【主人と従者?】
ご覧頂き、ありがとうございます♪
前回からの続きとなります。
コメディ要素が強いお話は、タイトルに【?】が付いております。
ですが物語には大切なお話ですので、どうか最後まで読んで頂きたく思います(^^)
「……は?」
え、ごめん耳が急に遠くなったみたいだ。
思わず俺はそう聞き返した。佐倉は目を丸くして驚いている。きっと俺もあんな様な顔をしているんだろうな。
「ですから、お断り致します」
両手を拘束されたシュヴァリエはほほえんでこそいるが、真面目にそう言った。
その真っ直ぐな瞳は嘘や冗談を言っている様には思えない。
しかし俺は彼女の言っている意味が理解出来ずに思わず聞き返した。
「え、な、なんでだよ。俺が契約を破棄するんだぞ?」
「私はご主人様の元を離れるつもりはありませんの」
「な――」
「なんで!?」
俺の代わりに佐倉がずいと前に乗り出して聞いた。
おお、すごい勢いだな。いや、わけわかんないよな、いいぞ佐倉もっとやれ。
「なんでもなにも。ルゴール王国騎士団の一個小隊を任されている私をああもアッサリと負かす力量に惚れました」
「ほ、ほ?」
惚れたって言ったのか、今?
「こんな優秀な〝種〟を放っておくなど出来ません」
「た、種!?」
惚れたの次は種ときた……え、種って……え?
現実に起こる出来事に脳が追いついていない。俺はただオウムのように単語を返すしかできない。
「はい。私たちルゴール人は戦闘民族と言っても過言ではありません。今や戦場の花形はパトリオットですわ。しかし優秀なパトリオット乗りは例外なく皆女性。優秀な遺伝子を残す事が非常に困難です」
熱く語るシュヴァリエだが、話を要約すると、ルゴール王国は戦争国家。爵位が色濃く残る王国では、各家から優秀な軍人を輩出する事がある種のステータスになっているみたいだ。
今の戦争の花形はやはりパトリオット。しかし漏れなく女性しか操縦出来ないので、優秀な血筋も一代で終わってしまうのがほとんどなのだとか。
もちろん優秀な血筋を残そうとするが、男性にはパトリオットの適性がないので後継者育成がうまく行っていないらしい。
「てか自分で『元騎士団員』って言ってるじゃないか! 俺の……その、所有物になったとしても、もう国には帰れないかもしれないんだぞ?」
「もちろん覚悟の上ですわ。優秀なパイロットを孕めるのであれば私はそれで構いません」
「は、はら……!」
あまりにも生々しい言葉に俺は絶句した。
どうもルゴール人てのは思考がぶっ飛んでいるのか? それともこのシュヴァリエがおかしいのか?
「ま、待ちなさいよ! そもそも異種交配が出来る保証なんて無いんだよ!」
「待て待て、佐倉。問題はそこじゃねぇ」
「そんな事、やってみなければ分かりませんわ」
「待て待てシュヴァリエ。やってみなけりゃって……………ええ!?」
シュヴァリエは涼しい顔でそう言う。と俺をチラリと見た。何故かその視線が下半身に向けられている気がするんだけど。気のせいだよな……何故か背筋が寒くなった。
優秀なパイロットを輩出するには、優秀な〝畑〟だけではなく、優秀な〝種〟も必要なのだとシュヴァリエは考えたらしい。
「ですから。ね?」
と言ってシュヴァリエは俺をつま先から頭まで、舐めるように艶かしく眺めた。形の良い唇を赤い舌でペロリと舐めるその姿は非常に妖艶に見えた。
こいつホントにあのシュヴァリエか?
あの緊迫した戦場で剣を交えた凛とした騎士マリオン・シュヴァリエには到底思えないんだけど。
「ね、じゃないよ!! 有馬くん、その淫魔から離れて!」
「さっきから何なのです、このつるぺたは。キャンキャン吠えて鬱陶しいですわね」
「つ、つるぺた!? 私はパトリオットの操縦者だよ! 何回も戦場であってたでしょ!?」
「……ああ、あの超が付く下手っぴなパイロットですか。なるほど腕ばかりか、身体の方も発展途上だったのですね、ふふふ」
「な、な、ななな!?」
そう言ってシュヴァリエは豊満な胸を張り、長身を利用して佐倉を文字通り見下した。
佐倉とシュヴァリエは何度か戦闘しているらしかったが、こうして顔を合わせるのは初めてなんだな。戦いの結果は言わずもがなシュヴァリエの全勝。
佐倉はずいぶんシュヴァリエに煮湯を飲まされて来たんだし、その上……何というか、そんな事を言われてやり場のない怒りを覚えたに違いない。
……いや、やり場ならあるか……。
「くっ……! くそっ、馬鹿にして!」
佐倉は思い当たる節があるのか、シュヴァリエを睨みつけ、少し頬を赤くし胸を隠した。……俺はそれくらいも好きだぞ、佐倉! 大きいのも好きだけどな!
「というわけで有馬優介。此奴はお主の物じゃ。なーに安心せい。此奴がお主に危害を加える事はない。そうなった場合、すぐさま此奴の心臓が弾けるからの。かっかっかっ! 拘束はお主の好みで解いても良いし、そのまま楽しむも良い。ふふっ、ではな」
「あ、ちょっ!?」
恐ろしい事をサラリと言ってアンナは幻の様に消えてしまった。
そのまま楽しむってなんだよ!
アンナの姿が消えた事にも気づかず佐倉とシュヴァリエは言い争っている。最も佐倉は良いように言われて憤怒し、シュヴァリエは相変わらず佐倉を嘲笑し、見下している。
いきなり降って沸いたこの状況に俺は頭を抱えるのだった。
お読みいただき、ありがとうございました。
少しでも『面白い!』『続きが読みたい!』『これからどうなる?』と思っていただけましたら、【ブクマ】【評価】を頂けると嬉しいです♪
続きは近日中に投稿予定ですので、楽しみにして頂けるとありがたいです。
シュヴァリエが所属していたルゴール軍は、帝国軍に戦争を仕掛けました。
ルゴール軍の目的の一つに戦力の拡大。鹵獲したパトリオットを改修し、戦場に投下するのはもちろん、敵パイロットの捕獲。自国へ取り込むという目的もあります。
もちろん戦争なので、亡くなる人もたくさんいますが、無意味に掠奪したり、空爆などで虐殺などは一切しないのがルゴール軍の戦い方です。




