「……はぁ。まぁいいや。有馬くん、やろ?」
「あ、ああ」
せっかく説明したのにと言いたげな佐倉に誘われて俺は佐倉からある程度の距離を開けて立った。
シュヴァリエは俺たちの様子を木陰のベンチに座って両手で頬杖を突き、眺めている。ただそれだけなのに派手なルックスのせいで妙に格好良く見えてしまう。
フライングディスクなんてやるのはいつぶりだろう。
少しだけワクワクしながら佐倉に投げても良い趣旨の合図を送る。
「じゃあ、行くよー」
明るくそう言うと、佐倉はフライングディスクを利き手の右手で持ち、腕を巻き込むように胸の前で構える。腰を入れて、簡単な掛け声をかけて佐倉が投擲した。
オレンジ色のディスクがゆっくり、けれど真っ直ぐに俺の胸に飛んで来た。
「……っ!?」
「おっと……な、なんとか取れた」
「あははっ、有馬くんナイスキャッチー! さぁ、今度は有馬くんの番だよぉー!」
なんとかキャッチ出来た。それを見た佐倉が自分のことの様に喜んでくれている。照れくさいけどなんだか嬉しかった。
「よし、行くぞぉー」
「バッチこーい」
佐倉のフォームを見様見真似で投げてみる。
「……よっ」
「っ!?」
リリースの時にディスクのフチが少し指に掛かった感覚。
案の定、俺の投げたディスクは佐倉の方ではなく明後日の方向へ向かって飛んでいった。
「あ、悪い」
方向が違っても高さはある。ふわりと上がったディスクを見て佐倉が走り出す。走り出しからの加速が良い。運動神経が良いのが見てとれる。
「大丈夫、大丈夫っ」
スピードに乗った佐倉が踏み切り、跳躍。ディスクに手を伸ばす。
「っ!?」
が、佐倉の手は空を切った。
ディスクは佐倉の手には収まらず……。
「…………何してんだシュヴァリエ?」
俺が投げたディスクはシュヴァリエが咥えていた。
お読みいただき、ありがとうございました。
少しでも『面白い!』『続きが読みたい!』『シュヴァリエ正気か!?』と思っていただけましたら、【ブクマ】【評価】を頂けると嬉しいです♪
続きは近日中に投稿予定ですので、楽しみにして頂けるとありがたいです。
日常回、作者は書いていて楽しいのですが、読者様的にはどうでしょうか?汗
もし『そろそろ先に行けw』等のご意見がございましたら、遠慮なく作者にお聞かせください(^^)
いつも応援ありがとうございます。




