【サッポロ市街戦】④
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大通りの手前。その道の入り口とも言える場所に“ヴォルガー”が二機、まるで門番のようにマシンガンを携えて待機している。
「なんだよアイツら……隠れる気無いのか?」
「オトリ、とか?」
身を隠さずそこにいるという事は、陽動しているのか……?
佐倉の言う通りオトリかもしれない。
そいつらに捕捉されたら敵の作戦が開始されるだろう。俺は“ワルキューレ・ブレイズ”をビルの陰に滑り込ませ、様子を窺う。
ルゴール軍のジャミングのせいで、上空を飛ぶ偵察機からの敵位置情報が受信できない。つまり中近距離レーダーマップが使えない。けれどそれは敵も同じ事。
レーダーで“ワルキューレ・ブレイズ”を捕捉されていないと言うことは、逆に考えれば奇襲のチャンスだ。
……よし。
「佐倉、ちょっと揺れるぞ……っ」
「……えっ? っええええええええええっ!?」
俺はそう告げると“ワルキューレ・ブレイズ”の背面スラスターを全開にした。
突然の急加速によく訓練されたはずの佐倉が思わず悲鳴を上げた。
急加速による荷重が操縦桿を倒した腕に、全身にのし掛かるっ!
それを全力で踏ん張り、俺はアサルトライフルを腰に構えフルオートで発射。弾幕を張り、“ヴォルガー”二機との距離を一気に詰めるっ!
無数の弾丸が“ヴォルガー”に命中、そこでようやくこちらに気付いた敵機が回避行動をしながらライフルを構えるが、
「遅いっ!」
一機の“ヴォルガー”の頭部に集中砲火を浴びせる。
特に頑丈に作ってあるとはいえ、胸部にはコクピットブロックがある。
スラスターでダッシュしながらなので照準が難しい……けど手元を狂わせるわけには行かない。
俺の放った弾丸は全て“ヴォルガー”の頭部に直撃。モノアイのメインカメラを割り、外装甲を割り、そして内部の各装置を確実に破壊した。
「……全部命中っ!?」
「まだまだぁ!」
頭部を失った“ヴォルガー”にアメフト選手の様なショルダータックルを喰らわせて吹っ飛ばす。
崩れたバランスを取りながらヴァリスセイバーを引き抜き、もう一機の“ヴォルガー”の両脚を切断。
脚部を失った“ヴォルガー”はその場に転がったが、それでも手にしたマシンガンの銃口を“ワルキューレ・ブレイズ”に向ける。
「させるかっ」
すぐさまマシンガンを蹴り飛ばし、腹部にセイバーを突き刺す。
エンジンを停止させた“ヴォルガー”は力尽き、腕を空に伸ばしたまま動かなくなった。
「さ、作戦って言わなかったっ!?」
「作戦だろ。突撃作戦っ」
「あ、あのねぇ……」
額にかいた冷や汗を拭って、佐倉は項垂れた。
ま、まぁ確かにこれを作戦というには少し難があったかも知れないな……。次からはしっかり言おう。
そう思っていると、少し離れたところに閃光弾が上げられた。
「……あ」
空中に浮かぶ閃光弾を見上げながら佐倉は思わず声を漏らした。
“ワルキューレ・ブレイズ”は大通り公園のど真ん中、朽ち果てたテレビ塔の真下に立っていた。
目の前には、非常に視界の開けた公園。
閃光弾に気づいた敵“ヴォルガー”が大通りに面したビルの陰からゾロゾロと姿を現した。
その数……ざっと二十機。
「……あ、有馬くん……?」
佐倉は声を震わせて、ゆっくり振り向いた。
遮蔽物が少ないこんな開けた所で二十機に捕捉されたってわけだ。なはは。
「大丈夫。これで敵が全員出てきてくれる筈だ」
俺は佐倉にそう言うと、次々と姿を表す“ヴォルガー”に対峙した。
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続きは明日の朝更新。




