【サッポロ市街戦】①
ご覧頂き、ありがとうございます♪
今回よりバトル回に突入いたします。
トウヤ基地から出撃して数分。
発進直後は物凄いGが身体に加わっていたけど、巡航モードに入るとそれも収まった。
俺と佐倉を乗せた“ワルキューレ・ブレイズ”は、ルゴール軍と戦うべく『サッポロ市』に向かっていた。
昨日のブリーフィングの時も思ったけど、トウヤにサッポロって、まるで北海道じゃないか。
【パトリオット】のような超兵器や佐倉の様な〝魔女〟がいる世界なので、俺がいた世界とは別物なんだろうけど……。
札幌へは行ったことが無いけど、データで渡されたマップは俺の知る札幌市と似ているような気もしないでも無い。
「有馬くん、そろそろ目標地点だよっ!」
「分かった」
おっと、とりあえず今は考えるのはやめだ。
無事に帰れたら佐倉にこの国、【帝国】の歴史とかを教えてもらおう。俺がいた世界との共通点があるかも知れない。
何にしろ、無事に帰るのが絶対条件だ。
俺はモニターに表示された3Dマップに目をやる。
サッポロ市の一区画を拡大させたそのマップには、立体でビル群が表示されており、先駆けて出撃した偵察機によって補足された敵機が光点で表示されていた。
その数、ざっと二十数機。
俺は操縦桿の感触を確かめながら聞いた。
「相手の機体は?」
「全機“ヴォルガー”……と言うか、“ジャンヌダルク”以外は全部“ヴォルガー”だよ。当の“ジャンヌダルク”はまだ出てきてないみたいだけど」
なるほど。話に聞くと“ジャンヌダルク”のパイロットとは今までも何回か戦った事があるらしい。
けど今回は『掃討する』と言って来ている訳だし、それなりの数の機体を投入してきたみたいだな。
いきなり一騎打ちの決闘をさせてはもらえないのか。
そんな事を考えているとAIが無感情に報告した。
『間もなく投下地点。カウントダウン……十、九……』
カウントがゼロになると、射出用ブースターがパージされて機体が落下し始める。
間もなく“ワルキューレ・ブレイズ”の背部にドッキングしていたパラシュートモジュールが起動し、電磁迷彩加工されたパラシュートが開いた。
落下にブレーキが掛かり、その振動がコクピットを揺らした。
眼下に広がるサッポロの街。
ビル街は朽ちており、コンクリートやアスファルトに入ったヒビの間からは雑草や背の低い木などが生えている。人が住んでいる雰囲気はない。
しかし街の所々に戦闘で出来たと思われる銃弾の跡や、大破して破棄された【パトリオット】の残骸などが転がっている。
それを見ると、このサッポロ市で何度も戦闘が起こっている事が窺えた。
多分、その度に佐倉は出撃し、命からがら生き延び、曲がりなりにもトウヤ基地の人々を守ってきたのだ。
「……でも、今日で終わりにしてやる」
佐倉にも聞こえないように小さく呟くと、俺は操縦桿の側面にあるホイールポインターを操作して装備を選択した。
「着地予測地点に“ヴォルガー”二機っ!」
佐倉がモニターを指して言う。
メインパイロットは俺、佐倉は魔力の制御と索敵など俺をサポートしてくれる手筈になっている。装備の変更など、AIに指示していると時間がロスする場合があるので、佐倉がAIの代わりに行う事も出来る。
その点、一人より二人の方が分担出来るので有利。のはずだ。
下部モニターに目をやる。
こちらに気づき、物陰から出てきた“ヴォルガー”がマシンガンを脇に構えているのが見えた。
「パラシュート、パージっ!」
「了解っ」
すぐさま背部のパラシュートが切り離され、重力落下を始める。
【自動姿勢制御装置】が作動し、脚部が下を向くように機体に内蔵された小型スラスターが小さく噴射された。
“ヴォルガー”がすかさず発砲。瞬く間に弾丸の嵐を“ワルキューレ・ブレイズ”に浴びせる。
「やる気だなっ……それならっ!」
最後に両脚のスラスターが焚かれて衝撃を吸収。
“ワルキューレ・ブレイズ”を着地させると同時に姿勢を低くし、背部スラスターを全開。二機の“ヴォルガー”に迫る。
一機の“ヴォルガー”は逃げる様に後方に跳躍し距離を取ったが、もう一機は変わらず発砲を続ける。
“ワルキューレ・ブレイズ”の機体スレスレを弾丸が横切った。
しかし構わず距離を詰めるっ!
「当たらないんだよっ!」
脚部スラスターを焚き、短く跳躍。飛び膝蹴りで頭部を破壊する。
【パトリオット】の頭部にはセンサーがビッシリと詰まっている。そこを破壊されると文字通り目を奪われた様なものだ。
頭部を失った“ヴォルガー”はデタラメにマシンガンを発砲するが、それはそれで鬱陶しい。
空中で機体をよじらせ、跳び膝蹴りの勢いそのままにマシンガンを蹴り飛ばす。
前回の戦いとは全然違う。
機体の調子が良いのを肌で感じる。出力とかは無印の“ワルキューレ”と変わらないはずなんだけど、装甲の軽量化と、何より機体各部の損傷が無いのが大きい。
「次っ!」
そして素早くもう一機の“ヴォルガー”に照準。
狙うのは【パトリオット】のメインエンジンとも言える機関、【魔導力変換装置】がある腹部。
それを止めてしまえば【パトリオット】は動かなくなる。
「……っ!?」
アサルトライフルを空中で三連射。着地後、横っ飛びしてもう一度照準。
「……な、なんだこれっ?」
照準が思い通りに行かず、俺はトリガーを引く事が出来なかった。
お読みいただき、ありがとうございました。
少しでも『面白い!』『続きが読みたい!』『頑張っているな』と思っていただけましたら、【ブクマ】【評価】をよろしくお願いします。
続きは明日の朝更新。




