【宝石と書いて、おにぎりと読む?】
ご覧頂き、ありがとうございます♪
コメディ要素が強いお話は、タイトルに【?】が付いております。
ですが物語には大切なお話ですので、どうか最後まで読んで頂きたく思います(^^)
オヤジさんから“ワルキューレ・ブレイズ”の説明を一通り聞いた俺と佐倉は基地内にある資料室に来ていた。
資料室の普通の広さって言うのがどんなものか分からないけど、思ったより広い。と言うのが素直な感想だった。
俺が通ってた中学校の図書室くらいはある。……ちなみに高校の図書室へは行った事ないからわからん。
そもそも根っからの引きこもりの俺は、入学式以来高校へは行っていないんだけどなっ!
……それで、その資料室へは何をしに来たかと言えば、【パトリオット】とはどう言うものなのかを佐倉から教わるためだった。
佐倉は【パトリオット】とは何かを一から十まで、もちろん掻い摘んでではあったけど、俺に資料を交えて教えてくれた。
その中で俺の中にあった仮定が、確信に変わっていった。
まず、この世界は【パトリオット】は存在しているけど、ゲームの世界じゃないって事だった。
おかしな事を言っているのは自分でもよく分かる。
それでも異世界に転移するという異常事態。
次々と現れる既に知っている機体が現れれば、あれ、ここってゲームの世界なのか? と思えてくる気持ちもわかって欲しい。
“ヴォルガー”、“ワルキューレ”や“ワルキューレ・ブレイズ”。その全てが【パトリオット・オンライン】に登場する機体だ。
資料室のデータと俺が穴が開くほど読んだ【パトリオット・オンライン】の設定資料集(税込一万三千円)の内容とピッタリと一致した。
もちろん“ヴォルガー”は敵国の機体なので資料には記されていない事もあった。
ゲーム内のキャラクターはもちろん、登場する敵国やその国のトップの人物に至るまで佐倉に確認したけど、どれも聞いた事がないと首を振るばかりだった。
つまり、この世界は【パトリオット・オンライン】の世界ではないって事だ。
けどこの資料室で見た【パトリオット】は全て知っていたし、乗った事もある。もちろんゲームの中で。
それは“ワルキューレ・ブレイズ”は言わずもがな。
昨日戦った“ヴォルガー”、そして『王冠の【パトリオット】』、“ジャンヌダルク”までも……。
「……有馬くん? どうかした?」
「……ファッ?」
佐倉の声にふと現実に引き戻される。
そうだった。
休憩がてら、資料室の飲食スペースで昼食を取っていたところだったのに考え込んじゃったみたいだ。
佐倉のお母さん(名前は律)に作ってもらったおにぎりを一口食べたまま考え込んじゃっていた事に気づいて慌てて首を振った。
「いや、何でもない」
「もしかして、美味しくなかった? 梅おにぎり、キライ?」
「あ、違う違うっ。梅は好きだよ。うん、美味い」
そう言うと俺はガブリと食べかけのおにぎりをひとかじりした。
食の手を止めた俺のことを気遣って、対面に座る佐倉もまたおにぎりを食べる手を止めてくれたんだ。
「ほんと? 無理してない? 私のおかかと交換する?」
と言って心配そうに大きな目を潤ませ、首を傾げる佐倉が、自分のおにぎりをスッと俺の目の前に差し出してくる。
佐倉が差し出した形の良い三角おにぎりは、しかし山頂部分が食べられて中身のおかかが露わになっていた。
……た、食べかけっ!?
そのおにぎりのかけた部分はどうやって食べたんですか?
まさかパンみたいに千切って食べた訳じゃないですよね?
ぷっくりとしたお唇でお噛みになられたという事ですよね?
俺は差し出されたおにぎりと佐倉の顔を交互に見た。
チャンスだ優介。間接キスの(倒置法)
いや、昨日出会ったばかりではあるけど佐倉は可愛い。いや、美人と言うべきか。背も高くてスタイルも良い。黒髪のショートカットが良く似合っている。
それに異世界に来た俺に色々と世話を焼いてくれている。アンナに命令されたってのと、莉乃のリアルお姉ちゃんってのもあるかも知れないけど、些細な事でも気づいてフォローしてくれる。
現に今だっておにぎりの具の事ですら気を使ってくれてる。
俺のファースト(間接)キスの相手に相応しい!!
確かに俺と佐倉は会ったばかりだ、会ったばかりだが、それとこれは別問題だ。惚れた腫れたという事はどうでもいいっ!
ここで紳士ぶって断りでもしてみろ、次はいつ貞操を捨てるチャンスが来るか判ったものではない。
さぁいけ、優介! びびるな、怯むな!
俺は決心して、唾をゴクリと飲み込み、そのキラキラと輝く宝石に手を伸ばした。
「……じゃ、じゃあ……」
ドクン……ドクン……。
自分の心臓の音が聞こえる。
とうとう俺もファースト(間接)キス喪失か。
「あ、でも食べかけなんてヤダよねー」
佐倉はそう言っておにぎりを引っ込めて、残りをふた口でパクパクっと食べてしまった。
「ふたくちっ!?」
「……? どうしたの、そんな長年待ち望んだ何かが目の前から突然消えたみたいな顔して」
「まさにそうなんだよっ!」
佐倉は純真な黒目で俺を見つめ、はてな? と首を傾げた。
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続きは明日の朝更新。
少しだけストックが有りますので、しばらくは毎日複数話更新の予定です。
次回から少しだけシリアスに入っていきます。




